本音&嘘
「瑠美、私、転校する。」
そうもちかけられたのは夕方のことだった。
私、前沢瑠美。
「瑠美ー!おはよ。」
「絵奈波。おはよう。」
彼女の名前は右崎絵奈波。人の世話を焼くのが好きな女子だ。
「昨日の宿題やるのわすれちゃってさー。」
「えー?私の見せてあげる!どうぞ!」
「わーありがとうー。絵奈波。」
私はもう絵奈波にうんざりしている。どうして彼女のためにわざと宿題をやらなかったのか。その問いを自分に何度聞いたか。答えは決まっているのに。一人にならないためだ。このクラスでも一番苦しくないと思うグループのリーダーの彼女に気に入られれば一人の可能性は減るだろう。そのためにわざと宿題をやらない。ヘアゴムを忘れる。水筒を忘れる。彼女のために、わざと、しているのだ。もうこんな生活いやだ。と思いつめすぎた時だった。
「瑠美、私、転校する。」
そうもちかけられたのは夕方のことだった。
親友の三河世奈が転校するというのだ。
「そうなんだ、じゃあ絵奈波と楽しくやっていくよ!」
私はできるだけ明るく元気に言った。
「瑠美、それ、本当の気持ち?」
ぎくっ マンガだったらこの文字が書かれていただろう。
「そうだよ。嘘だよ。絵奈波はもういや。」
「やっぱり。でも瑠美。それは瑠美だけじゃないよ。私も。」
「世奈も?!」
「うん、絵奈波にうんざりしている。絵奈波のためにやる、わざと、が多すぎて辛いんだ。それが転校する理由の一つとも言ってもいいけどね。」
「へー 私だけじゃなかったんだ…。」
ちょっとスッキリした。同じ気持ちになっている人がいるんだってね。
……でも世奈はもうこの学校にはいなくなる。
「だから瑠美だけには言っておきたくて、じゃあ。」
世奈、かっこいい。バスケ部のエースで長い髪の毛にクール。でも私が言いたいのはそうところじゃなくていやだからやめる、っていう行動力と判断力がかっこいいんだ。
「みんなー静かに、…三河世奈さんが転校しました。」
先生がそう告げた。絵奈波を見ると眉間にしわをよせていた。
「ねぇ瑠美。世奈が私に何も言わずに転校すると思う?ひどくない?親が強制的に転校させたんでしょ。私、世奈の親に文句言ってくるわ。瑠美も行く?」
「ううん、今日、塾あるから。ごめん。」
絵奈波は小走りで下校していった。今日も私は彼女にうそをついた。
実は絵奈波が文句言うって言ってから一週間経つ。先生は風邪と言っているがさすがに一週間休むとしたら彼女の家に行くしかない。
ピーンポーン ピーンポーン
インターホンを鳴らしても誰も出てこなかった。諦めて帰ろうとしたら、絵奈波が立っていた。
「絵奈波…。」
「…………瑠美のバカ。」
「絵奈波。」
「どうして?瑠美もそうなんでしょ?世奈と同じなんでしょ?私にわざと気をつかって嘘をついているんでしょ!?」
「そうだよ。」
「なんでなの?私のことがきらいなの?」
「そうだよ。もう絵奈波にうんざりしているのよ。世話好きだからって、わざと、がんばってきたもの。」
初めて右崎絵奈波に本音が言えた。
「もういい!もうあんたなんか死んじゃえばいい!」
「絵奈波まってよ!」
「何よ!?」
「私は我慢してきたよ!辛かったよ!苦しかったよ!悲しかったよ!うざかったよ!最低だったよ!私だってがんばったんだから絵奈波だってがんばってよ!」
「…そ。」
そう言って絵奈波は走って帰っていった。本音を言えて気持ちいいのか悲しいのか、私には分からなかった。
翌日。絵奈波が学校に来た。
「ねぇ瑠美。ぞうきん持ってきてよ。」
「やだよ。」
「ひまそーじゃん?」
「ちりとり担当だもん。いつゴミがくるか分からなでしょ。」
「でも時間あるじゃん?」
「自分でやったほうが絶対早いし。」
こんな幼稚園児以下の会話を毎日するようになった。
「ねぇ瑠美。消しゴム忘れた。」
「しょうがないな。貸してあげる。」
音泉さん(大阪・12さい)からの相談
とうこう日:2020年11月5日みんなの答え:4件
そうもちかけられたのは夕方のことだった。
私、前沢瑠美。
「瑠美ー!おはよ。」
「絵奈波。おはよう。」
彼女の名前は右崎絵奈波。人の世話を焼くのが好きな女子だ。
「昨日の宿題やるのわすれちゃってさー。」
「えー?私の見せてあげる!どうぞ!」
「わーありがとうー。絵奈波。」
私はもう絵奈波にうんざりしている。どうして彼女のためにわざと宿題をやらなかったのか。その問いを自分に何度聞いたか。答えは決まっているのに。一人にならないためだ。このクラスでも一番苦しくないと思うグループのリーダーの彼女に気に入られれば一人の可能性は減るだろう。そのためにわざと宿題をやらない。ヘアゴムを忘れる。水筒を忘れる。彼女のために、わざと、しているのだ。もうこんな生活いやだ。と思いつめすぎた時だった。
