【短編小説】勇者の活躍
この地に伝わる伝説の剣を持つ勇者が、荒廃した世界を救った。
しかし、その活躍は民に知られていない。
彼らにとって、勇者はただの旅人だ。
それでも勇者は、自分の功績を世に知らしめることなく、ただの旅人のままで過ごした。
もちろん、勇者の存在を知る人も少なからずいるが、出会っても自慢することは無かった。
時は遡り、世界が荒廃する前――この地に小さな王国があった時代。
とある村に、剣術に興味を持ち始めていた少年がいた。
少年は王国の姫と同い年で、幼馴染でもあった。
少年がよく読んでいた絵本には、ある剣の存在が語られていた。
どんな悪も蹴散らすというその剣は、限られた者にしか手にすることが出来ないという。
またその剣は、王族を守るために造られたものだと書かれてあった。
卓越した剣術か、比類なき剛力か。剣を手にするためには、どんな力が必要なのか。少年は気になって仕方がなかった。
「自分が剣を手にしたら、あの姫を護りたい」
その想いを胸に、少年は剣の鍛錬に励むようになった。
勇者は困っている人を放っておけない性格である。
どんなに些細なことでも、相手がどんな人だろうと真摯に悩みを聞き、自分に出来ることを精いっぱいする。
その人柄に、民は感心していた。
ある日のこと、ひとりの村人が勇者に聞いた。
「貴方は何故、それほどまでに親切なのですか」
勇者は答えた。
「私はただ、自分の故郷を守りたいだけです」
その言葉の意味が分からなかったので、村人はなぜそう思うのかを聞いた。
こんなに荒れた土地で暮らす人など、助けても価値がないだろう……そう思っていたからだ。
すると、勇者の口からはこんな答えが返ってきた。
「ここがどんなに荒廃した場所であろうと、私の故郷ということに変わりはありません。故郷で困っている人を放っておけないし、助けたい。それだけですよ」
少年の幼馴染でもあった姫は、勉学に運動に作法に……忙しい毎日を送っていた。
ただ、どうしても思うように出来ない。
「王国の恥」や「出来損ない」と、口さがない城の者から蔑まれることもあった。
そんな姫にとって、少年の存在は癒やしでもあり、励みであった。
中庭で少年と話していた時、姫はある疑問を口にした。
「あなたがもし、わたしと同じように何も出来ない人間だったら……あなたはどうしていましたか?」
少年はすぐに答えた。
「何も出来ない人間なんていないよ。僕は姫さまのいいところを知ってるよ」
「え?」
「姫さまはいつも頑張ってるでしょ?お勉強とかお作法とか。そういうのって、僕にはとても出来ないことだと思うな」
「そう……ですか?」
「うん。姫さまは頑張りやさんだよ!」
「……ありがとうございます」
絵本を読んだときも、姫の悩みを聞いたときも、世界を救ったときも。
勇者の心にはいつも「誰かを助けたい」という想いだけがあった。
それは今でも変わらない。
これからも、勇者は誰かの助けとなれるよう尽力していくだろう。
たったひとり生き残った王族である、姫と共に。
こんにちは、ユーカリです。今回は勇者の人生がテーマのファンタジー系小説を書いてみました。
よければ感想・アドバイスなどよろしくお願いします。 ぱんだのユーカリさん(福岡・14さい)からの相談
とうこう日:2023年7月3日みんなの答え:2件
しかし、その活躍は民に知られていない。
彼らにとって、勇者はただの旅人だ。
それでも勇者は、自分の功績を世に知らしめることなく、ただの旅人のままで過ごした。
もちろん、勇者の存在を知る人も少なからずいるが、出会っても自慢することは無かった。
時は遡り、世界が荒廃する前――この地に小さな王国があった時代。
とある村に、剣術に興味を持ち始めていた少年がいた。
少年は王国の姫と同い年で、幼馴染でもあった。
少年がよく読んでいた絵本には、ある剣の存在が語られていた。
どんな悪も蹴散らすというその剣は、限られた者にしか手にすることが出来ないという。
またその剣は、王族を守るために造られたものだと書かれてあった。
卓越した剣術か、比類なき剛力か。剣を手にするためには、どんな力が必要なのか。少年は気になって仕方がなかった。
「自分が剣を手にしたら、あの姫を護りたい」
その想いを胸に、少年は剣の鍛錬に励むようになった。
勇者は困っている人を放っておけない性格である。
どんなに些細なことでも、相手がどんな人だろうと真摯に悩みを聞き、自分に出来ることを精いっぱいする。
その人柄に、民は感心していた。
ある日のこと、ひとりの村人が勇者に聞いた。
「貴方は何故、それほどまでに親切なのですか」
勇者は答えた。
「私はただ、自分の故郷を守りたいだけです」
その言葉の意味が分からなかったので、村人はなぜそう思うのかを聞いた。
こんなに荒れた土地で暮らす人など、助けても価値がないだろう……そう思っていたからだ。
すると、勇者の口からはこんな答えが返ってきた。
「ここがどんなに荒廃した場所であろうと、私の故郷ということに変わりはありません。故郷で困っている人を放っておけないし、助けたい。それだけですよ」
少年の幼馴染でもあった姫は、勉学に運動に作法に……忙しい毎日を送っていた。
ただ、どうしても思うように出来ない。
「王国の恥」や「出来損ない」と、口さがない城の者から蔑まれることもあった。
そんな姫にとって、少年の存在は癒やしでもあり、励みであった。
中庭で少年と話していた時、姫はある疑問を口にした。
「あなたがもし、わたしと同じように何も出来ない人間だったら……あなたはどうしていましたか?」
少年はすぐに答えた。
「何も出来ない人間なんていないよ。僕は姫さまのいいところを知ってるよ」
「え?」
「姫さまはいつも頑張ってるでしょ?お勉強とかお作法とか。そういうのって、僕にはとても出来ないことだと思うな」
「そう……ですか?」
「うん。姫さまは頑張りやさんだよ!」
「……ありがとうございます」
絵本を読んだときも、姫の悩みを聞いたときも、世界を救ったときも。
勇者の心にはいつも「誰かを助けたい」という想いだけがあった。
それは今でも変わらない。
これからも、勇者は誰かの助けとなれるよう尽力していくだろう。
たったひとり生き残った王族である、姫と共に。
こんにちは、ユーカリです。今回は勇者の人生がテーマのファンタジー系小説を書いてみました。
よければ感想・アドバイスなどよろしくお願いします。 ぱんだのユーカリさん(福岡・14さい)からの相談
とうこう日:2023年7月3日みんなの答え:2件
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めちゃくちゃ上手☆* Hi(^^♪My name's Marin(*´・ч・`*)
☆*: .。. o本題o .。.:*☆
めちゃくちゃ上手☆*
Have a nice day(*^^)v
Thanks for reading(*'ω'*)See ya(^^♪ 舞凜*まりん*#元兎乃#田舎の女子小学生さん(岐阜・12さい)からの答え
とうこう日:2023年8月8日 -
すごすぎる! こんにちは!元瑠璃の空愛だよ!
.。。◯
すごい!
書くの上手だからアドバイスなしです!
.。。◯
小5より 空愛/soa/小5女子さん(神奈川・10さい)からの答え
とうこう日:2023年8月8日
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