少女と鳥居と
最近、僕はシュークリームを持って住む家より少し遠くにある神社へ通っている。信仰心とかお供えものとかそういうのではない。
数ヶ月前、高校のクラスメイトたちに無理矢理連れられて肝試しに行ったときに“あの子”を見つけてしまったのだ。
別に通い続ける義理はないのだが足が向いてしまう。
肝試しのとき、その子を構っていて戻っていなかったことに気づかれなかったのか、皆に置いていかれて夜道を帰るのに苦労したなぁ、と思いながら自転車で20分程走る。
あの日あんなに迷ったのにもう道を覚えた。見えるのは既に見慣れた風景の一部となった一の鳥居と、その柱の根本あたりに…
「やったぁ!きょうも来てくれた!」
やっぱり居た。僕の半分も時を過ごしていないだろう幼い少女が、フリルに白の刺繍が施された黒いワンピースと大きなリボンをふわふわとさせながら駆けてくる。僕は自転車から降りて小さな体を抱きとめる。
「走ると危ないよ」
「へいき!お兄ちゃん来たのうれしい!」
そう言われると此方も嬉しくなる。…この会話と思考は何十回目だろうか。
「あのね、さっき、土にお絵かきしたからみてみて」
そう言って袖が引っ張られる。狛犬を見て、そういえば出迎えの場所が近くなったな、と思う。
最初の頃はこの辺り、狛犬の近く。だんだん二の鳥居、参道…と、先週から一の鳥居。
「えっと、……ん!これ!」
鳥居と狛犬と、飴玉。前練習に誘ったからかなかなか上手く描けている。
「上手だね。この狛犬も可愛い」
「ちゃんと口もよくみてかいたよ!」
今回は正解だったようだ。ほっとする。
(前は烏の絵を枯葉の絵だと言ってしまったからな…あっ、そうだ)
「このシュークリーム、持ってきたから食べようか」
「しうーくり…いむ?」
「シュークリーム」
「しゅーくりーむ!」
あまくておいしいね、と言いながら少女は小さな口を大きく開けて生地とクリームを頬張る。
今日もよく食べる。初めて出会った時も、与えてみた飴玉を初めて食べるかのような顔で美味しそうに舐めていた。
それから僕は時々この子の好きそうな食べ物を、一緒におやつとして食べている。
「ありがとう、これもおいしかった」
と幸せそうな表情をする。微笑み返すと、またいじらしく笑う。
それを見て僕も満足。win-win?っていうやつだ。
そして神社の中を2人で遊ぶ。神社で遊ぶって罰当たりかな、とかは気にしないようにしている。
暫く経つと空の色が変わる。
「もうこんなにくらい…」
「こういう季節だからねぇ…」
僕が帰らなければいけない時間になると少女は寂しそうな、どこか不安そうな顔をする。
毎回、帰るときのこれが心残りだ。まだ、次も来るかどうか心配されているのか、と思う。
「なるべく毎日、ここに来るから。また明日。約束」
「うん、やくそく…」
この会話も百回以上は繰り返した。
手を振る少女を見つめながら自転車にまたがる。
足を動かし、前へ進む。後ろを振り向くと、鳥居の影でまだ手を振っている。
振り返してみると、もっと大きく手を振った。
そろそろ車体がふらついてくる。少し名残惜しいが前を向く。安全運転。
(それにしても…)
なぜ少女は毎日僕が来る前にあそこにいるのだろう。そんなに楽しみにしていてくれるのか。
そしてあの子は肝試しの夜もいたが、まだ家に帰らなくてもいいのだろうか。
そういえば、たまには…と散歩に連れ出そうとしたことがあるが、神社の外に出たがらない。
家や学校の話題も少女から出たことないな、僕の話は珍しそうに聞いてくれるけれど。
………なぜ?
