イチバンボシ
小4の冬。変わったタイミングで君は転校してきた。
「あ、、よろしくお願いします、、?」
ちょっとたどたどしい日本語に、丁寧な所作、一つ一つが星のように輝いて見えた。
このとき、僕は初めて恋に落ちた。
「ねぇ、行きたいところがあるんだ。」
そう話し始めた君。
転校してからずいぶん経って、言葉遣いは普通になり、ずいぶんと大人びた。
卒業式直後の3月下旬。進学前に、という考え方なのだろう。
「来てくれる?」
「ん。」
どうしても君に対してそっけなくなってしまう僕は、「ん」だけで済ませてしまうのが日常。
君は僕のことをそういう人だと思っているが、実際は君だけに見せる一面にしか過ぎない。
本当の自分はもっとわがままで、子供な普通の男子。
せめて君にだけは、理想の自分を見せていたかった。
ついたのは広い原っぱ。
「ここがどうしたの」
「んーー、」
珍しく君は少しためらった。小声で「うん」と言ってから、話し始めた。
「信じられないかもだけど、聞いてね?」
「え?、、ん。」
「実は、地球の人じゃないんだ。宇宙の、ずっと先の、星から来た。」
何の作り話だよ、と突っ込みたくなってしまう気持ちはなぜかなく、君の言っていることなんだから、と信じる気持ちのほうが大きかったのは恋のせいなのか。
「だから、さ」
「もうちょっとしたら、帰らないといけなくて」
ここでようやく、僕の気持ちは揺らいだようだった。
「えっ?」
「だから、君にだけは言いたかった。ありがとう。」
気が付いたら君の顔がにじんだと思ったら視界が晴れて、頬に温かい感触が伝った時、涙だったことに気が付いた。
「なんで、、、そんなに急にいなくなるのさ、、、」
本音が漏れた。君に好かれようとしてつけていた仮面は剥がれ落ちた。
「うん。でもどうしようもない。ごめん。でも、泣くほど大事に思ってくれてたんだね。ありがとう。」
でも、行かないでほしいと駄々をこねることは自分の理性が許さなかった。
僕はもう泣くことしかできなかった。
「じゃあ、さ。最後の思い出に、空中散歩でもしようか。」
この言葉のおかげで少し涙は引っ込んだ。
君は僕の手を取った。手をつないでいる、なんて考える隙もないほどに、空をゆっくり歩いていく感覚は不思議だった。
右足、左足と不器用にぎこちなく、2人で歩く空中。
段々慣れてきて横とか、上を見渡してみる。
一面に広がる宇宙。
そして、きれいな君の横顔。
ふと、口から漏れていた。
「好き」
「え?私が?」
「、、うん」
「恋愛的な?」
「、、うん、」
ここで僕は人生初の告白をした。
もう状況的に断られる未来しか見えてこなかったが、告白しないよりはましだ。
「へへへ、ありがとう!私も好き!!」
「ふぇ?」
間抜けな声が出てしまった。
「恋愛的に?」
「んー。そういうのよくわかんないけど、好き!」
「こんな私にも付き合ってくれるとことか、優しいとことか」
それは、君に見せているだけの理想の自分に過ぎない。
半分嬉しいが半分悲しい、複雑な心境に口を閉じてしまった。
「あ、、ごめん、好きって言って、、迷惑?」
「そんなこと」
「私はどんな君でも好きだよ。」
自分の考えていることが見透かされているようで、その言葉がすごくうれしかった。
「また、会いたいな。」
「うん。会いたい」
「毎年の七夕、ここに来てくれる?できるだけ早朝にここ向かうから!」
「え?いいの?」
「1日くらいならいいって!多分ね」
1日だけなのは悲しいが、とにかく会いたい。
「じゃあ、そういうことで、、、もう帰らないと」
「うん、」
「じゃあ、また会おうね。」
「、、、分かった」
そして原っぱに降り立ち、
「ありがとう。楽しかった。またね」
目の前が真っ白になったと思ったら空に流れ星が流れているだけで、もう原っぱには誰もいなかった。
いろんな感情が混ざり合って、ただ茫然と、しばらく立ち尽くしていた。
それから、君のことを毎日考えるほどに七夕を待った。
そして、ようやく迎えた七夕。
運よく今日は日曜日。
明日の学校のことなんて考えずに早朝に原っぱに到着して、君のことを待った。
しばらく待つと、流れ星がこっちに向かってきた。
「あ」
いきなり視界が白くなって、目の前には宇宙船と君。
「ただいま。会いたかったよ」
「うん。僕も会いたかった」
そこから1日、僕らはゲーセン、公園、買い物、、、遊びまくった。そして夜になったときはとてもつらかった。
「さみしいな」
「私のことなんて7月になったら思い出せばいいよ。全力で楽しんでね、学校生活」
「わかった。頑張ってみる」
「じゃあ、来年、会おうね。ありがとう」
来年も、そのまた来年も、この幸せなひと時が続きますように。
君を乗せて去って行った、流れ星に僕はそう願った。
初めてです
感想下さい ぐりぃんさん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2023年5月28日みんなの答え:1件
「あ、、よろしくお願いします、、?」
ちょっとたどたどしい日本語に、丁寧な所作、一つ一つが星のように輝いて見えた。
このとき、僕は初めて恋に落ちた。
「ねぇ、行きたいところがあるんだ。」
そう話し始めた君。
