さようなら。
キキーっという金属が擦れるような音がした直後、ドンっという音がして、痛みと同時に、自分の体が見えた。
痛みは、消えていた。
私の体から、赤い何かが出てきている。
子供がバイクに轢かれたぞー!という大声でそのことに気づいた。
私、千伽瑞希は、高校三年生の、9月25日、死んだ。
今日は、彼氏の透と付き合って一周年のデートの日だったのに。
そんな。そんなそんなそんな。
私は、必死に自分の体に自分を叩きつけた。何度も何度も。
ダメだった。体に入れることは到底無理で、ただすり抜けるだけだった。私は、思わず泣き崩れた。それでも当然、誰も慰めてはくれない。
……視線に気付いたのは、先のことだった。
暗くなり、皆が私が死んだ場所からいなくなって、私もふらふらといろいろな場所を漂っていた時、あの、と声をかけられた。
どうせ私に話しかけていない。
そう思ってまた進もうとした。
「ねえ!瑞希さん!」
一瞬、夢かと思った。だって、私は幽霊なのだから。
思わず指で自分を指差すと、その子は大きく頷いた。
「ねえ、名前、なんで。」
「クラスメイトのこと、忘れてしまいましたか?」
そうだ。この子は、川田御里。クラスメイトだ。
何となく近寄り難い雰囲気、いや、大人しいイメージがあって、話したことがあまり無かった。
「どうして、私が見えるの?」
「霊感です。事故にあったんですよね?」
今度は私が頷く。
もう広まっているのか。
と言うか、何の用?
私の心を読んだかのように、御里が言う。
「私は、事件当日に瑞希さんが泣いているのをみて、成仏してあげたいと思ったんです。」
「ええ、待って待って。まだ四十九日経ってないと思うんだけど?」
「たちましたよ。太陽の元にいる間、幽霊は記憶をなくすんです。だから、少ししか経ってないと感じるんだと思います。もう五十日は経ってますよ。」
そうだったんだ。私は、成仏できていない幽霊。
幽霊の存在自体信じていなかったので、なんだか客観的に感じるが、自分のことなんだ。
「どうしたら成仏できるの?」
「あなたの未練を叶えたいんです。」
それなら、すぐに思いつく。
「透に、会いたい。話がしたい。」
そしてその後、死んだ日は、透との一周年のデートだと伝えた。
でも、そう簡単に、透が信じるだろうか?それも伝えると、御里が言った。
「普通、人は幽霊の存在を信じない。でも、頑張ってみます。」
でも、ひとつ疑問が浮かんだ。
「私、太陽に当たると一時的に消えるんでしょ?そしたら、伝えるの夜になっちゃうよ。」
「一日中、建物の中などに、影になるところにいればいいんです。」
そうか。太陽に当たらなければいい。そして、私は、一日中日の当たらない空き教室で待っていてと言われた。
喜ばしいことに、誰も使っていないからか、教室内は涼しかった。
教壇の上で飛び跳ねて遊んだり、机の上に座ったりと、男子たちがやるような事をして、一日を潰した。
放課後。
ついに、その時がやってきた。
ガラガラとドアが開き、透と御里が入ってきた。
御里はこちらに近づき、ひそっと言った。
「説得はしておいたから。しゃべりたいことは、私が伝える。」
良かった。せっとくできたんだ。
私は、喋り出す。
伝えたいことを、全て。
「信じてくれてるかどうかは分からないけど、聞いてほしい。私と付き合って、一周年の日だったのに、一緒にいられなくて、ごめん。私は死んじゃったけど、透は悲しまないでほしい。透といられて、本当に、楽しかった。本当に本当に、ありがとう。」
御里が、それをそのまま繰り返し、話し合える。
数十秒間、静かな教室に、沈黙が続く。
「話はそれだけ?」
「「えっ、」」
御里も驚いたようで、声が重なった。
「俺が、バイクで瑞希轢くように友だちに指示したんだわ。好きな人できて、邪魔だったから。」
そん、な。
透は、続ける。
「俺がお前を、殺した。」
今までの笑顔も、楽しかった思い出も、全て嘘だった、なんて。
どうして。
でも、心残りのことも、すべて言い終えたからか、理由を聞く暇もなく、空に向かって、ものすごい勢いで押し出される。
抵抗する暇もなく、一瞬で天井までいく。すると、微かに、透の声が聞こえた。
「じゃあな。お気の毒様。」
最後に見たのは、不敵笑みをした、な、透の顔だった。
理不尽だ。こんなの。
「嫌だっ!」
私の叫び声が、青空の中を、無慈悲に響き渡った。
初めて書いたバッドエンドです!辛口NG! 風さん(東京・10さい)からの相談
とうこう日:2023年8月23日みんなの答え:6件
痛みは、消えていた。
私の体から、赤い何かが出てきている。
子供がバイクに轢かれたぞー!という大声でそのことに気づいた。
私、千伽瑞希は、高校三年生の、9月25日、死んだ。
今日は、彼氏の透と付き合って一周年のデートの日だったのに。
そんな。そんなそんなそんな。
私は、必死に自分の体に自分を叩きつけた。何度も何度も。
ダメだった。体に入れることは到底無理で、ただすり抜けるだけだった。私は、思わず泣き崩れた。それでも当然、誰も慰めてはくれない。
……視線に気付いたのは、先のことだった。
暗くなり、皆が私が死んだ場所からいなくなって、私もふらふらといろいろな場所を漂っていた時、あの、と声をかけられた。
どうせ私に話しかけていない。
そう思ってまた進もうとした。
「ねえ!瑞希さん!」
一瞬、夢かと思った。だって、私は幽霊なのだから。
思わず指で自分を指差すと、その子は大きく頷いた。
「ねえ、名前、なんで。」
「クラスメイトのこと、忘れてしまいましたか?」
そうだ。この子は、川田御里。クラスメイトだ。
何となく近寄り難い雰囲気、いや、大人しいイメージがあって、話したことがあまり無かった。
「どうして、私が見えるの?」
「霊感です。事故にあったんですよね?」
今度は私が頷く。
もう広まっているのか。
と言うか、何の用?
