これはまだ、私だけが欠陥だらけだった頃のお話。
「中学ではいらないことはどんどんはぶいて、いるところだけ取り入れていくからな!」
私が小6だった頃。2年前の担任、祭元尚輝先生の口癖だった。
これは、私がまだ私だけが欠陥だらけだった頃のお話。
私は尚輝先生のことを尊敬していた。何事にも前向きで、スイッチのオンオフがちゃんと出来てて、声も程よく大きくて優しくて、誰かの問題ごとには親身に寄り添って、授業も冗談混じりで楽しいのに、遅れたりしなかった。
みんなは今年になって、中学生になって、どんどんいらない部分をはぶき、どんどん新しい…いるところだけを取り入れていった。気がついたらみんな、大人の階段を登ってた。
…出遅れちゃった。
私はみんなのように大人の階段を登れなかった。いや、登らせてくれなかった?
みんなはどんどん中学生らしくなるのに、私は小学生のままだった。
何かにはばまれた。
…置いて行かれてしまった。
この思考も、きっと逃げるためのもの。私のような失敗作が学校にいても、迷惑をかけるだけだ。
国語の時間は、班行動でみんなに迷惑かけるし。算数の時間はお前だけ頭良くてずるいと言われ、仲間はずれ。美術の時間はセンスもなければ鑑賞も下手。体育は運動神経が悪く、チームプレイでは自分なんかいない方が勝てる。胸だって大きくならないし、初経もまだだ。
発育が良くないのはまだしも、発達までとは、神様もなかなかに酷い気がする。まぁ神なんて存在してないのかもね。
私は、成長の仕方を間違えたのかもしれない。
みんなのようにはなれない。
もう、決まったことなのだから。
私がこうなるのは、当たり前だったのかもしれない。
気づいたら涙が出てた。
「私ってなんでここにいる…?なんでみんなみたいに普通にできないの…?」
そう思わずわず口にした時だった。
「みんなって誰だよ。」
空から声が降ってきたのかと思った。とうとう神様が見下しに来たのかと思った。
私からしたら不協和音みたいな声だった。苦手で嫌いな声。
「え…?」
「だーかーらー、聞いてんだろ?みんなって誰?日本語、わかんないの?」
強い口調には慣れてたから、怯みはしなかった。
「その…あなたとか?」
「俺の名前はあなたじゃねぇ。瑠維だよ瑠維!鬼頭瑠維!」
「…!」
「あらためてどうも。俺とおなじ2ーFの、天才の方の鬼頭さーん?」
私の名前は鬼頭緋夏。彼と同じ苗字だったらしい。
瑠維の話はこうだった。
今度期末テストだから勉強を教えてほしい。俺も同じ鬼頭だが、お前とは違って馬鹿だからな!
…別にいいけど、バカは威張れることじゃないと思う。あくまで私の意見だけど。
あと、今私と隣の席だったらしい。気づいてなかった。
瑠維は私の家に来て、懸命に勉強をしてた。だが…
「…え?…こんな問題もわかんないの?私さっき教えた気がするんだけど…。」
「そ、そうだったっけ…?ごめん。俺ほんと勉強無理なんだ…」
あとで聞いた話によると、テストの平均点は20点代で、小学校の頃も50点でいい方だったらしい。
「てかお前、他の奴らに話す時敬語だったよな?なんで急にタメ口になるんだ?」
「別にいいじゃん。瑠維の言葉借りて言うけど、他の奴らって誰ですか!?」
私自身も不思議だった。瑠維の前では敬語が口からでてこなかった。
「緋夏って友達いる?」
「うっ…」
「じゃあ俺は結構いいやつって見られてるってことでいいっぽいな!」
「無駄口叩いてる暇あったら勉強!」
1時間後くらいに、急に瑠維が変なこと喋り出した。
「俺は友達いっぱいだけど、緋夏はいなくて、緋夏は頭いいけど、俺はぜんぜん。なんか、真反対だな!」
「…そうかもね。」
瑠維の声が不協和音…苦手な、嫌いな声から、協和音。響きがよく、居心地がいい声に変わった。その瞬間だった。
その後、瑠維はすぐ帰って行った。
私は考えた。
私は成長してない。でもそれは人間関係の面においてなだけで、勉強はできる。
あいつは人間関係はいいし柄もいい。でも勉強は到底私には及ばない。
思った。人間、結構欠陥だらけなんじゃね?と。
まぁこのことに気づくのに相当時間がかかった私も、欠陥だらけなんだけど。
勉強が得意な子も、運動神経がいい子も、美的センスがある子も、共感力が高い子も、そして…瑠維も。
また気付かぬうちに、涙が出てた。
思えば私の中であいつとの初対面、涙目だったよね。恥ず!