転校してからずいぶん経って、言葉遣いは普通になり、ずいぶんと大人びた。
卒業式直後の3月下旬。進学前に、という考え方なのだろう。
「来てくれる?」
「ん。」
どうしても君に対してそっけなくなってしまう僕は、「ん」だけで済ませてしまうのが日常。
君は僕のことをそういう人だと思っているが、実際は君だけに見せる一面にしか過ぎない。
本当の自分はもっとわがままで、子供な普通の男子。
せめて君にだけは、理想の自分を見せていたかった。
ついたのは広い原っぱ。
「ここがどうしたの」
「んーー、」
珍しく君は少しためらった。小声で「うん」と言ってから、話し始めた。
「信じられないかもだけど、聞いてね?」
「え?、、ん。」
「実は、地球の人じゃないんだ。宇宙の、ずっと先の、星から来た。」
何の作り話だよ、と突っ込みたくなってしまう気持ちはなぜかなく、君の言っていることなんだから、と信じる気持ちのほうが大きかったのは恋のせいなのか。
「だから、さ」
「もうちょっとしたら、帰らないといけなくて」
ここでようやく、僕の気持ちは揺らいだようだった。
「えっ?」
「だから、君にだけは言いたかった。ありがとう。」
気が付いたら君の顔がにじんだと思ったら視界が晴れて、頬に温かい感触が伝った時、涙だったことに気が付いた。
「なんで、、、そんなに急にいなくなるのさ、、、」
本音が漏れた。君に好かれようとしてつけていた仮面は剥がれ落ちた。
「うん。でもどうしようもない。ごめん。でも、泣くほど大事に思ってくれてたんだね。ありがとう。」
でも、行かないでほしいと駄々をこねることは自分の理性が許さなかった。
僕はもう泣くことしかできなかった。
「じゃあ、さ。最後の思い出に、空中散歩でもしようか。」
この言葉のおかげで少し涙は引っ込んだ。
君は僕の手を取った。手をつないでいる、なんて考える隙もないほどに、空をゆっくり歩いていく感覚は不思議だった。
右足、左足と不器用にぎこちなく、2人で歩く空中。
段々慣れてきて横とか、上を見渡してみる。
一面に広がる宇宙。
そして、きれいな君の横顔。
ふと、口から漏れていた。
「好き」
「え?私が?」
「、、うん」
「恋愛的な?」
「、、うん、」
ここで僕は人生初の告白をした。
もう状況的に断られる未来しか見えてこなかったが、告白しないよりはましだ。
「へへへ、ありがとう!私も好き!!」
「ふぇ?」
間抜けな声が出てしまった。
「恋愛的に?」
「んー。そういうのよくわかんないけど、好き!」
「こんな私にも付き合ってくれるとことか、優しいとことか」
それは、君に見せているだけの理想の自分に過ぎない。
半分嬉しいが半分悲しい、複雑な心境に口を閉じてしまった。
「あ、、ごめん、好きって言って、、迷惑?」
「そんなこと」
「私はどんな君でも好きだよ。」
自分の考えていることが見透かされているようで、その言葉がすごくうれしかった。
「また、会いたいな。」
「うん。会いたい」
「毎年の七夕、ここに来てくれる?できるだけ早朝にここ向かうから!」
「え?いいの?」
「1日くらいならいいって!多分ね」
1日だけなのは悲しいが、とにかく会いたい。
「じゃあ、そういうことで、、、もう帰らないと」
「うん、」
「じゃあ、また会おうね。」
「、、、分かった」
そして原っぱに降り立ち、
「ありがとう。楽しかった。またね」
目の前が真っ白になったと思ったら空に流れ星が流れているだけで、もう原っぱには誰もいなかった。
いろんな感情が混ざり合って、ただ茫然と、しばらく立ち尽くしていた。
それから、君のことを毎日考えるほどに七夕を待った。
そして、ようやく迎えた七夕。
運よく今日は日曜日。
明日の学校のことなんて考えずに早朝に原っぱに到着して、君のことを待った。
しばらく待つと、流れ星がこっちに向かってきた。
「あ」
いきなり視界が白くなって、目の前には宇宙船と君。
「ただいま。会いたかったよ」
「うん。僕も会いたかった」
そこから1日、僕らはゲーセン、公園、買い物、、、遊びまくった。そして夜になったときはとてもつらかった。
「さみしいな」
「私のことなんて7月になったら思い出せばいいよ。全力で楽しんでね、学校生活」
「わかった。頑張ってみる」
「じゃあ、来年、会おうね。ありがとう」
来年も、そのまた来年も、この幸せなひと時が続きますように。
君を乗せて去って行った、流れ星に僕はそう願った。
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感想下さい ぐりぃんさん(東京・12さい)からの相談
とうこう日:2023年5月28日みんなの答え:1件
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七夕やぁぁ 七夕!今日だよね!
2人は織姫と彦星みたいな関係なんだなぁ。
主役くんの好きな人に素っ気なくなっちゃうとこ共感できる。しかも勢いで告白しちゃって何気に成就してて嫉妬しました(?)
七夕最高かよー! 小説家になりたい人さん(選択なし・16さい)からの答え
とうこう日:2023年7月7日
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