ぬいぐるみの黄泉の国 ※かなり長いです
……
「あれ?君、最近こっちに来た子?」
………
「おーい?あぁ、そっか。君は知らないよね」
………?
「ここでは、僕らも話せるんだよ」
「あー…え……、!!!??」
ほん…とだ
「…で、君はいつここに来たの?」
「あ、ぼ、ぼく…は、いま、ここに…いた」
はなせる!
「ふぅ〜ん。じゃあ今日来たってことかな」
「そ、そう。きょう、きた!」
「…えっと、ここは?」
「あぁ、ここはね、僕たちぬいぐるみが処分されたあとに来る世界だよ」
しょぶん…?どういうこと?
「し、しょぶんって…?」
「処分は…死んだっていう意味になるのかな」
し…死…?ぼく、は…
「で、でも…!ぼくはしんでない…」
「…みんなここに来たらそう言うよ」
「ぼくは、さきちゃんのへやにいた…!ぼくはさきちゃんのともだちだった!まだほつれてもなかった…!」
「……うん」
「だから…だから、死んでない…」
そうだ。僕はまだやぶれてもほつれてもなかったし、なによりさきちゃんの友だちだった。
だから、だいじょうぶ。
…ちょっと黄ばんではいたけど……
「ぬいぐるみはね、古くなればなるほど思い出は増える。でも、同じように寿命も縮んでくんだよ。ぬいぐるみの寿命は、持ち主に飽きられたときと、体が古びたときのどちらかだ」
「で、でも、僕はさきちゃんにあきられてなんて……」
「…ないとは言いきれないよね?」
「う…うそだ。僕は……」
「君も、本当は昔からわかってたでしょ?君の大好きなさきちゃんが段々遊んでくれなくなって、見てもくれなくなって、遂には暗い物置に閉じ込められて」
嫌だ、聞きたくない…、僕は…しらない
「やっと出されたと思って見上げたとき…」
「やめてよ!!そんなの、僕は知らない!!」
「……」
「さきちゃんは僕のことをずっと大事にしてくれてた!!僕とさきちゃんは友達なんだ!!」
「……君に、話していなかったことがあるよ」
…これいじょう、何を言うつもりなんだろう。
もう僕は、何も聞きたくない。
「……ここは、ぬいぐるみたちが処分されて…みんなの記憶から消えたときに来る場所だ」
……え…?…うそ
「な、何を…言ってるの?」
「僕は春樹から忘れられたからここに来た。唯一の仲間だったんだけどね」
僕の目の前にいる猫のぬいぐるみは、昔のことだと割り切ったように淡々と話していた。
でもなぜか僕には、少し寂しそうに見えた。ぬいぐるみは当然涙なんて出ないし心臓だってないけど、胸のあたりが傷んだ気がした。
「君は悲しくないの?友達…だったんでしょ?」
「…昔のことをこんなに思い出すのは久しぶりだなぁ。春樹のことは大好きだったよ。……今も、大好き」
「じゃあなんで、なんでもないようにふるまうの?」
「…春樹のことを思い出してると、幸せになるけど悲しくもなるんだ。だから、あまり思い出さないようにしてるんだよ」
「…?悲しくなると、何かいけないことでもあるの?」
「ここのぬいぐるみたちは、生まれ変わることができる。つまり、新しい持ち主のところへ新しい姿になって行けるってこと」
「…それがなにか関係があるの?」
「うん。ぬいぐるみは持ち主に寄り添うものだ。持ち主の気持ちを晴らすことが僕たちの仕事なんだよ。ぬいぐるみが悲しい気持ちを持ってると、持ち主の気持ちを晴らすことなんてできないでしょ?」
「…うん」
「だから、悲しい気持ちをなくさないと僕たちは生まれ変わることができないんだよ」
「なんか…それって悲しいね」
「…そうだね」
「僕は、まださきちゃんのこと忘れられない」
「それでいいと思うよ。長い間一緒にいた友達をそう簡単に忘れられるものでもないしね」
そう自分自身に言い聞かせるように話すのを見てると、僕はまた胸のあたりがじんと傷んだ気がした。
「いつか僕も生まれ変わることができるかな」
「きっとできるよ」
生まれ変わることが僕にとっていいことなのか悪いことなのかはわからない。いつ生まれ変わるのかも生まれ変わることができるのかも何もかもわからないけど、それでも僕はいつか生まれ変わってみたいと思う。
猫のぬいぐるみは、それからしばらく立った頃に姿を消した。
…あれ?あそこに、ぬいぐるみが…
見たことない子だ…
「ねぇ、大丈夫?」
……
「おーい?あぁ、そっか。君は知らないよね」
……?
「ここではーーー」 かささん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年2月5日みんなの答え:5件
「あれ?君、最近こっちに来た子?」
………
「おーい?あぁ、そっか。君は知らないよね」
………?
「ここでは、僕らも話せるんだよ」
「あー…え……、!!!??」
ほん…とだ
「…で、君はいつここに来たの?」
「あ、ぼ、ぼく…は、いま、ここに…いた」
はなせる!
「ふぅ〜ん。じゃあ今日来たってことかな」
「そ、そう。きょう、きた!」
「…えっと、ここは?」
「あぁ、ここはね、僕たちぬいぐるみが処分されたあとに来る世界だよ」
しょぶん…?どういうこと?