またあいつこと、瑠維と話したくなった。
早く明日が来ないかな。あ、休みだったわ。
…欠陥だらけだな。
りぃあさん(愛知・11さい)からの相談
とうこう日:2023年11月26日みんなの答え:3件
私が小6だった頃。2年前の担任、祭元尚輝先生の口癖だった。
これは、私がまだ私だけが欠陥だらけだった頃のお話。
私は尚輝先生のことを尊敬していた。何事にも前向きで、スイッチのオンオフがちゃんと出来てて、声も程よく大きくて優しくて、誰かの問題ごとには親身に寄り添って、授業も冗談混じりで楽しいのに、遅れたりしなかった。
みんなは今年になって、中学生になって、どんどんいらない部分をはぶき、どんどん新しい…いるところだけを取り入れていった。気がついたらみんな、大人の階段を登ってた。
…出遅れちゃった。
私はみんなのように大人の階段を登れなかった。いや、登らせてくれなかった?
みんなはどんどん中学生らしくなるのに、私は小学生のままだった。
何かにはばまれた。
…置いて行かれてしまった。
この思考も、きっと逃げるためのもの。私のような失敗作が学校にいても、迷惑をかけるだけだ。
国語の時間は、班行動でみんなに迷惑かけるし。算数の時間はお前だけ頭良くてずるいと言われ、仲間はずれ。美術の時間はセンスもなければ鑑賞も下手。体育は運動神経が悪く、チームプレイでは自分なんかいない方が勝てる。胸だって大きくならないし、初経もまだだ。
発育が良くないのはまだしも、発達までとは、神様もなかなかに酷い気がする。まぁ神なんて存在してないのかもね。
私は、成長の仕方を間違えたのかもしれない。
みんなのようにはなれない。
もう、決まったことなのだから。
私がこうなるのは、当たり前だったのかもしれない。
気づいたら涙が出てた。
「私ってなんでここにいる…?なんでみんなみたいに普通にできないの…?」
そう思わずわず口にした時だった。
「みんなって誰だよ。」
空から声が降ってきたのかと思った。とうとう神様が見下しに来たのかと思った。
私からしたら不協和音みたいな声だった。苦手で嫌いな声。
「え…?」
「だーかーらー、聞いてんだろ?みんなって誰?日本語、わかんないの?」
強い口調には慣れてたから、怯みはしなかった。
「その…あなたとか?」
「俺の名前はあなたじゃねぇ。瑠維だよ瑠維!鬼頭瑠維!」
「…!」
「あらためてどうも。俺とおなじ2ーFの、天才の方の鬼頭さーん?」
私の名前は鬼頭緋夏。彼と同じ苗字だったらしい。
瑠維の話はこうだった。
今度期末テストだから勉強を教えてほしい。俺も同じ鬼頭だが、お前とは違って馬鹿だからな!
