寒いので温かい恋をバス停で始めませんか?
「はぁ…」
と息を吐く。吐いた息は真っ白で、「もう冬なんだ。」ということを実感させられる。まだ大丈夫だろう。そんなことを考えしていかなかった手袋。5分前ぐらいの自分を恨む。
(あ。)
ふと横を見ると、あの男の子がいた。このバス停に、いつも同じ時間帯に来て、バスが来たら、いつも同じ席に座って、いつもよくわからない難しい本を読む。私はこの子のことが少しだけ気になっていた。が、話しかける機会もない。そもそも毎朝同じバス停にいる、ほぼ他人みたいな関係だ。話しかける機会があるわけがないのだ。でも、制服は同じだった。が、もちろん名は知らず、調べられなかった。
スマホを開いて、時刻を確認する。後、バスが来るまで1分とちょっと。冷たい手を合わせて擦る。
「はぁ…冷たいなぁ。」
と小声で呟いた。すると、手に温かい感触がふわっとかぶさる。その感触の正体は手で、その手の主は男の子だった。
「…えっ。」
私は驚きのあまり、声が出る。すると男の子がささっと手を後ろへ隠す。すると、バスが来た。私がバスに乗ろうとすると、男の子は小声で
「花奏(かなで)…。」
と呟いた。私は困惑したが、ペコっと頭を下げて、そそくさと席へ座った。なんとなく、手を頬当てる。少し、温かくなっている、気がした。
お昼過ぎのこと。
「渚(なぎさ)〜どしたの?」
と話しかけてきたのは私の友達、莉子(りこ)。
「あ、莉子。えっと…花奏って人、知らない?」
「花奏?んー?あ、花奏って3年生の花奏先輩のこと?」
「えっ。先輩?先輩なのっ?」
「まーね。いっつも図書室にいて、むっずかしい本読んでる人だよー。」
「あ、ありがとっ。」
と図書室へいそいそと向かった。
「失礼、しまぁ…す。」
と少し緊張しながら図書室へ入る。カウンターの方へと入ると、誰も居なかった。
「あれ…。誰も居ないのかな。」
と図書室を出ようとしたとき、ゴトンッと鈍い音がした。恐る恐る、カウンターの方を覗く。なんと、先輩はカウンターの物陰に隠れていた。
「…こんにちは。花奏先輩…?」
と疑問符で挨拶する。花奏先輩の表情は少し照れているというか顔がほのかに赤かった。
「こん、にちは…。」
と先輩が小さく今にも消えそうな声でいう。朝のことがあってかどうしてもそれ以上の言葉が出ない。何か言おうとすると、言葉が喉に突っかかる。
「か、花奏って可愛らしい名前?ですね…。」
ともう何を言っていいかわからず、唐突に名前の話になる。先輩は少し困った顔をした。
「女みたいな名前で、えっと…変でしょ?」
「えっ。全然ですよっ。なんか、花奏って幸せな花って感じかして、えっと、私好きですよっ!」
と咄嗟に言うが、私はなんて当たり障りなことを言っているんだろうと後悔する。先輩は少し黙っていたが、口を開いた。
「えっとありがとう…そんなこと言われたの、初めて…だから。」
「い、いえ!私はそんな…」
チャイムが鳴り響く。もう、昼休みが終わった。私は、
「じゃぁ、また…。」
というと先輩が微笑んで、
「ま、また!明日、バス停で…。」
と言った。なんだか胸がドキッと弾みんだ。そしてまた明日の寒い朝のバス停が楽しみになった。
「好きになっちゃった…かも…。」
と先輩が一人きりの図書室で呟いたことを、私はまだ知らなかった。 背後霊さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2020年10月20日みんなの答え:3件
と息を吐く。吐いた息は真っ白で、「もう冬なんだ。」ということを実感させられる。まだ大丈夫だろう。そんなことを考えしていかなかった手袋。5分前ぐらいの自分を恨む。
(あ。)
ふと横を見ると、あの男の子がいた。このバス停に、いつも同じ時間帯に来て、バスが来たら、いつも同じ席に座って、いつもよくわからない難しい本を読む。私はこの子のことが少しだけ気になっていた。が、話しかける機会もない。そもそも毎朝同じバス停にいる、ほぼ他人みたいな関係だ。話しかける機会があるわけがないのだ。でも、制服は同じだった。が、もちろん名は知らず、調べられなかった。
