街角花屋の日常
ここは、街角にある『Emotions』という小さな花屋。
宇華さんという若い女性がたった一人で切り盛りしている。
「どんな花だって、ちゃんと意味があります」が、宇華さんの口癖。
この花屋の周りには、いつも甘く優しい香りが漂い、それにつられてお客さんがやってくる。
ほら、今日も…。
「いらっしゃいませ!」
店内に宇華さんの明るい声が響く。
やってきたのは、三十代前半ぐらいの男の人だった。
「本日はどのようなご用件で?」
「えっと、その…。じ、実は僕…好きな人ができて…」
男の人が顔を真っ赤にして言う。
「あら、そうなんですね!」
「そうなんです…。それで…こ、告白用の花を…買いにきたんですが…」
「告白用の花、ですね…。ちなみに、片思いの方はどんな色が好きですか?」
「えっと…たしか、ピ、ピンクが好きって…」
「ピンクですね…あ、ちょうどよいのがあります!」
そう言って、宇華さんは店内の奥に消えた。
一分後…
「お待たせしました!」
宇迦さんが腕に抱えて持ってきたのは、濃いピンクが連なった花だった。
「こちらの花は〔胡蝶蘭〕といいます。ピンク色の花言葉は〈あなたを愛します〉。この花は、男性から女性へのプロポーズとしても人気なんです。」
「そ…そうなんですか…!」
嬉しそうな男の人を見て、宇華さんはにっこり笑った。
「せっかくですから、花束に花言葉を書いたメッセージカードをつけておきましょうか?」
「よろしくお願いします…!」
宇華さんから花束を受け取った男の人は、嬉しそうに帰っていった。
また、別の日の夕暮れ時。
(そろそろ閉店するかぁ…)
そう思って宇華さんが店のドアを閉めようとした、その時。
「まってー!!」
向こうから、六歳ほどの少女が全速力でかけてきた。
「わぁぁ、どうしたの?そんなに夢中で走ったら、転んじゃうよ!」
走ってきた少女は、肩で息をしながら足早に言った。
「おねいさん、お願い!ミホにお別れのお花売って!早くしないと、かおるちゃんが行っちゃう…!」
よく見ると、少女が左手に二千円札を握っているので、宇華さんはびっくりした。
「私の店の花を、買いに来たの…?」
宇華さんの問いに、少女はうなずいた。
「お友達のかおるちゃんがね、今日お引っ越しなの。ミホ、かおるちゃんのこと大好きなのに、何にもしてあげられないのは嫌なの!だから、おねいさんのお店のお花をちょうだい!かおるちゃんみたいな元気なお花!」
少女は、瞳にうっすらと涙を浮かべていた。
宇華さんは、目を閉じてうなずいた。
「わかったわ。すぐに準備するね。」
そういうと、急いで店内に入っていった。
しばらくして出てきた宇華さんは、白と薄い青の花の花束を手にしていた。
「いい?ミホちゃん。この花はね、ワスレナグサっていうんだ…。」
ミホの友達のかおるとその家族は、帰りが遅いミホを待っていた。
「…もう時間が来たわ。行きましょう、かおる。」
そう言って母親が肩に置いた手を、美穂は払いのける。
「いやだ!ミホちゃんは絶対に来る!!」
「でも、もう時間が…。」
かおるの母親が言った、その時。
「かおるちゃーん!!」
白い車に乗ったミホが、窓から手を振っている。宇華さんがミホを送ってきたのだ。
白い車はかおるのそばで急停車する。
「ミホちゃん…」
「かおるちゃん!」
ミホは車の中から、花束を取り出した。
「えっ…?これ…」
「かおるちゃん!このお花、ワスレナグサっていうんだよ!花言葉は〈真実の友情〉っていうの!ほかにも、〈私を忘れないで〉っていう意味もあるんだ!だからね、私のこと、ぜーったいに忘れないで!」
ミホは目から涙をポロポロこぼしながら、笑顔で言う。
真央瑠も泣きながら、同じように笑った。
「うん…!」
ここは、『Emotions』という小さな花屋。
ここでは今日も、宇華さんという若い一人の女性が、花で喜びを届けている…。
―――――――――――
どうもこんにちは!春巻き春樹です!
最後まで読んでいただいてありがとうございます!
実は店の名前の『Emotions』って、『感情』っていう意味なんですよー!