そんなことを時折考えそうになる。だが、考えて、もし、それらの答えに気付いてしまったら、僕は、
(あの愛らしい少女をみることが出来なくなってしまうのではないか)
少女はまだ手を振ってくれているだろうか。
ー終ー
実は初投稿だったりします!…なかなか疲れますね。小説家さんすげぇ。誤字とかあったらごめんなさい。
読む人によって色んな解釈ができるように書きました。
読んでくださった方ありがとうございました! 1054さん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年10月30日みんなの答え:3件
数ヶ月前、高校のクラスメイトたちに無理矢理連れられて肝試しに行ったときに“あの子”を見つけてしまったのだ。
別に通い続ける義理はないのだが足が向いてしまう。
肝試しのとき、その子を構っていて戻っていなかったことに気づかれなかったのか、皆に置いていかれて夜道を帰るのに苦労したなぁ、と思いながら自転車で20分程走る。
あの日あんなに迷ったのにもう道を覚えた。見えるのは既に見慣れた風景の一部となった一の鳥居と、その柱の根本あたりに…
「やったぁ!きょうも来てくれた!」
やっぱり居た。僕の半分も時を過ごしていないだろう幼い少女が、フリルに白の刺繍が施された黒いワンピースと大きなリボンをふわふわとさせながら駆けてくる。僕は自転車から降りて小さな体を抱きとめる。
「走ると危ないよ」
「へいき!お兄ちゃん来たのうれしい!」
そう言われると此方も嬉しくなる。…この会話と思考は何十回目だろうか。
「あのね、さっき、土にお絵かきしたからみてみて」
そう言って袖が引っ張られる。狛犬を見て、そういえば出迎えの場所が近くなったな、と思う。
最初の頃はこの辺り、狛犬の近く。だんだん二の鳥居、参道…と、先週から一の鳥居。
「えっと、……ん!これ!」
鳥居と狛犬と、飴玉。前練習に誘ったからかなかなか上手く描けている。
「上手だね。この狛犬も可愛い」
「ちゃんと口もよくみてかいたよ!」
今回は正解だったようだ。ほっとする。
(前は烏の絵を枯葉の絵だと言ってしまったからな…あっ、そうだ)
「このシュークリーム、持ってきたから食べようか」
「しうーくり…いむ?」
「シュークリーム」
「しゅーくりーむ!」
あまくておいしいね、と言いながら少女は小さな口を大きく開けて生地とクリームを頬張る。
今日もよく食べる。初めて出会った時も、与えてみた飴玉を初めて食べるかのような顔で美味しそうに舐めていた。
それから僕は時々この子の好きそうな食べ物を、一緒におやつとして食べている。
「ありがとう、これもおいしかった」
と幸せそうな表情をする。微笑み返すと、またいじらしく笑う。
それを見て僕も満足。win-win?っていうやつだ。
そして神社の中を2人で遊ぶ。神社で遊ぶって罰当たりかな、とかは気にしないようにしている。
暫く経つと空の色が変わる。
「もうこんなにくらい…」
「こういう季節だからねぇ…」
僕が帰らなければいけない時間になると少女は寂しそうな、どこか不安そうな顔をする。
毎回、帰るときのこれが心残りだ。まだ、次も来るかどうか心配されているのか、と思う。
「なるべく毎日、ここに来るから。また明日。約束」
「うん、やくそく…」
この会話も百回以上は繰り返した。
手を振る少女を見つめながら自転車にまたがる。
足を動かし、前へ進む。後ろを振り向くと、鳥居の影でまだ手を振っている。
振り返してみると、もっと大きく手を振った。
そろそろ車体がふらついてくる。少し名残惜しいが前を向く。安全運転。
(それにしても…)
なぜ少女は毎日僕が来る前にあそこにいるのだろう。そんなに楽しみにしていてくれるのか。
そしてあの子は肝試しの夜もいたが、まだ家に帰らなくてもいいのだろうか。
そういえば、たまには…と散歩に連れ出そうとしたことがあるが、神社の外に出たがらない。
家や学校の話題も少女から出たことないな、僕の話は珍しそうに聞いてくれるけれど。
………なぜ?
そんなことを時折考えそうになる。だが、考えて、もし、それらの答えに気付いてしまったら、僕は、
(あの愛らしい少女をみることが出来なくなってしまうのではないか)
少女はまだ手を振ってくれているだろうか。
ー終ー
実は初投稿だったりします!…なかなか疲れますね。小説家さんすげぇ。誤字とかあったらごめんなさい。
読む人によって色んな解釈ができるように書きました。
読んでくださった方ありがとうございました! 1054さん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2020年10月30日みんなの答え:3件
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読んでよかった とっても面白かったです!読んでよかった…!
長編小説のような思考描写で、キャラが上手に確立されてるなぁ、なんて最初は思っていたんです。でも終盤の思考の止め方で、最初の丁寧な描写は余計な思考を入れないようにする仕掛けだったのかなぁと感じました。
女の子との共依存のような関係がすごく好きです(*´`)
素敵なお話ありがとうございました♪ 臣 さん(長野・14さい)からの答え
とうこう日:2020年11月1日 -
こういう話大好きです 情景や少女の人物像がパッと思い浮かんできて、物語の世界に入り込みやすかったです。個人的に和の世界観が大好きで、神社と少女の組み合わせとか最高です!
14才とは思えないくらい文才がありますね…羨ましいです笑
ひとつ言うとすれば、説明が長ったらしくなって読みづらい部分があるのでより簡潔に、分かりやすく表現することを意識すればさらにいいと思います。 IMYさん(選択なし・16さい)からの答え
とうこう日:2020年10月31日 -
面白かったです! 私は、その女の子が神社に祀られている幽霊かな?
と思いました。
でも、良い霊で、その男の子のことが好きなのかな…?
そして、何か生きているときに心残り(例えば、学校に行けなかった、お菓子を買って貰えなかった、とか)があって、それを男の子が叶えてくれてるっていう感じと捉えました。
長文、お疲れ様です!
1054さんの短編小説、楽しみにしておきます! さやかさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2020年10月31日
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