おぼろけな彼女
恋愛小説だよ!
夢を見た。
薄い靄の中に、誰かいる。後ろ姿だけど…女子、だと思う。
誰?モヤモヤをかき分けて進んで行くけれど、追いつけそうにない。
そのコは口を開いた。
「裕太。いつかきっと、思い出してね」
そのコが振り返る。ピンク色の髪の毛と、緑色の瞳。
それが見えた途端―僕ははじかれたように起き上がった。
僕の名前は大野裕太(おおのゆうた)。最近、同じような夢をよく見る。
靄の中に、女のコが立っている。進んで行くけれど追いつけない。そして、目が覚める。
今日も、その夢だ。でも、見た目までちゃんとわかったのは初めてかもしれない。
…まぁ、所詮ただの夢。早く着替えよう。
夢のことは置いておいて、とりあえず朝の支度をした。
「おはよ、裕太」
友達の一輝(いつき)が手を振っていた。僕は小さく「おはよう」と返す。
「どーした、元気ないな」
一輝が顔を覗き込むように見てきたから、僕はあわてて「なんでもない」と言った。
…正直、夢のことが気になって仕方がない。
朝はどうでもよかったけど、今になって、気になってきた。
毎日同じ夢を見るなんて、おかしい。なにかの暗示か?
「…ねぇ一輝。ピンクの髪で、緑色の瞳の女のコって誰か知ってる?」
ダメ元で聞いてみた。一輝はしばらく考え込んでいたけれど…。
「ごめん、分かんない」
と、頭を下げたのだった。
放課後。僕は一緒に帰ろうと言ってきた一輝のお誘いを断って、小走りで家に帰って来た。
今日こそ、あの夢の真実を明かすんだ…!
宿題のときも夜ご飯のときも、ずっと夢のことで頭がいっぱいだった。
早く夜にならないかな。
なんとなく毎日同じ時間に寝たほうがいいと思って、九時まで起きておこう。
読書をしたり、ゲームをしたりして、僕は九時まで時間をつぶした。
そして、九時前。僕は布団に入った。
眠くて頭がもうろうとする。僕は目を閉じた…。
―きた。
モヤモヤが僕を取り囲んでいる。そして向こう側には…やっぱり、女のコ。ピンクの髪に、緑色の瞳のコ。
いた…!
僕は必死で靄の中を進んだ。
前は追いつけそうになかったけれど、今回はどんどん近づいているようだった。
行ける!
僕は手を伸ばし、足を踏み出した―そのとき。
「ダメ!裕太、戻って!」
女のコが叫んだものだから、僕は動きが止まった。
と、足が冷たい。ぱちゃぱちゃと音がした。下を見ると、足が水に浸かっている。
川…?
なんで、川なんて。
女のコが近づいてきた。
「そういえば、どうして僕の名前を知ってるの?」
「だって、ずっと一緒だったじゃない」
「ずっと…?」
「……裕太、忘れちゃった?思い出せない?」
あんまり悲しい顔をするから、僕は必死になって頭をフル回転させた。
ピンク髪…ピンク髪…!
……………………!
頭の中で、ピンク髪に緑色の瞳をした女のコがいた。
確か、幼稚園のころ。
季節外れにやってきたそのコは、容姿がハデで、周りから避けられていた。
そう。ピンク髪に緑色の瞳のコだ。
もしかして。
「キミは…菜々美?菜々美ちゃんなんだね?」
僕が問いかけると、菜々美ちゃんは感動が走ったように黙り込んだ。
ま、間違ってた…?
「ありがとう、裕太。思い出してくれて、すごくうれしい」
えへへ、と笑った菜々美ちゃんの笑顔は、まぶしいほどかわいかった。
でも、菜々美ちゃんは、なんでここに―。
夢のなかだから?
それとも、僕が死にかけだから―?
