最後の笑顔
綺麗な星が輝くこの夜。私はぼーっとして夜空を見ていた。だが、そんな幸せな日常は、今日でお別れになった。
誰かの悲鳴。消えていく走る音。刺されたような鈍い音。私は残酷な世界を見た。女性がある痩せ型の男性に刺されている光景を。
その瞬間男性と目が合った。冷や汗が私の背中を伝っていく。男性は目の前から消え、焦った瞬間、私の意識が途切れた。
「.........あれ」
家ではない天井を見つめる私。どうやら病院のようだ。思わず戸惑う私に、顔の分からない声が聞こえた。
「「.....いさん」」
「「愛さん」」
私の名前を呼んでいた。
「はーい...」
めんどくさそうに答える私。看護師さんがカーテンを開ける。
「「調子はどうですか?」」
「調子...って言っても、何があってここにいるのか..」
「「殺人鬼に気絶させられたんですよ、あの公園で」」
看護師さんが指した暗闇の中には、私の意識が途切れた場所の公園があった。
「殺人鬼なら...私って死んでるはずじゃないですか?」
「「なぜかあなただけ殺されなかったんですよ。服見てくださいよ、白いのに土くらいしかついてませんよ」」
私は服を見た。茶色い色の土しかついていない。はっきりわかった。
なぜだろうと疑問に思いながらも、体調に支障はないので、すぐに家に帰った。
「はぁ」
ため息をついてスマホで録画していた動画を見る。
やはり一瞬で消えている。私はここで気絶したのか。
顔がわかるかもしれないと目を細めてじっくり見る。
顔が分かった。その瞬間子供みたいにぴょんぴょん跳ねてしまった。
そして警察に通報しようと思った。
だけれどもう深夜1時だ。明日は仕事だし、早く寝ないといけない。明日通報しようと思い布団に入った。
朝日が昇った。仕事場は歩いて5分くらいなので歩いて行った。殺人鬼が昨日出たという報告を受け、いつもなら人がいるたくさんの住宅地にも誰もいない。時が止まったように静かだ。その瞬間、肩を優しく叩かれた。後ろを振り向くと、昨日録画した殺人鬼と顔、服装が一致していた。私は震えながらも逃げようとした。だけれど殺人鬼は笑った。
「「「俺はあなたを殺すつもりはないよ。」」」
「......え?」
涙がこぼれている私の顔を殺人鬼が優しく触る。私はもっと震えた。
「「「君は綺麗で、昨日の夜空の星みたいだ。俺、綺麗な星は好きだ。」」」
と笑顔で笑った。
その笑顔と言葉を聞いた私は全身の力が抜けた。倒れ込みそうになったけれど我慢した。
遠くから警察の鬼のような怒鳴り声が聞こえる。それを聞いた殺人鬼は、
「「「おっと、困るなぁ、じゃ、また」」」
と言い風のように消えていった。すると私のところに警察が来て、
[怪我はないですか?殺人鬼となにか話しましたか?]
私はまるで殺人鬼の仲間のように首を横に振る。
数日経った時、私は殺人鬼とよく会っていた。
「「「へぇ、君、愛って言うんだ」」」
「うん、あなたはなんて言うの?」
「「「俺の名前?俺は紘汰(こうた)って言うんだ。」」」
「かっこいい名前。」
「「「愛の方こそ可愛い名前だよ」」」
顔を真っ赤にした。そんなこと言われたこともなかったからだ。
私達は幸せな時間を過ごした。でも
[動くな!]
「「「くっ」」」
「紘汰!」
「「「逃げろ!お前も仲間だって思われるぞ!」」」
「.......(うなずく)」
私は後ろを振り返らず一生懸命走った。
泣きながらずっと走った。私の家まで走った。
家へと獣のように扉を勢いよく開けて扉を閉めた私は座り込んでしまった。
「私が逃げたから..なんで逃げたの..」
紘汰の言うことに従わなければ。断れば。紘汰を救えたのかもしれないと思ったのにそのまま走ってしまった私が許せなかった。
数日後、ずっと籠もっていた私は外出をした。暇なので散歩をしようと町中を歩いていると、人溜まりができていた。真ん中だけが空いていたので、 もしかして と思い走った。一番前に行くと、真ん中で人が拘束されていた。
紘汰だ。
目の前が真っ暗になった。大切な人を失う。この目で感じた。
ずっと下を向いていた紘汰が顔を上げた。私を見た。
最後の力を振り絞り
「紘汰!」
と叫んだ。涙がずっと溢れていた。皆が私を見ている。
(ねぇ、あれって気絶させられた子じゃないの?)