…別にいいけど、バカは威張れることじゃないと思う。あくまで私の意見だけど。
あと、今私と隣の席だったらしい。気づいてなかった。
瑠維は私の家に来て、懸命に勉強をしてた。だが…
「…え?…こんな問題もわかんないの?私さっき教えた気がするんだけど…。」
「そ、そうだったっけ…?ごめん。俺ほんと勉強無理なんだ…」
あとで聞いた話によると、テストの平均点は20点代で、小学校の頃も50点でいい方だったらしい。
「てかお前、他の奴らに話す時敬語だったよな?なんで急にタメ口になるんだ?」
「別にいいじゃん。瑠維の言葉借りて言うけど、他の奴らって誰ですか!?」
私自身も不思議だった。瑠維の前では敬語が口からでてこなかった。
「緋夏って友達いる?」
「うっ…」
「じゃあ俺は結構いいやつって見られてるってことでいいっぽいな!」
「無駄口叩いてる暇あったら勉強!」
1時間後くらいに、急に瑠維が変なこと喋り出した。
「俺は友達いっぱいだけど、緋夏はいなくて、緋夏は頭いいけど、俺はぜんぜん。なんか、真反対だな!」
「…そうかもね。」
瑠維の声が不協和音…苦手な、嫌いな声から、協和音。響きがよく、居心地がいい声に変わった。その瞬間だった。
その後、瑠維はすぐ帰って行った。
私は考えた。
私は成長してない。でもそれは人間関係の面においてなだけで、勉強はできる。
あいつは人間関係はいいし柄もいい。でも勉強は到底私には及ばない。
思った。人間、結構欠陥だらけなんじゃね?と。
まぁこのことに気づくのに相当時間がかかった私も、欠陥だらけなんだけど。
勉強が得意な子も、運動神経がいい子も、美的センスがある子も、共感力が高い子も、そして…瑠維も。
また気付かぬうちに、涙が出てた。
思えば私の中であいつとの初対面、涙目だったよね。恥ず!
またあいつこと、瑠維と話したくなった。
早く明日が来ないかな。あ、休みだったわ。
…欠陥だらけだな。
りぃあさん(愛知・11さい)からの相談
とうこう日:2023年11月26日みんなの答え:3件
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-
うっ.′か,感動したょ.′.′ (*o_ _)o*))
ど-もですっ♪♪
@元.瀬里菜.心優希.歌夜だょ☆+*
2/1(木)から,*歌夜*に改名してます.′
(* `・∀・´*)ノヨロシク.。○o〇
*******************
りぃあさん,凄すぎ.′.′.′.′.′.′.′
なんか大人っぽい小説,というか,、
凄い,考えさせられる小説.′
凄かったょ☆
読んでくれて(人''▽`)ありがとう☆
またキズなんで会おうねっ♪
(*>ω<)ノ゙♪バイバイバイ(*・・)β♪
歌夜 | Kaya@元.瀬里菜.心優希さん(千葉・10さい)からの答え
とうこう日:2024年2月4日 -
感動 感動 男性差別反対さん(北海道・11さい)からの答え
とうこう日:2024年2月3日 -
感動‥‥.′.′.′ ペコリ(o*_ _)o))朱恋だょ(人・▽・*)**°+*
元.龍花.風揺華.樺恋
1/29から,"朱恋" (しゅれん)に改名してる.′
バレンタインがある,週は
"緒恋" (ちょこ)に改名☆*
(m*・・)mヨロシク*。゚.o。
3/12で きずなん 1年記念日.′
最近 きずなん できてなぁい‥‥泣
" さみしい夜には ペンを持て " って本 めっちゃおススメ.
12年の人生の中で 一番面白かった♪
きずなんの みんなも ぜひ読んでね.′
*+。main。+*
りぃあさん,
短編小説めちゃくちゃ上手.′.′
人気作家の本読んでる気分だった‥‥
すごい,感動した.′
考えさせられたな.
面白い短編小説ありがとね.′
(*..)**°+*bye.′ 朱恋|しゅれん @元.龍花.風揺華.樺恋さん(東京・12さい)からの答え
とうこう日:2024年2月3日
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