「し、しょぶんって…?」
「処分は…死んだっていう意味になるのかな」
し…死…?ぼく、は…
「で、でも…!ぼくはしんでない…」
「…みんなここに来たらそう言うよ」
「ぼくは、さきちゃんのへやにいた…!ぼくはさきちゃんのともだちだった!まだほつれてもなかった…!」
「……うん」
「だから…だから、死んでない…」
そうだ。僕はまだやぶれてもほつれてもなかったし、なによりさきちゃんの友だちだった。
だから、だいじょうぶ。
…ちょっと黄ばんではいたけど……
「ぬいぐるみはね、古くなればなるほど思い出は増える。でも、同じように寿命も縮んでくんだよ。ぬいぐるみの寿命は、持ち主に飽きられたときと、体が古びたときのどちらかだ」
「で、でも、僕はさきちゃんにあきられてなんて……」
「…ないとは言いきれないよね?」
「う…うそだ。僕は……」
「君も、本当は昔からわかってたでしょ?君の大好きなさきちゃんが段々遊んでくれなくなって、見てもくれなくなって、遂には暗い物置に閉じ込められて」
嫌だ、聞きたくない…、僕は…しらない
「やっと出されたと思って見上げたとき…」
「やめてよ!!そんなの、僕は知らない!!」
「……」
「さきちゃんは僕のことをずっと大事にしてくれてた!!僕とさきちゃんは友達なんだ!!」
「……君に、話していなかったことがあるよ」
…これいじょう、何を言うつもりなんだろう。
もう僕は、何も聞きたくない。
「……ここは、ぬいぐるみたちが処分されて…みんなの記憶から消えたときに来る場所だ」
……え…?…うそ
「な、何を…言ってるの?」
「僕は春樹から忘れられたからここに来た。唯一の仲間だったんだけどね」
僕の目の前にいる猫のぬいぐるみは、昔のことだと割り切ったように淡々と話していた。
でもなぜか僕には、少し寂しそうに見えた。ぬいぐるみは当然涙なんて出ないし心臓だってないけど、胸のあたりが傷んだ気がした。
「君は悲しくないの?友達…だったんでしょ?」
「…昔のことをこんなに思い出すのは久しぶりだなぁ。春樹のことは大好きだったよ。……今も、大好き」
「じゃあなんで、なんでもないようにふるまうの?」
「…春樹のことを思い出してると、幸せになるけど悲しくもなるんだ。だから、あまり思い出さないようにしてるんだよ」
「…?悲しくなると、何かいけないことでもあるの?」
「ここのぬいぐるみたちは、生まれ変わることができる。つまり、新しい持ち主のところへ新しい姿になって行けるってこと」
「…それがなにか関係があるの?」
「うん。ぬいぐるみは持ち主に寄り添うものだ。持ち主の気持ちを晴らすことが僕たちの仕事なんだよ。ぬいぐるみが悲しい気持ちを持ってると、持ち主の気持ちを晴らすことなんてできないでしょ?」
「…うん」
「だから、悲しい気持ちをなくさないと僕たちは生まれ変わることができないんだよ」
「なんか…それって悲しいね」
「…そうだね」
「僕は、まださきちゃんのこと忘れられない」
「それでいいと思うよ。長い間一緒にいた友達をそう簡単に忘れられるものでもないしね」
そう自分自身に言い聞かせるように話すのを見てると、僕はまた胸のあたりがじんと傷んだ気がした。
「いつか僕も生まれ変わることができるかな」
「きっとできるよ」
生まれ変わることが僕にとっていいことなのか悪いことなのかはわからない。いつ生まれ変わるのかも生まれ変わることができるのかも何もかもわからないけど、それでも僕はいつか生まれ変わってみたいと思う。
猫のぬいぐるみは、それからしばらく立った頃に姿を消した。
…あれ?あそこに、ぬいぐるみが…
見たことない子だ…
「ねぇ、大丈夫?」
……
「おーい?あぁ、そっか。君は知らないよね」
……?
「ここではーーー」 かささん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年2月5日みんなの答え:5件
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感動! 感動! 空き缶吹っ飛ばすアイツさん(埼玉・8さい)からの答え
とうこう日:2024年4月23日 -
面白い! こんにちは(*^^*)舞衣奈です!まいなって読むの♪
ーーー本題ーーー
その世界観いいね!
面白い!!!!!!!
ーーーーーー
読んでくれてありがとっ!ばいマイ!(^^)! 舞衣奈@小6女子さん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2024年4月23日 -
面白い!感動! 挨拶省略
本題
世界観が面白いです!そして、感動もしましたし、「悲しい気持ちをなくさないと僕らは生まれ変わる事ができないんだよ」の所が切ない感じもしました!とても不思議です!ありがとうございました! 虹色花火(元花火君、レインボー君)さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2024年4月11日 -
超イイ(^e^)b 「ぬいぐるみ」というワードが素敵です!。この調子で頑張ってください!。 pueぷえさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2024年4月11日 -
いいね! 世界観が面白かったー!!
ぬいぐるみの気持ちが伝わってきた!
読ませてくれてどうもありがとう!
青い石さん(選択なし・13さい)からの答え
とうこう日:2024年4月10日
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