お面
夜の街には、提灯(ちょうちん)が夜の街を明るくしていた。
今日は年に1度の夏祭り。私・早峰 凛(はやみね りん)はこの日を楽しみにしていた。
美しい浴衣を着て。屋台で美味しいものを食べて。楽しんで。
大人たちも、この日だけ夜遊びを許してくれた。
でも、夏祭りに参加した子は不思議な目に遭う。
また1人、1人……と消えてゆく。黄色いもやに入って。
だから、大人たちは黄色いもやに入るなと言っている。
夏祭りもそろそろ終わりというところだった。私は親友と「えー!もっと遊びたかったなぁ」とか「お金めちゃくちゃ使っちゃった」とか雑談をしていた。
すると、目を離して石ころを蹴っていた隙に親友の声がしなくなった。ふっと、親友が消えていた。
「きゃあっ!」
目の前に、黄色いもやがあった。私はそのもやに、吸い込まれていった。
「……ここは?」
「ようこそ」
「誰っ!?」
「誰だかって別にいいじゃない。貴方はここでずっと遊べる権利があるのよ」
「えっ!?」
気がつくと、私は薄暗い森にいた。目の前には、ウサギのお面をかぶった少女がいた。
私のように浴衣姿で、長いつやつやな髪。
「貴方も、お面をかぶらなくちゃね。何がいい?」
少女はどこからか、お面を取り出した。サル、ウサギ、キツネ、ネコ、イヌ……動物ばかりだった。目の部分がくり抜かれている。
少女のウサギのお面は目がくり抜かれているけれど顔は見えなかった。
「じゃあ……これ」
私はイヌのお面をかぶった。
不思議なことに、ここでも夏祭りが開かれていた。財布にはもうお金があまりないから……と思っていると、なんと硬貨がじゃらじゃら入っていた。
「一緒に遊ぼう!」
「ありがとう」
私は遊び尽くした。射的をして、りんご飴を食べて、チョコバナナを食べて。
「ありがとう!こんなに遊んでくれるとは思わなかったわ」
その一言で、なぜかゾッとした。
「もっと遊んでほしいな」
この女の子には表・優しそうな女の子と裏・恐ろしい女の子の表裏があると思った。
怖い!
くり抜かれた目の部分から、やっぱり目は見えなかった。なのに、とてもふしぎだ。怖い、にたっと笑う女の子の顔が想像できる。
「ありがとう。貴方は、私の身代わりになってくれるのね?」
そうだったんだ……。
親友がふっと消えたのは、親友が消えたのではなく、私が消えたんだ。別世界に来る定めだったのか。
黄色いもやに入るなという忠告があった。だから、「出たいです!この世界は嫌です!」と言っていたら、助かったのではないだろうか。
「いつもは『出たいです!』なんて言う賢い子がいるけれど、貴方は身代わりになってくれるのよね?自ら」
「きゃああっ!」
少女はお面を外した。そこには、身代わりになる恐ろしさを見せつけるようなお婆さんがいた。
夏祭りは、年に1度。そのチャンスを待っても、賢い子はいつも「出たいです!」と言う。
少女はずうっとチャンスを待っている間、老けておばあさんになっていた。
私は、どうなるのだろうか。
1人残された私は、少女が、いや、おばあさんがかぶっていたウサギのお面を力無く持った。 サクラ。さん(選択なし・9さい)からの相談
とうこう日:2023年9月18日みんなの答え:2件
今日は年に1度の夏祭り。私・早峰 凛(はやみね りん)はこの日を楽しみにしていた。
美しい浴衣を着て。屋台で美味しいものを食べて。楽しんで。
大人たちも、この日だけ夜遊びを許してくれた。
でも、夏祭りに参加した子は不思議な目に遭う。
また1人、1人……と消えてゆく。黄色いもやに入って。
だから、大人たちは黄色いもやに入るなと言っている。
夏祭りもそろそろ終わりというところだった。私は親友と「えー!もっと遊びたかったなぁ」とか「お金めちゃくちゃ使っちゃった」とか雑談をしていた。
すると、目を離して石ころを蹴っていた隙に親友の声がしなくなった。ふっと、親友が消えていた。
「きゃあっ!」
目の前に、黄色いもやがあった。私はそのもやに、吸い込まれていった。
