『今度は俺が入れてあげる。りんごも、君の口にも』
「おーい、大丈夫かー」
小春の猫なで声に、いつもなら突っ込む咲人だが、今現在彼にはそんな余裕はないようだ。
「うるさいやめ、て、はあ、響くから、」
ソファの上でそう言い返すのが精一杯の咲人は、同居している小春が目を覚ました時には既に唸っていたのだ。
昨日の夜、咲人は地元の友達がこっちに遊びに来たとかで意気揚々と飲みに出かけた。
帰ってきたのは午後9時頃。大学生というのもあるが、飲みにしては帰りが早かった。
そして彼は手に持っていたコンビニ袋から、お酒とお菓子を取りだして、飲み直すと高らかに宣言した。この時点でやめろと止めておくべきだった、と小春は後に後悔する…いや、後悔するのは咲人本人だけであって小春はむしろ弱った咲人を見れるのでラッキー。けれど、僕の分だけじゃなくて小春ちゃんにもお土産、と甘い言葉と甘いお菓子にちょろい小春は流され、結局一緒に飲んだ。
小春は、ポテトサラダにりんごを入れる入れないで軽く論争になったところまでは覚えているが、日付けが変わる前に自分が先に寝落ちしたのだろうと思った。ちなみに小春は入れない派。いやそんなことはどうでもいい。その後彼がどれだけ飲んだのかは知らないが、小春が朝目覚めた時にはソファの上で死にかけているやつがひとりいた。
「ううっ、はあ、気持ち悪い、」
目元までかかる直毛の髪をかき上げ、大きな目には涙の膜を張っている。小柄でそんなにお酒にも強くない咲人。こいつ吐きかねない、と小春は立ち上がり床に放り出されたままのコンビニ袋を手に取る。
「喋ると吐くよ。昨日何時まで起きてたの」
「おぼ、覚えてない、今日まで、起きてた、」
「馬鹿じゃないの」
突き放した言葉をかけながらも、ビニール袋と冷蔵庫から持ってきたスポーツ飲料を持ってくるあたり、さすが彼女だとも言える。普段発揮されることの無い私の優しさを存分に受けろ、と言わんばかりに小春は偉そうにしながら咲人の隣に座った。
いつもは小春より一枚上手な態度ばかりを見せる咲人だが、この時ばかりはさすがに弱りきっていた。そのせいでペットボトルのキャップひとつも開けられずに小春から馬鹿にされたのは誰も知らなくていい事実だ。
お昼は小春が咲人のために、お粥を作った。 小春が料理を作ると、材料よりも絆創膏の減りの方が早いので料理担当はいつも咲人。包丁を使う行程がないお粥は無事に完成し、完璧に姉モードの小春が咲人の口までスプーンを運ぶ。
「やめてよ、弟みたいにするの」
だいぶ落ち着いてきた咲人だが、毛布にくるまる姿はまるで風邪で休んだ弟。隣で、優しい姉とは程遠い笑みを浮かべる小春。
「ほら、はよ口開けて」
姉と言うよりほぼ母親だ。
小春の口調はともかく、食べさせられることに慣れない咲人は不覚にも少し緊張している。
「え、あ、あー」
控えめに口を開く咲人は少し赤くなっている。いくら見た目が中性的でも中身は男の子、やっぱり甘えてる感があって小春の顔もまともに見れていない。
「偉いねえ、咲人君」
面白がるように子供扱いする小春。
「治ったら覚悟しといてよ」
伝える気があるのかないのか、咲人がつぶやいた声に小春は聞き返す。
「え、なんて?」
咲人はわざと、言葉を変えた。
「」
やっぱり一枚上手だ、彼の方が。 都色さん(選択なし・16さい)からの相談
とうこう日:2023年5月20日みんなの答え:2件
小春の猫なで声に、いつもなら突っ込む咲人だが、今現在彼にはそんな余裕はないようだ。
「うるさいやめ、て、はあ、響くから、」
ソファの上でそう言い返すのが精一杯の咲人は、同居している小春が目を覚ました時には既に唸っていたのだ。
昨日の夜、咲人は地元の友達がこっちに遊びに来たとかで意気揚々と飲みに出かけた。
帰ってきたのは午後9時頃。大学生というのもあるが、飲みにしては帰りが早かった。
そして彼は手に持っていたコンビニ袋から、お酒とお菓子を取りだして、飲み直すと高らかに宣言した。この時点でやめろと止めておくべきだった、と小春は後に後悔する…いや、後悔するのは咲人本人だけであって小春はむしろ弱った咲人を見れるのでラッキー。けれど、僕の分だけじゃなくて小春ちゃんにもお土産、と甘い言葉と甘いお菓子にちょろい小春は流され、結局一緒に飲んだ。