「瑠美、私、転校する。」
そうもちかけられたのは夕方のことだった。
親友の三河世奈が転校するというのだ。
「そうなんだ、じゃあ絵奈波と楽しくやっていくよ!」
私はできるだけ明るく元気に言った。
「瑠美、それ、本当の気持ち?」
ぎくっ マンガだったらこの文字が書かれていただろう。
「そうだよ。嘘だよ。絵奈波はもういや。」
「やっぱり。でも瑠美。それは瑠美だけじゃないよ。私も。」
「世奈も?!」
「うん、絵奈波にうんざりしている。絵奈波のためにやる、わざと、が多すぎて辛いんだ。それが転校する理由の一つとも言ってもいいけどね。」
「へー 私だけじゃなかったんだ…。」
ちょっとスッキリした。同じ気持ちになっている人がいるんだってね。
……でも世奈はもうこの学校にはいなくなる。
「だから瑠美だけには言っておきたくて、じゃあ。」
世奈、かっこいい。バスケ部のエースで長い髪の毛にクール。でも私が言いたいのはそうところじゃなくていやだからやめる、っていう行動力と判断力がかっこいいんだ。
「みんなー静かに、…三河世奈さんが転校しました。」
先生がそう告げた。絵奈波を見ると眉間にしわをよせていた。
「ねぇ瑠美。世奈が私に何も言わずに転校すると思う?ひどくない?親が強制的に転校させたんでしょ。私、世奈の親に文句言ってくるわ。瑠美も行く?」
「ううん、今日、塾あるから。ごめん。」
絵奈波は小走りで下校していった。今日も私は彼女にうそをついた。
実は絵奈波が文句言うって言ってから一週間経つ。先生は風邪と言っているがさすがに一週間休むとしたら彼女の家に行くしかない。
ピーンポーン ピーンポーン
インターホンを鳴らしても誰も出てこなかった。諦めて帰ろうとしたら、絵奈波が立っていた。
「絵奈波…。」
「…………瑠美のバカ。」
「絵奈波。」
「どうして?瑠美もそうなんでしょ?世奈と同じなんでしょ?私にわざと気をつかって嘘をついているんでしょ!?」
「そうだよ。」
「なんでなの?私のことがきらいなの?」
「そうだよ。もう絵奈波にうんざりしているのよ。世話好きだからって、わざと、がんばってきたもの。」
初めて右崎絵奈波に本音が言えた。
「もういい!もうあんたなんか死んじゃえばいい!」
「絵奈波まってよ!」
「何よ!?」
「私は我慢してきたよ!辛かったよ!苦しかったよ!悲しかったよ!うざかったよ!最低だったよ!私だってがんばったんだから絵奈波だってがんばってよ!」
「…そ。」
そう言って絵奈波は走って帰っていった。本音を言えて気持ちいいのか悲しいのか、私には分からなかった。
翌日。絵奈波が学校に来た。
「ねぇ瑠美。ぞうきん持ってきてよ。」
「やだよ。」
「ひまそーじゃん?」
「ちりとり担当だもん。いつゴミがくるか分からなでしょ。」
「でも時間あるじゃん?」
「自分でやったほうが絶対早いし。」
こんな幼稚園児以下の会話を毎日するようになった。
「ねぇ瑠美。消しゴム忘れた。」
「しょうがないな。貸してあげる。」
音泉さん(大阪・12さい)からの相談
とうこう日:2020年11月5日みんなの答え:4件
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おぉ! 凄いですね!初めて小説?とか見ました!そして初めて集中して読みました!ちゃんと伝わりました!
はっきりとした文章で良かったです らなまふさん(神奈川・16さい)からの答え
とうこう日:2020年11月8日 -
うーん・・ アンニョンハセヨ!ダヒョンペンの初音です!もと海ちゃんだよ!
よくわかりませんでした。もうちょっと、詳しく書いたらどうですか?
じゃアンニョン♪ 初音さん(東京・9さい)からの答え
とうこう日:2020年11月7日 -
なんかめっちゃすごい すごく感動した!最後の文で、なんか泣きそうになるくらい心に響いた....。天才だね笑すごいよ JS.6年 由梨さん(山梨・12さい)からの答え
とうこう日:2020年11月7日 -
んッ難しい すごい友達関係でしたね、最初…この設定を思いつくのがまずすごいなぁと驚きました。
ストーリーもたんたんと進んで行って、読みやすかったです!
ただ、私の読解力の問題だと思うんですが、ラストがよく分からなかった…結局どうなったんだろう…。いや、絶対私の読解力のせいだと思う。ごめんなさい…!あんまり気にしないで下さい|ω・`)
素敵なお話ありがとうございました♪ 臣 さん(長野・14さい)からの答え
とうこう日:2020年11月6日
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