101回目の死。
これで100回目。
今回もはずれだったな。
次はどんな人生を送るんだろう。
僕は目を閉じた。
「産まれましたよ。元気な男の子です」
最初に聞こえたのはこの言葉。
でも今は何も聞こえない。
僕は、11歳の時に事故で耳が聞こえなくなった。
不慮の事故。
死ななかっただけ運が良かったらしい。
でも、その事故をきっかけに、両親は僕を手放した。
耳が聞こえなくなり、一緒に生活をするのは無理だと考えたのだろう。
それから僕は孤児院に預けられた。
孤児院での生活は苦しい。
周りの子は全員何も障害を持っていない。
だからこそ僕は、苦痛だった。
話す相手もいない。
先生も指文字がわからないからまともに会話ができなかった。
でも、あの子が来てくれて僕の人生は変わったんだ。
ある日、新しい人が孤児院に来た。
僕よりも年上に見えた。
自己紹介みたいなのをしていたけど何も聞こえなかった。
先生は、少し困った表情をしていた。
すると、僕の方を指さして何か言った。
新しい人が頷くと、僕の方に歩いてきた。
また何か言っている。
何も聞こえないから、お辞儀しかできなかった。
『耳が聞こえないの?』
!指、文字、!
『うん。』
『そうなんだね』
指文字を使ってくれる人は初めてだった。
『名前は、なんていうの?』
そう聞かれたので、軽く自己紹介をした。
相手も自己紹介をしてきた。
『俺の方が年上なんだ。お兄ちゃんって呼んでよ』
なんでお兄ちゃんなのかはわからないけど、
仲良くしてくれるみたいだったからお兄ちゃんと呼ぶことにした。
『ご飯だって』
『ありがとう』
僕が普段から困っていたこともお兄ちゃんのおかげでわかるようになった。
僕はいつも、お兄ちゃんに助けてもらい、
本当の兄弟みたいだった。
それから時は流れて
5年が経った。
お兄ちゃんは孤児院にいられる歳じゃなくなったので
孤児院から出ていった。
僕はまた1人になった。
でも、最後にお兄ちゃんが残した言葉。
『またくるからな』
そう言って出て行った。
でも、そんな言葉は嘘だと思った。
またきても僕はいない。
お兄ちゃんみたいに出て行ってる。
一年が経った。
もうお兄ちゃんは来ないのかもしれない。
そう思い込んでいた。
だが。
お兄ちゃんにそっくりな大人の人?がきていた。
大人なのかはわからない。
何か先生と話し込んでいる。
そして僕の方を見た。
『きたよ』
そう言っていた。
本当に来たんだ。
そう思った。
来てくれたんだ。
嘘じゃないんだ。
『行こう。』
『うん』
僕はお兄ちゃんに手を引かれ、外を歩いた。
久しぶりの外。
一個だけ、思った。
僕とお兄ちゃんに帰るところはあるのだろうか。
『どこに行くの?』
『俺の家。家族が見つかったんよ』
そうだったのか。
僕の家族は、今どこにいるんだろう。
『怖いか?』
『怖くない。楽しみ!』
そう言った。
だが次の瞬間、それが地獄に変わるなんて誰が予想しただろう。
ぶーーーっ!
大型トラックが僕の方目掛けて突っ込んできた。
どーーんっ!
その瞬間、全てが遅くなった。
「___!!!」
そして、動き出した。
正常の速さに。
僕は、激しく地面に打ち付けられた。
「____!しっかりしろ!今救急車呼ぶからっ!!」
声?
声が聞こえる。
お兄ちゃんって、こんな声、だったの、?
そして僕は、目を閉じた。
気づくと、明るい部屋にいた。
全部が真っ白で、何もない部屋。
一瞬、病院かと思ったが、違う。
僕の体が浮いている、
あ、そっか。
死んだんだ。
事故で。そうだ。
お兄ちゃん、。
「お兄ちゃん」
声に出していた。
もう一度会いたい。
でも会えない。
短い人生だった。20年も生きていない。
1番、最悪の人生だったかもしれない。
それは、違うかもしれない。
短い人生だったけど、人の優しさに気づけた。
思い返せば、今まで、虐待やいじめられた人生しか送ってこなかった。
人生が始まれば、前の人生の記憶はないから気づかないけれど、
今回の人生は、人の優しさに気づくためだったかもしれない。
じゃぁ、今回の人生はすごく幸せではないか。
すると周りがまぶしく光った。
気づくと白い部屋にいた。
僕はベッドに横たわっていた。
声が出た。
「お兄ちゃん」
「___!」
お兄ちゃんも僕を呼ぶ。
僕の人生はまた新しくなった。
天使-はね-さん(神奈川・12さい)からの相談
とうこう日:2024年1月6日みんなの答え:2件
今回もはずれだったな。
次はどんな人生を送るんだろう。
僕は目を閉じた。
「産まれましたよ。元気な男の子です」
最初に聞こえたのはこの言葉。
でも今は何も聞こえない。
僕は、11歳の時に事故で耳が聞こえなくなった。
不慮の事故。
死ななかっただけ運が良かったらしい。
でも、その事故をきっかけに、両親は僕を手放した。
耳が聞こえなくなり、一緒に生活をするのは無理だと考えたのだろう。
それから僕は孤児院に預けられた。
孤児院での生活は苦しい。
周りの子は全員何も障害を持っていない。
だからこそ僕は、苦痛だった。
話す相手もいない。
先生も指文字がわからないからまともに会話ができなかった。
でも、あの子が来てくれて僕の人生は変わったんだ。
ある日、新しい人が孤児院に来た。
僕よりも年上に見えた。
自己紹介みたいなのをしていたけど何も聞こえなかった。
先生は、少し困った表情をしていた。
すると、僕の方を指さして何か言った。
新しい人が頷くと、僕の方に歩いてきた。
また何か言っている。
何も聞こえないから、お辞儀しかできなかった。
『耳が聞こえないの?』
!指、文字、!