小春は、ポテトサラダにりんごを入れる入れないで軽く論争になったところまでは覚えているが、日付けが変わる前に自分が先に寝落ちしたのだろうと思った。ちなみに小春は入れない派。いやそんなことはどうでもいい。その後彼がどれだけ飲んだのかは知らないが、小春が朝目覚めた時にはソファの上で死にかけているやつがひとりいた。
「ううっ、はあ、気持ち悪い、」
目元までかかる直毛の髪をかき上げ、大きな目には涙の膜を張っている。小柄でそんなにお酒にも強くない咲人。こいつ吐きかねない、と小春は立ち上がり床に放り出されたままのコンビニ袋を手に取る。
「喋ると吐くよ。昨日何時まで起きてたの」
「おぼ、覚えてない、今日まで、起きてた、」
「馬鹿じゃないの」
突き放した言葉をかけながらも、ビニール袋と冷蔵庫から持ってきたスポーツ飲料を持ってくるあたり、さすが彼女だとも言える。普段発揮されることの無い私の優しさを存分に受けろ、と言わんばかりに小春は偉そうにしながら咲人の隣に座った。
いつもは小春より一枚上手な態度ばかりを見せる咲人だが、この時ばかりはさすがに弱りきっていた。そのせいでペットボトルのキャップひとつも開けられずに小春から馬鹿にされたのは誰も知らなくていい事実だ。
お昼は小春が咲人のために、お粥を作った。 小春が料理を作ると、材料よりも絆創膏の減りの方が早いので料理担当はいつも咲人。包丁を使う行程がないお粥は無事に完成し、完璧に姉モードの小春が咲人の口までスプーンを運ぶ。
「やめてよ、弟みたいにするの」
だいぶ落ち着いてきた咲人だが、毛布にくるまる姿はまるで風邪で休んだ弟。隣で、優しい姉とは程遠い笑みを浮かべる小春。
「ほら、はよ口開けて」
姉と言うよりほぼ母親だ。
小春の口調はともかく、食べさせられることに慣れない咲人は不覚にも少し緊張している。
「え、あ、あー」
控えめに口を開く咲人は少し赤くなっている。いくら見た目が中性的でも中身は男の子、やっぱり甘えてる感があって小春の顔もまともに見れていない。
「偉いねえ、咲人君」
面白がるように子供扱いする小春。
「治ったら覚悟しといてよ」
伝える気があるのかないのか、咲人がつぶやいた声に小春は聞き返す。
「え、なんて?」
咲人はわざと、言葉を変えた。
「」
やっぱり一枚上手だ、彼の方が。 都色さん(選択なし・16さい)からの相談
とうこう日:2023年5月20日みんなの答え:2件
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おおお… すごいなんか…ねえ…すごい…(語彙力、オワタ)
最後咲人くんなんて言ったんだろって考えるとなんかキュンとしました。2人はなんかこのまま恋人超えて、いい夫婦になりそうな予感、
なんなら「」で咲人くんプロポーズしてたり…って待て。今気づいたんだけどこれ、最後の「」に入るのってタイトル?
あそっかそういうことね!
以上考察班でしたー 小説家になりたい人さん(選択なし・16さい)からの答え
とうこう日:2023年6月30日 -
カンドーするゼ…!! コンチクハ!! My name is samurai Japan!! ニクネ覚えてねー!!ではでは,さっそくですが,本題へいきましょーウキウキ
*・゜゚・*:.。..。.:*・'本題'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
無題!!お料理と恋愛小説がつながってる!ぼく,こういう小説タイプダワー(^O^) キュンキュンドキドキするゼ!!((キモいッ!
オモシロイ,ココロ温まるステキなラブ・ブレッシングなお話だな!(↑「ラブ・ブレッシング」の意味コイツ知ってんのか!?)
では,おさらばじゃ☆
侍ジャパンさん(三重・10さい)からの答え
とうこう日:2023年6月30日
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