「……ここは?」
「ようこそ」
「誰っ!?」
「誰だかって別にいいじゃない。貴方はここでずっと遊べる権利があるのよ」
「えっ!?」
気がつくと、私は薄暗い森にいた。目の前には、ウサギのお面をかぶった少女がいた。
私のように浴衣姿で、長いつやつやな髪。
「貴方も、お面をかぶらなくちゃね。何がいい?」
少女はどこからか、お面を取り出した。サル、ウサギ、キツネ、ネコ、イヌ……動物ばかりだった。目の部分がくり抜かれている。
少女のウサギのお面は目がくり抜かれているけれど顔は見えなかった。
「じゃあ……これ」
私はイヌのお面をかぶった。
不思議なことに、ここでも夏祭りが開かれていた。財布にはもうお金があまりないから……と思っていると、なんと硬貨がじゃらじゃら入っていた。
「一緒に遊ぼう!」
「ありがとう」
私は遊び尽くした。射的をして、りんご飴を食べて、チョコバナナを食べて。
「ありがとう!こんなに遊んでくれるとは思わなかったわ」
その一言で、なぜかゾッとした。
「もっと遊んでほしいな」
この女の子には表・優しそうな女の子と裏・恐ろしい女の子の表裏があると思った。
怖い!
くり抜かれた目の部分から、やっぱり目は見えなかった。なのに、とてもふしぎだ。怖い、にたっと笑う女の子の顔が想像できる。
「ありがとう。貴方は、私の身代わりになってくれるのね?」
そうだったんだ……。
親友がふっと消えたのは、親友が消えたのではなく、私が消えたんだ。別世界に来る定めだったのか。
黄色いもやに入るなという忠告があった。だから、「出たいです!この世界は嫌です!」と言っていたら、助かったのではないだろうか。
「いつもは『出たいです!』なんて言う賢い子がいるけれど、貴方は身代わりになってくれるのよね?自ら」
「きゃああっ!」
少女はお面を外した。そこには、身代わりになる恐ろしさを見せつけるようなお婆さんがいた。
夏祭りは、年に1度。そのチャンスを待っても、賢い子はいつも「出たいです!」と言う。
少女はずうっとチャンスを待っている間、老けておばあさんになっていた。
私は、どうなるのだろうか。
1人残された私は、少女が、いや、おばあさんがかぶっていたウサギのお面を力無く持った。 サクラ。さん(選択なし・9さい)からの相談
とうこう日:2023年9月18日みんなの答え:2件
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本当に9才ですか?? 本当にすごい!先輩と呼ばせてください!
もう、本当に面白かったです。
まず、一番最初の、提灯という難しい言葉を知っていて、なおかつ普通に使えるのが驚きです。私、この言葉知らなかったです。
設定も、すごく大人びている、と言いますか、面白い設定でした。私、小説家志望ですが、こんなにすごい物語かけません。すごすぎます。
二千字という、少ない文字量で、こんなに多くのストーリーや怖さを文章で表せるのがすごいです。他の短編小説を見ると、サクラ。さんの小説がいっぱいでビックリしました。
是非とも、公募などに出してみてほしいです。たぶん、受かります。
次回作、本当に楽しみにしています! Huu.さん(東京・10さい)からの答え
とうこう日:2023年11月10日 -
ひぇぇ!こわ! どうも なぎです
ほんとに9歳なの?
妹と同じ年齢なのにまるで次元が違うよ〜!
まぢで、ほんとにお世辞とかじゃなくて
すごすぎる!
内容、怖いね!
ほんとにありそう!
っていうか、なんか同じようなお話読んだことあるなぁ。
いや、でもそれはお面は出てこなかったし。。。
まあ、いいや
ばいばいきーん Nagi*さん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2023年11月9日
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