私の心を読んだかのように、御里が言う。
「私は、事件当日に瑞希さんが泣いているのをみて、成仏してあげたいと思ったんです。」
「ええ、待って待って。まだ四十九日経ってないと思うんだけど?」
「たちましたよ。太陽の元にいる間、幽霊は記憶をなくすんです。だから、少ししか経ってないと感じるんだと思います。もう五十日は経ってますよ。」
そうだったんだ。私は、成仏できていない幽霊。
幽霊の存在自体信じていなかったので、なんだか客観的に感じるが、自分のことなんだ。
「どうしたら成仏できるの?」
「あなたの未練を叶えたいんです。」
それなら、すぐに思いつく。
「透に、会いたい。話がしたい。」
そしてその後、死んだ日は、透との一周年のデートだと伝えた。
でも、そう簡単に、透が信じるだろうか?それも伝えると、御里が言った。
「普通、人は幽霊の存在を信じない。でも、頑張ってみます。」
でも、ひとつ疑問が浮かんだ。
「私、太陽に当たると一時的に消えるんでしょ?そしたら、伝えるの夜になっちゃうよ。」
「一日中、建物の中などに、影になるところにいればいいんです。」
そうか。太陽に当たらなければいい。そして、私は、一日中日の当たらない空き教室で待っていてと言われた。
喜ばしいことに、誰も使っていないからか、教室内は涼しかった。
教壇の上で飛び跳ねて遊んだり、机の上に座ったりと、男子たちがやるような事をして、一日を潰した。
放課後。
ついに、その時がやってきた。
ガラガラとドアが開き、透と御里が入ってきた。
御里はこちらに近づき、ひそっと言った。
「説得はしておいたから。しゃべりたいことは、私が伝える。」
良かった。せっとくできたんだ。
私は、喋り出す。
伝えたいことを、全て。
「信じてくれてるかどうかは分からないけど、聞いてほしい。私と付き合って、一周年の日だったのに、一緒にいられなくて、ごめん。私は死んじゃったけど、透は悲しまないでほしい。透といられて、本当に、楽しかった。本当に本当に、ありがとう。」
御里が、それをそのまま繰り返し、話し合える。
数十秒間、静かな教室に、沈黙が続く。
「話はそれだけ?」
「「えっ、」」
御里も驚いたようで、声が重なった。
「俺が、バイクで瑞希轢くように友だちに指示したんだわ。好きな人できて、邪魔だったから。」
そん、な。
透は、続ける。
「俺がお前を、殺した。」
今までの笑顔も、楽しかった思い出も、全て嘘だった、なんて。
どうして。
でも、心残りのことも、すべて言い終えたからか、理由を聞く暇もなく、空に向かって、ものすごい勢いで押し出される。
抵抗する暇もなく、一瞬で天井までいく。すると、微かに、透の声が聞こえた。
「じゃあな。お気の毒様。」
最後に見たのは、不敵笑みをした、な、透の顔だった。
理不尽だ。こんなの。
「嫌だっ!」
私の叫び声が、青空の中を、無慈悲に響き渡った。
初めて書いたバッドエンドです!辛口NG! 風さん(東京・10さい)からの相談
とうこう日:2023年8月23日みんなの答え:6件
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10歳でこれ!? ちょっと待ってくださいね?(思考停止)
10歳でこれなんですか!?
いや、やばすぎでしょ!
バッドエンドでこんなに綺麗にスパーンって終わるの凄すぎじゃないですか?才能あると思います!また次も書いてください!
とにかくすごかったです! つるはさん(神奈川・12さい)からの答え
とうこう日:2023年10月11日 -
バッドエンドでこんなにも良い小説を!? こんにちは!はるはるだよ♪
ニクネ覚えてくれると嬉しいな♪
すごすぎ!
私はバッドエンドでこんなにいいと思った小説はなかったよ!
まさかのバッドエンドでびっくりした! はるはるさん(選択なし・10さい)からの答え
とうこう日:2023年10月8日 -
すごっ はろー。算数きらいなりんご丸です。
ー本題ー
バッドエンドでもすごっ
結末が意外な方向に行ってびっくりした! りんご丸さん(栃木・12さい)からの答え
とうこう日:2023年10月8日 -
最高 感動の再会かと思いきやまさかのバットエンド。本当に10歳?!すごい わちゃさん(福岡・12さい)からの答え
とうこう日:2023年10月8日 -
めっちゃ上手! はろはろ!元空湖の志優だよぉ☆*
挨拶ちょっと変えてみたんだ!
*○・★+ Let's GO! +★・○*
バットエンドだけどすごく上手(^^♪
透くんが瑞希ちゃんを○しちゃったのか…。
志優にはない発想の小説だった(^_-)-☆
参考になったら嬉しいな(#^^#)ばいちゃっ! 志優*syu*元空湖さん(神奈川・12さい)からの答え
とうこう日:2023年10月8日 -
バッドエンドだけどありがとう! バッドエンドだったけど、いい文章だと思った!(上から目線でごめんね)
私も小説を書くけど、バッドエンドは書いたことがないな。
でも、これを見て書いてみようと思えた!ありがとう! あすみんさん(神奈川・13さい)からの答え
とうこう日:2023年10月7日
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