スマホを開いて、時刻を確認する。後、バスが来るまで1分とちょっと。冷たい手を合わせて擦る。
「はぁ…冷たいなぁ。」
と小声で呟いた。すると、手に温かい感触がふわっとかぶさる。その感触の正体は手で、その手の主は男の子だった。
「…えっ。」
私は驚きのあまり、声が出る。すると男の子がささっと手を後ろへ隠す。すると、バスが来た。私がバスに乗ろうとすると、男の子は小声で
「花奏(かなで)…。」
と呟いた。私は困惑したが、ペコっと頭を下げて、そそくさと席へ座った。なんとなく、手を頬当てる。少し、温かくなっている、気がした。
お昼過ぎのこと。
「渚(なぎさ)〜どしたの?」
と話しかけてきたのは私の友達、莉子(りこ)。
「あ、莉子。えっと…花奏って人、知らない?」
「花奏?んー?あ、花奏って3年生の花奏先輩のこと?」
「えっ。先輩?先輩なのっ?」
「まーね。いっつも図書室にいて、むっずかしい本読んでる人だよー。」
「あ、ありがとっ。」
と図書室へいそいそと向かった。
「失礼、しまぁ…す。」
と少し緊張しながら図書室へ入る。カウンターの方へと入ると、誰も居なかった。
「あれ…。誰も居ないのかな。」
と図書室を出ようとしたとき、ゴトンッと鈍い音がした。恐る恐る、カウンターの方を覗く。なんと、先輩はカウンターの物陰に隠れていた。
「…こんにちは。花奏先輩…?」
と疑問符で挨拶する。花奏先輩の表情は少し照れているというか顔がほのかに赤かった。
「こん、にちは…。」
と先輩が小さく今にも消えそうな声でいう。朝のことがあってかどうしてもそれ以上の言葉が出ない。何か言おうとすると、言葉が喉に突っかかる。
「か、花奏って可愛らしい名前?ですね…。」
ともう何を言っていいかわからず、唐突に名前の話になる。先輩は少し困った顔をした。
「女みたいな名前で、えっと…変でしょ?」
「えっ。全然ですよっ。なんか、花奏って幸せな花って感じかして、えっと、私好きですよっ!」
と咄嗟に言うが、私はなんて当たり障りなことを言っているんだろうと後悔する。先輩は少し黙っていたが、口を開いた。
「えっとありがとう…そんなこと言われたの、初めて…だから。」
「い、いえ!私はそんな…」
チャイムが鳴り響く。もう、昼休みが終わった。私は、
「じゃぁ、また…。」
というと先輩が微笑んで、
「ま、また!明日、バス停で…。」
と言った。なんだか胸がドキッと弾みんだ。そしてまた明日の寒い朝のバス停が楽しみになった。
「好きになっちゃった…かも…。」
と先輩が一人きりの図書室で呟いたことを、私はまだ知らなかった。 背後霊さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2020年10月20日みんなの答え:3件
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わあああああああああああああああああ 凄いです!!!!!!!!!!!!
そんなに人のぉぉぉ、、、
ああ、神はどおして私に語彙力を与えなかったのか、、、
めっちゃ説明できてないですけど
キュンキュンしました!!!!
この感じの文章めっちゃ好きです!!!
これからも頑張ってください!!!
帰さん(埼玉・12さい)からの答え
とうこう日:2020年10月21日 -
私、こういう話好き! これって、さなぎさんも、かなえさんのことが好きになったって事!?
読んでてドキドキでした!
同い年でこんなにドキドキする話を書けるなんて…スゴい!
また、是非書いて下さい!
とても良い話でした! くみさん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2020年10月21日 -
恋が実るといいな 次作も恋系(できればでいいので)お願いします!
ムチャですみませんw。
コレよかったです! 青井〜。さん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2020年10月21日
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