「バイバイ裕太。思い出してくれて、ありがとう」
すうっと、菜々美ちゃんの体が透き通る。
「!?まって、菜々美ちゃん!」
…僕は、菜々美ちゃんが大好きだった。
可愛くて、ハッキリしていて。いじめられる理由が分からなかったくらい。
ずっと言えなかった。突然の別れだったから―。
こんな機会、二度とない。
「「大好きだったよ」」
二人の声が重なる。菜々美ちゃんは、一度目を見開いた後、涙を流して笑った。
そして。
僕は目が覚めた。あたたかいものがあるなぁと思って、あわててふいた。 たぴおかさん(選択なし・11さい)からの相談
とうこう日:2024年1月31日みんなの答え:0件
夢を見た。
薄い靄の中に、誰かいる。後ろ姿だけど…女子、だと思う。
誰?モヤモヤをかき分けて進んで行くけれど、追いつけそうにない。
そのコは口を開いた。
「裕太。いつかきっと、思い出してね」
そのコが振り返る。ピンク色の髪の毛と、緑色の瞳。
それが見えた途端―僕ははじかれたように起き上がった。
僕の名前は大野裕太(おおのゆうた)。最近、同じような夢をよく見る。
靄の中に、女のコが立っている。進んで行くけれど追いつけない。そして、目が覚める。
今日も、その夢だ。でも、見た目までちゃんとわかったのは初めてかもしれない。
…まぁ、所詮ただの夢。早く着替えよう。
夢のことは置いておいて、とりあえず朝の支度をした。
「おはよ、裕太」
友達の一輝(いつき)が手を振っていた。僕は小さく「おはよう」と返す。
「どーした、元気ないな」
一輝が顔を覗き込むように見てきたから、僕はあわてて「なんでもない」と言った。
…正直、夢のことが気になって仕方がない。
朝はどうでもよかったけど、今になって、気になってきた。
毎日同じ夢を見るなんて、おかしい。なにかの暗示か?
「…ねぇ一輝。ピンクの髪で、緑色の瞳の女のコって誰か知ってる?」
ダメ元で聞いてみた。一輝はしばらく考え込んでいたけれど…。
「ごめん、分かんない」
と、頭を下げたのだった。
放課後。僕は一緒に帰ろうと言ってきた一輝のお誘いを断って、小走りで家に帰って来た。
今日こそ、あの夢の真実を明かすんだ…!
宿題のときも夜ご飯のときも、ずっと夢のことで頭がいっぱいだった。
早く夜にならないかな。
なんとなく毎日同じ時間に寝たほうがいいと思って、九時まで起きておこう。
読書をしたり、ゲームをしたりして、僕は九時まで時間をつぶした。
そして、九時前。僕は布団に入った。
眠くて頭がもうろうとする。僕は目を閉じた…。
―きた。
モヤモヤが僕を取り囲んでいる。そして向こう側には…やっぱり、女のコ。ピンクの髪に、緑色の瞳のコ。
いた…!
僕は必死で靄の中を進んだ。
前は追いつけそうになかったけれど、今回はどんどん近づいているようだった。
行ける!
僕は手を伸ばし、足を踏み出した―そのとき。
「ダメ!裕太、戻って!」
女のコが叫んだものだから、僕は動きが止まった。
と、足が冷たい。ぱちゃぱちゃと音がした。下を見ると、足が水に浸かっている。
川…?
なんで、川なんて。
女のコが近づいてきた。
「そういえば、どうして僕の名前を知ってるの?」
「だって、ずっと一緒だったじゃない」
「ずっと…?」
「……裕太、忘れちゃった?思い出せない?」
あんまり悲しい顔をするから、僕は必死になって頭をフル回転させた。
ピンク髪…ピンク髪…!
……………………!
頭の中で、ピンク髪に緑色の瞳をした女のコがいた。
確か、幼稚園のころ。
季節外れにやってきたそのコは、容姿がハデで、周りから避けられていた。
そう。ピンク髪に緑色の瞳のコだ。
もしかして。
「キミは…菜々美?菜々美ちゃんなんだね?」
僕が問いかけると、菜々美ちゃんは感動が走ったように黙り込んだ。
ま、間違ってた…?
「ありがとう、裕太。思い出してくれて、すごくうれしい」
えへへ、と笑った菜々美ちゃんの笑顔は、まぶしいほどかわいかった。
でも、菜々美ちゃんは、なんでここに―。
夢のなかだから?
それとも、僕が死にかけだから―?
「バイバイ裕太。思い出してくれて、ありがとう」
すうっと、菜々美ちゃんの体が透き通る。
「!?まって、菜々美ちゃん!」
…僕は、菜々美ちゃんが大好きだった。
可愛くて、ハッキリしていて。いじめられる理由が分からなかったくらい。
ずっと言えなかった。突然の別れだったから―。
こんな機会、二度とない。
「「大好きだったよ」」
二人の声が重なる。菜々美ちゃんは、一度目を見開いた後、涙を流して笑った。
そして。
僕は目が覚めた。あたたかいものがあるなぁと思って、あわててふいた。 たぴおかさん(選択なし・11さい)からの相談
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