ずっと陰口が聞こえる。それでも私は言い続けた。
「紘汰ごめん、私、あの時逃げて、私、救いたかった。」
紘汰にギリギリ聞こえる声で話した。
「「「愛が生きていてくれるだけで俺は嬉しいよ。別に謝らなくていい。」」」
その瞬間、私は
思わず笑った。
すると紘汰は、
驚いたような顔で顔で私を見た。
その顔には
涙が溢れていた。
そしてこう言った
「「「お前の笑顔が 最後の笑顔 だな」」」
END
感想よろしくおねがいしまーす! 元宮猫。★evan★さん(静岡・11さい)からの相談
とうこう日:2023年5月1日みんなの答え:3件
誰かの悲鳴。消えていく走る音。刺されたような鈍い音。私は残酷な世界を見た。女性がある痩せ型の男性に刺されている光景を。
その瞬間男性と目が合った。冷や汗が私の背中を伝っていく。男性は目の前から消え、焦った瞬間、私の意識が途切れた。
「.........あれ」
家ではない天井を見つめる私。どうやら病院のようだ。思わず戸惑う私に、顔の分からない声が聞こえた。
「「.....いさん」」
「「愛さん」」
私の名前を呼んでいた。
「はーい...」
めんどくさそうに答える私。看護師さんがカーテンを開ける。
「「調子はどうですか?」」
「調子...って言っても、何があってここにいるのか..」
「「殺人鬼に気絶させられたんですよ、あの公園で」」
看護師さんが指した暗闇の中には、私の意識が途切れた場所の公園があった。
「殺人鬼なら...私って死んでるはずじゃないですか?」
「「なぜかあなただけ殺されなかったんですよ。服見てくださいよ、白いのに土くらいしかついてませんよ」」
私は服を見た。茶色い色の土しかついていない。はっきりわかった。
なぜだろうと疑問に思いながらも、体調に支障はないので、すぐに家に帰った。
「はぁ」
ため息をついてスマホで録画していた動画を見る。
やはり一瞬で消えている。私はここで気絶したのか。
顔がわかるかもしれないと目を細めてじっくり見る。
顔が分かった。その瞬間子供みたいにぴょんぴょん跳ねてしまった。
そして警察に通報しようと思った。
だけれどもう深夜1時だ。明日は仕事だし、早く寝ないといけない。明日通報しようと思い布団に入った。
朝日が昇った。仕事場は歩いて5分くらいなので歩いて行った。殺人鬼が昨日出たという報告を受け、いつもなら人がいるたくさんの住宅地にも誰もいない。時が止まったように静かだ。その瞬間、肩を優しく叩かれた。後ろを振り向くと、昨日録画した殺人鬼と顔、服装が一致していた。私は震えながらも逃げようとした。だけれど殺人鬼は笑った。
「「「俺はあなたを殺すつもりはないよ。」」」
「......え?」
涙がこぼれている私の顔を殺人鬼が優しく触る。私はもっと震えた。
「「「君は綺麗で、昨日の夜空の星みたいだ。俺、綺麗な星は好きだ。」」」
と笑顔で笑った。
その笑顔と言葉を聞いた私は全身の力が抜けた。倒れ込みそうになったけれど我慢した。
遠くから警察の鬼のような怒鳴り声が聞こえる。それを聞いた殺人鬼は、
「「「おっと、困るなぁ、じゃ、また」」」
と言い風のように消えていった。すると私のところに警察が来て、
[怪我はないですか?殺人鬼となにか話しましたか?]