『うん。』
『そうなんだね』
指文字を使ってくれる人は初めてだった。
『名前は、なんていうの?』
そう聞かれたので、軽く自己紹介をした。
相手も自己紹介をしてきた。
『俺の方が年上なんだ。お兄ちゃんって呼んでよ』
なんでお兄ちゃんなのかはわからないけど、
仲良くしてくれるみたいだったからお兄ちゃんと呼ぶことにした。
『ご飯だって』
『ありがとう』
僕が普段から困っていたこともお兄ちゃんのおかげでわかるようになった。
僕はいつも、お兄ちゃんに助けてもらい、
本当の兄弟みたいだった。
それから時は流れて
5年が経った。
お兄ちゃんは孤児院にいられる歳じゃなくなったので
孤児院から出ていった。
僕はまた1人になった。
でも、最後にお兄ちゃんが残した言葉。
『またくるからな』
そう言って出て行った。
でも、そんな言葉は嘘だと思った。
またきても僕はいない。
お兄ちゃんみたいに出て行ってる。
一年が経った。
もうお兄ちゃんは来ないのかもしれない。
そう思い込んでいた。
だが。
お兄ちゃんにそっくりな大人の人?がきていた。
大人なのかはわからない。
何か先生と話し込んでいる。
そして僕の方を見た。
『きたよ』
そう言っていた。
本当に来たんだ。
そう思った。
来てくれたんだ。
嘘じゃないんだ。
『行こう。』
『うん』
僕はお兄ちゃんに手を引かれ、外を歩いた。
久しぶりの外。
一個だけ、思った。
僕とお兄ちゃんに帰るところはあるのだろうか。
『どこに行くの?』
『俺の家。家族が見つかったんよ』
そうだったのか。
僕の家族は、今どこにいるんだろう。
『怖いか?』
『怖くない。楽しみ!』
そう言った。
だが次の瞬間、それが地獄に変わるなんて誰が予想しただろう。
ぶーーーっ!
大型トラックが僕の方目掛けて突っ込んできた。
どーーんっ!
その瞬間、全てが遅くなった。
「___!!!」
そして、動き出した。
正常の速さに。
僕は、激しく地面に打ち付けられた。
「____!しっかりしろ!今救急車呼ぶからっ!!」
声?
声が聞こえる。
お兄ちゃんって、こんな声、だったの、?
そして僕は、目を閉じた。
気づくと、明るい部屋にいた。
全部が真っ白で、何もない部屋。
一瞬、病院かと思ったが、違う。
僕の体が浮いている、
あ、そっか。
死んだんだ。
事故で。そうだ。
お兄ちゃん、。
「お兄ちゃん」
声に出していた。
もう一度会いたい。
でも会えない。
短い人生だった。20年も生きていない。
1番、最悪の人生だったかもしれない。
それは、違うかもしれない。
短い人生だったけど、人の優しさに気づけた。
思い返せば、今まで、虐待やいじめられた人生しか送ってこなかった。
人生が始まれば、前の人生の記憶はないから気づかないけれど、
今回の人生は、人の優しさに気づくためだったかもしれない。
じゃぁ、今回の人生はすごく幸せではないか。
すると周りがまぶしく光った。
気づくと白い部屋にいた。
僕はベッドに横たわっていた。
声が出た。
「お兄ちゃん」
「___!」
お兄ちゃんも僕を呼ぶ。
僕の人生はまた新しくなった。
天使-はね-さん(神奈川・12さい)からの相談
とうこう日:2024年1月6日みんなの答え:2件
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感動 感動しました
ばいちゃ♪ 鈴鈴さん(静岡・13さい)からの答え
とうこう日:2024年3月8日 -
すごく感動した…! こんちゃっ(^^♪双葉だよ(。・ω・。)
【本題】
すごく感動した…!
読んでくれてありがとう(*'ω'*)ばいちゃっ(^^♪ 双葉*ふたば*#元花凜#ふぬっている奴さん(岐阜・12さい)からの答え
とうこう日:2024年3月8日
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