トップへもどる
キッズ@niftyの外 アット・ニフティの他のページ 有償サイト マークのせつめい
この恋の行先は 「とーうーかー! 透華ってばー! 聞いてる?」
「あ、ごめん・・・・・・。ちょっと眠くって」
「はぁ・・・・・・」
ひらひらと私の前で手を振る茅乃。
別に、眠いわけじゃない。茅乃の話がつまらないわけでもない。
《今日は早く寝てほしいな。透華倒れないでよね》
私は、人の心の声が聞こえる。だから、茅乃の声も聞こえる。それから、他の人の声も雑音みたいに入ってきてしまうのだ。だから、うまく聞き取れなかったり、聞き逃したりすることが多くある。
《勉強ばっかりで睡眠とれてないのかな》
なぜかは知らない。でも、物心ついたころから、私には聞こえた。
「えっと、その、牧くんの話なんだけど・・・・・・」
「おー! 何!?」
「茅乃、声が大きい・・・・・・」
「ごめん・・・・・・」
恋バナ。茅乃はこれが大好物で、放課後や休み時間によくしている。
「どうしたら、いいのかなぁ」
「どうするって、話すしかないじゃん! だんだんと距離を縮めて・・・・・・。まずは、“クラスメイト”から“友達”ぐらいにはならないとさ。もう卒業まで1ヶ月だよ?」
「・・・・・・そうだね、がんばる」

─翌日─
「水野さん、牧くんと隣なんだって?」
「うん・・・・・・」
《マジでなんなの。ありえない》
「良かったね。あぁー羨ましいわぁー」
《なんでアイツが牧と隣なのよ》
「好きなんでしょ? 頑張ってね」
「あ、ありがとう」
《ま、絶対無理だろうけど》
席替え。運悪く、と言ってもいいのか、私は好きな人──牧くんと隣になってしまった。そして、私の周りに集まった子達に“心の声”で罵倒されている。
貼り付いた笑顔。愛想笑い。悪魔のような微笑み。囁き。トゲのような“言葉”。
《あんたなんか牧くんが好きになるわけないよ》
チャイムがなり、最後に発せられた“言葉”はこれだった。

「先生、私、視力が落ちちゃって、この席じゃ見えないんです・・・・・・。前の席にしてもらえませんか?」
「ああ、いいよ。おーい! 誰か佐崎と代わってやれ!」
《無理に決まってるでしょ》
《水野さんが代わればいいじゃん》
《由佳、がんばれ! 牧くんの隣いけ!》
私に向けられた視線。牧くんのことが好きな、佐崎さんを応援している人ばかりが私の方を見ている。
ああ、私が挙げるしかないのか。
「私、代わります!」
「え」
《うそじゃん。なんで茅乃!?》
《奈倉さん代わらなくていいのに》
ざわざわした空気の中で、その日の授業は終わった。

─放課後─
「本当、ありがとう」
「全然いいんだって。というか、佐崎さんが牧くんの隣狙ってるのはなんとなく分かってたし」
やっぱり、茅乃も分かってたみたい。
「濱野さん達もさー、わざわざあんなこと言わなくていいのにね」
クリームソーダにのせられた、アイスが溶けて沈んでいく。
「仕方ないよ。濱野さん達、佐崎さんのこと応援してるし。あと、私佐崎さんみたいにとびっきり可愛いわけじゃないし」
私が美少女だったら、違ったのかな。
「見た目が可愛くても、性格悪かったら無理だよ。佐崎さんみたいにさー」
《普通に透華は可愛いし、性格いいし。謙遜するんじゃないよ!》
「そんなこと言わないでよ・・・・・・。聞かれてたらどうするの」
「大丈夫だって。ここのカフェ、あの人達絶対来ないし。あの人達は原宿とか、新宿とかにしか興味ないんだから」
《あんな人達、大っ嫌い》
あまり人の悪口を言わない茅乃が、嫌いなのが佐崎さんや濱野さん達だった。

とうとう、卒業まで残り半月になってしまった。天気は、私の気持ちを映し出したかのような雨。
「水野?」
「牧、くん?」
「あれ、傘ないの?」
「あ、忘れちゃって・・・・・・」
言えない。濱野さん達に取られたなんて、言えない。「あれ、あたしの傘これだっけー?」とかわざとらしく言って、よくあるビニール傘を取って行った。
「貸すよ。俺、折りたたみあるし」
「い、いやいや。大丈夫。親が迎えに来てくれるから」
「何時?」
「・・・・・・仕事終わりだから、あと一時間」
《そんなに待つとか、偉いな》
「送るよ」
「えっ、えっ!?」
手を取られて、私は牧くんの傘の中に入ってしまった。これ、相合傘!?
《うわ、これ、チャンスじゃん! どうしよう》
チャン、ス? とりあえず、会話続けないと。
「雨だ、ね」
「うん。あのさ、俺、水野に伝えたいことが──」
この恋、期待してもいいですか?
《end》

瑠菜です。短編小説初めてですが、どうでしたか? 感想やアドバイスなどいただけると嬉しいです! 辛口はやめてね!
瑠菜 *ルナ* #そろそろ改名しようかなさん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2023年6月16日みんなの答え:1件

※SNSボタンについて

この相談に答える
※23:00〜6:00は回答の投稿はできません

みんなの答え

[ まえへ ]  1  [ つぎへ ]
1件中 1 〜 1件を表示
  • すごっ!! 感動しました!!素敵!!!

    風景描写なども効果的に使えていて、ストーリーに吸い込まれていきそうでした。
    (特に「あ〜。 すご!!」と思ったところは、『クリームソーダにのせられた、アイスが溶けて沈んでいく。』のところです。)

    また、小説、書いてほしいです!!
    ネコポスさん(大阪・14さい)からの答え
    とうこう日:2023年7月23日
[ まえへ ]  1  [ つぎへ ]
1件中 1 〜 1件を表示

相談に答える

相談の答えを書くときのルール
短編小説への回答を書くときのルール
編集部よりのお願い
  • キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの個人こじん判断はんだんすることが出来ないため、削除依頼さくじょいらいには対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。

ニックネーム

  • 20字まで
  • フルネーム(名字・名前の両方)が書かれた投稿(とうこう)紹介(しょうかい)できません

せいべつ

   

ねんれい

  • 投稿できるのは5〜19さいです

都道府県(とどうふけん)

アイコン

           
           

答えのタイトル

  • 20字まで

答え

  • 500字まで
  • 自己紹介(しょうかい)は2行程度でお願いします
※23:00〜6:00は回答の投稿はできません
※23:00〜6:00は相談の投稿はできません
サマーフェスタ2024
実施中のアンケート
  • 調査アンケート:恋愛

    アンケート実施期間:〜7月22日まで

  • 調査アンケート:ケータイ・スマホ

    アンケート実施期間:〜8月19日まで

カテゴリごとの新着相談
青春をきざもうキャンペーン:CupopSchool
いまどきの小中学生のホンネクイズ:第8回
ニフティキッズ公式SNSのご紹介
いろんな相談先があります
子供のSOSの相談窓口
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
>>SNSで相談する
・電話で相談する
24時間子供SOSダイヤル(通話料無料)
>>地元の相談窓口を探す
チャイルドライン
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。
おうちの人とつくろう!わが家のインターネットルール
トップへもどる
お問い合わせ おうちの方へ
(c)NIFTY Corporation