私はまるで殺人鬼の仲間のように首を横に振る。
数日経った時、私は殺人鬼とよく会っていた。
「「「へぇ、君、愛って言うんだ」」」
「うん、あなたはなんて言うの?」
「「「俺の名前?俺は紘汰(こうた)って言うんだ。」」」
「かっこいい名前。」
「「「愛の方こそ可愛い名前だよ」」」
顔を真っ赤にした。そんなこと言われたこともなかったからだ。
私達は幸せな時間を過ごした。でも
[動くな!]
「「「くっ」」」
「紘汰!」
「「「逃げろ!お前も仲間だって思われるぞ!」」」
「.......(うなずく)」
私は後ろを振り返らず一生懸命走った。
泣きながらずっと走った。私の家まで走った。
家へと獣のように扉を勢いよく開けて扉を閉めた私は座り込んでしまった。
「私が逃げたから..なんで逃げたの..」
紘汰の言うことに従わなければ。断れば。紘汰を救えたのかもしれないと思ったのにそのまま走ってしまった私が許せなかった。
数日後、ずっと籠もっていた私は外出をした。暇なので散歩をしようと町中を歩いていると、人溜まりができていた。真ん中だけが空いていたので、 もしかして と思い走った。一番前に行くと、真ん中で人が拘束されていた。
紘汰だ。
目の前が真っ暗になった。大切な人を失う。この目で感じた。
ずっと下を向いていた紘汰が顔を上げた。私を見た。
最後の力を振り絞り
「紘汰!」
と叫んだ。涙がずっと溢れていた。皆が私を見ている。
(ねぇ、あれって気絶させられた子じゃないの?)
ずっと陰口が聞こえる。それでも私は言い続けた。
「紘汰ごめん、私、あの時逃げて、私、救いたかった。」
紘汰にギリギリ聞こえる声で話した。
「「「愛が生きていてくれるだけで俺は嬉しいよ。別に謝らなくていい。」」」
その瞬間、私は
思わず笑った。
すると紘汰は、
驚いたような顔で顔で私を見た。
その顔には
涙が溢れていた。
そしてこう言った
「「「お前の笑顔が 最後の笑顔 だな」」」
END
感想よろしくおねがいしまーす! 元宮猫。★evan★さん(静岡・11さい)からの相談
とうこう日:2023年5月1日みんなの答え:3件
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上手!! 上手な書き方で良かったし、スラスラ読めました!
ストーリーもとてもよかった!!
単純にすごいなって思いました!!
でも、最初の「録音していた動画を見る」ってところで「え?」って思った。
他にもこれってどゆこと?ってところがいくつかあったから、詳しい設定まで考えて物語をつくるともっと上手になると思うよ。
でも上手だよ!!
次の作品も楽しみにしてます★★★★ 短編小説大好き☆さん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2023年6月20日 -
涙出てますよ わぁ、すごい!
何で殺さなかったのかは気になるけど....
なんか、心に深く刺さりました。
情景描写がすごい!
感動しました。
あと、何でかぎかっこが三重なんですかね....?
けっこう謎が多くて、それがまたスパイスになってますね! こももさん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2023年6月3日 -
深い…… 小説書き慣れていらっしゃる方ですか!って感じが伝わってきました!描写がリアルだしセリフとかも臨場感があってすごくよかったです。結果絋太くんは捕まっちゃうか最悪死刑?かもって考えると泣きそうになります。
感想よろしくお願いします!とのことなので現役高校生の私からアドバイスです!(何かの小説大賞で賞を取った経験とか何もないですけど笑 偉そうですみません。自分のことを棚に上げて言います)
話の流れ?が少しわかりづらかったかなーと思いました!
・動画を録画していたのはなぜか?
・仕事場とありますが、愛さんの職業や年齢は?
・絋太くんはなぜ愛ちゃんを殺さないのか?過去に何かあった?
とかの伏線回収がラストシーンでうまくできると、さらに読み応えがある小説が書けると思います!
とはいえ、これをお前はできるのか、と言われれば正直できる自信はありません笑ごめんなさい
これからも書いてくださいね! 小説家になりたい人さん(選択なし・16さい)からの答え
とうこう日:2023年6月2日
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- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
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個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
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