初めて小説書いたので、感想などよろしくですー! 春巻き春樹さん(選択なし・10さい)からの相談
とうこう日:2020年12月12日みんなの答え:1件
宇華さんという若い女性がたった一人で切り盛りしている。
「どんな花だって、ちゃんと意味があります」が、宇華さんの口癖。
この花屋の周りには、いつも甘く優しい香りが漂い、それにつられてお客さんがやってくる。
ほら、今日も…。
「いらっしゃいませ!」
店内に宇華さんの明るい声が響く。
やってきたのは、三十代前半ぐらいの男の人だった。
「本日はどのようなご用件で?」
「えっと、その…。じ、実は僕…好きな人ができて…」
男の人が顔を真っ赤にして言う。
「あら、そうなんですね!」
「そうなんです…。それで…こ、告白用の花を…買いにきたんですが…」
「告白用の花、ですね…。ちなみに、片思いの方はどんな色が好きですか?」
「えっと…たしか、ピ、ピンクが好きって…」
「ピンクですね…あ、ちょうどよいのがあります!」
そう言って、宇華さんは店内の奥に消えた。
一分後…
「お待たせしました!」
宇迦さんが腕に抱えて持ってきたのは、濃いピンクが連なった花だった。
「こちらの花は〔胡蝶蘭〕といいます。ピンク色の花言葉は〈あなたを愛します〉。この花は、男性から女性へのプロポーズとしても人気なんです。」
「そ…そうなんですか…!」
嬉しそうな男の人を見て、宇華さんはにっこり笑った。
「せっかくですから、花束に花言葉を書いたメッセージカードをつけておきましょうか?」
「よろしくお願いします…!」
宇華さんから花束を受け取った男の人は、嬉しそうに帰っていった。
また、別の日の夕暮れ時。
(そろそろ閉店するかぁ…)
そう思って宇華さんが店のドアを閉めようとした、その時。
「まってー!!」
向こうから、六歳ほどの少女が全速力でかけてきた。
「わぁぁ、どうしたの?そんなに夢中で走ったら、転んじゃうよ!」
走ってきた少女は、肩で息をしながら足早に言った。
「おねいさん、お願い!ミホにお別れのお花売って!早くしないと、かおるちゃんが行っちゃう…!」
よく見ると、少女が左手に二千円札を握っているので、宇華さんはびっくりした。
「私の店の花を、買いに来たの…?」
宇華さんの問いに、少女はうなずいた。
「お友達のかおるちゃんがね、今日お引っ越しなの。ミホ、かおるちゃんのこと大好きなのに、何にもしてあげられないのは嫌なの!だから、おねいさんのお店のお花をちょうだい!かおるちゃんみたいな元気なお花!」
少女は、瞳にうっすらと涙を浮かべていた。
宇華さんは、目を閉じてうなずいた。
「わかったわ。すぐに準備するね。」
そういうと、急いで店内に入っていった。
しばらくして出てきた宇華さんは、白と薄い青の花の花束を手にしていた。
「いい?ミホちゃん。この花はね、ワスレナグサっていうんだ…。」
ミホの友達のかおるとその家族は、帰りが遅いミホを待っていた。
「…もう時間が来たわ。行きましょう、かおる。」
そう言って母親が肩に置いた手を、美穂は払いのける。
「いやだ!ミホちゃんは絶対に来る!!」
「でも、もう時間が…。」
かおるの母親が言った、その時。
「かおるちゃーん!!」
白い車に乗ったミホが、窓から手を振っている。宇華さんがミホを送ってきたのだ。
白い車はかおるのそばで急停車する。
「ミホちゃん…」
「かおるちゃん!」
ミホは車の中から、花束を取り出した。
「えっ…?これ…」
「かおるちゃん!このお花、ワスレナグサっていうんだよ!花言葉は〈真実の友情〉っていうの!ほかにも、〈私を忘れないで〉っていう意味もあるんだ!だからね、私のこと、ぜーったいに忘れないで!」
ミホは目から涙をポロポロこぼしながら、笑顔で言う。
真央瑠も泣きながら、同じように笑った。
「うん…!」
ここは、『Emotions』という小さな花屋。
ここでは今日も、宇華さんという若い一人の女性が、花で喜びを届けている…。
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どうもこんにちは!春巻き春樹です!
最後まで読んでいただいてありがとうございます!
実は店の名前の『Emotions』って、『感情』っていう意味なんですよー!
初めて小説書いたので、感想などよろしくですー! 春巻き春樹さん(選択なし・10さい)からの相談
とうこう日:2020年12月12日みんなの答え:1件
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花…! 宇華さんのお客さんへの心遣いみたいなのがすごく好きです。
花言葉にも詳しくて、それを考えて渡すお花を決めているのも良いと思います。
それぞれのお客さんたちの願いが叶うといいなぁ… まるいしかくさん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2020年12月14日
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