悲しい?
今日、妹が死んだ。
横断歩道を渡っていたら、大きなトラックに突っ込まれて、そのまま通行人に見つからずに息を引き取った。
妹が息を引き取ったと連絡があった時、母さんも父さんも驚いて泣いていた。
私も、それに合わせて泣いてみたが、涙が溢れているだけで表情は全く変わらなかった。
悲しくなかったし、驚いてもいなかったから。
悲しいはずなのに、なぜか悲しいとは思えなかった。
嬉しい時もあるし、楽しい時もあるけれど、悲しいとは思えなくて、その代わりに困惑していた。
だけど母さんも父さんも受け入れてくれて、決して咎めることはなかった。
だけど、母さんの態度が変わってきたのは、妹のお葬式が終わった頃だった。
仕方ないことといえば、仕方ないことだった。
「ねえ、なんで芹那が亡くなったのに悲しまないの?芹那のことそんなに嫌いなの?」
それは、ほとんど八つ当たりに近かった。
「ねえ、芹那のこと嫌いなの?」
母さんが怒ったように問うから、それに答える。
「嫌いじゃないし、好きだったよ。」
それはいつも通りくだらない話をするような口調で、震えても掠れてもいなかった。
そんな私に母さんはますます眉を顰める。
「そんな薄っぺらい声じゃ、嘘ついてるのバレバレだから。ほんと、どうしてこうなっちゃったの?芹那はあんなに表情豊かで、可愛かったのに……」
母さんはため息をつく。
そして、手で膝をさすり、
「栞じゃなくて、芹那に生き残ってほしかった……」
と呟いた。
消えそうな小さい声で、少し震えていた。
母さんが涙で真っ黒なスカートを濡らす。
涙がスカートに落ちるたびに、黒はどんどん濃くなっていって、なんだか飲み込まれそうになる。
自分も涙をこぼしてみる。
だけど、やっぱり悲しいとは思えない。
昔は泣き虫だった。
転んだだけで泣いて、教科書を家に忘れただけで泣いて、問題をみんなの前で間違えただけで泣いて──
泣くのを、ずっとやめたかった。
悲しいと思えないようにしたかった。
あの日の夜を思い出す。
カーテンがひらりと動いたと思ったら、そこから深く帽子を被った男の子が現れた。
唯一見えている口元をにっとあげて、
『僕は死神。誰でも一人殺してあげる。ただし、その代わりに感情か五感、どちらかのうちのひとつを失う。どうする?誰か殺したい?選ばなくてもいいけど』
と言った。
迷わず、妹の名前を言った。
悲しいという感情を無くして、妹を殺してくださいとお願いした。
母さんにずっと贔屓される妹が憎らしかったから。
それだけでずっと泣いている自分が嫌いだったから。
死神は、満足そうに深く頷いてから、窓から出ていった。
どうせ母さんに怒られるなら、失敗だったなぁ、と考える。
まあ、どうせ妹には死んでほしかったからどうでもいいのだけれど 美桜(元:都姫)さん(神奈川・13さい)からの相談
とうこう日:2023年11月15日みんなの答え:3件
横断歩道を渡っていたら、大きなトラックに突っ込まれて、そのまま通行人に見つからずに息を引き取った。
妹が息を引き取ったと連絡があった時、母さんも父さんも驚いて泣いていた。
私も、それに合わせて泣いてみたが、涙が溢れているだけで表情は全く変わらなかった。
悲しくなかったし、驚いてもいなかったから。
悲しいはずなのに、なぜか悲しいとは思えなかった。
嬉しい時もあるし、楽しい時もあるけれど、悲しいとは思えなくて、その代わりに困惑していた。
だけど母さんも父さんも受け入れてくれて、決して咎めることはなかった。
だけど、母さんの態度が変わってきたのは、妹のお葬式が終わった頃だった。
仕方ないことといえば、仕方ないことだった。
「ねえ、なんで芹那が亡くなったのに悲しまないの?芹那のことそんなに嫌いなの?」
それは、ほとんど八つ当たりに近かった。
「ねえ、芹那のこと嫌いなの?」
母さんが怒ったように問うから、それに答える。
「嫌いじゃないし、好きだったよ。」
それはいつも通りくだらない話をするような口調で、震えても掠れてもいなかった。
そんな私に母さんはますます眉を顰める。
「そんな薄っぺらい声じゃ、嘘ついてるのバレバレだから。ほんと、どうしてこうなっちゃったの?芹那はあんなに表情豊かで、可愛かったのに……」
母さんはため息をつく。
そして、手で膝をさすり、
「栞じゃなくて、芹那に生き残ってほしかった……」
と呟いた。
消えそうな小さい声で、少し震えていた。
母さんが涙で真っ黒なスカートを濡らす。
涙がスカートに落ちるたびに、黒はどんどん濃くなっていって、なんだか飲み込まれそうになる。
自分も涙をこぼしてみる。
だけど、やっぱり悲しいとは思えない。
昔は泣き虫だった。
転んだだけで泣いて、教科書を家に忘れただけで泣いて、問題をみんなの前で間違えただけで泣いて──
泣くのを、ずっとやめたかった。
悲しいと思えないようにしたかった。
あの日の夜を思い出す。
カーテンがひらりと動いたと思ったら、そこから深く帽子を被った男の子が現れた。
唯一見えている口元をにっとあげて、
『僕は死神。誰でも一人殺してあげる。ただし、その代わりに感情か五感、どちらかのうちのひとつを失う。どうする?誰か殺したい?選ばなくてもいいけど』
と言った。
迷わず、妹の名前を言った。
悲しいという感情を無くして、妹を殺してくださいとお願いした。
母さんにずっと贔屓される妹が憎らしかったから。
それだけでずっと泣いている自分が嫌いだったから。
死神は、満足そうに深く頷いてから、窓から出ていった。
どうせ母さんに怒られるなら、失敗だったなぁ、と考える。
まあ、どうせ妹には死んでほしかったからどうでもいいのだけれど 美桜(元:都姫)さん(神奈川・13さい)からの相談
とうこう日:2023年11月15日みんなの答え:3件
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美桜~っ しゅゎゎ .○°
元 彗雫 , 寧星叶
月穏 だぅ .
○。.__
都姫 ~ っ !!
改名したんだね .
るむ のこと覚えてる ??
元彗雫 なぅ .
~ ~ ~
ほんと いつも
文章書くの上手だよね .
るむ も妹いるから
共感できた ( ○んでほしいってわけじゃない
ちょっとダークな話で
面白かった !!
__.。○
ま た ね (+ ¨) .。 月穏 | rum . @ 受験さん(東京・12さい)からの答え
とうこう日:2024年1月26日 -
展開がすごい、、、 これは才能あり!
尊敬します いっちー先生さん(東京・13さい)からの答え
とうこう日:2024年1月25日 -
おもしろい とうもおもしろいです♪ とうかさん(京都・11さい)からの答え
とうこう日:2024年1月24日
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