一緒に帰ろう!家に_
「う、うぅ…」
身体中に鋭い痛みがはしる。
わたし…いったい…なにが…。
「…ももかっ!!」
意識がもうろうとしている中で、私の名前を呼ぶ声が聞こえる。ゆっくりとまぶたを開いた私は、目の前の光景に絶句した。
ぐしゃぐしゃになったイス、血だらけで倒れている人たち、異様に狭い空間…。
「みさ…き…」
私は友達に向かって、必死に手を伸ばした。
-5時間前-
「おっはよぉ!」
「ももか、朝から元気だねぇ」
親友のみさきが、呆れたように私をみる。
だってだって、今日は待ちに待った修学旅行なんだから!!
「おっ、ねぼすけのくせに今日は早いな。事故でも起こるじゃねぇーの?」
通りかかった男子が、にやっと笑う。
「だって今日は修学旅行だよ?!私、いーっぱい思い出つくるんだ!ね、みさき!」
そういって、みさきの手をぎゅっと握る。みさきはちらっと龍馬をみると、なにやらニヤッとした。龍馬はふん、とそっぽをむく。
「俺だってみんなと遊ぶし。おまえが楽しかろうが知ったこっちゃねぇーよ」
「なんなの、あいつ! 自分から言ってきたくせに!!」
龍馬がいったあと、私はみさきに愚痴った。だけど、みさきはにやにやしているだけ。
もう、みさきったらどうしちゃったの?
やがて、先生の指示でみんなバスに乗り込んだ。4つ後ろの席がみさきで、通路を挟んだ向かい側の席が龍馬だ。みさきと龍馬の席が反対だったらなぁ…。そんなことを思いつつも、みんなで映画を見たりでワイワイあそぶ。 たのしい!
これからホテルに行って、恋バナ、夜更かし…もっと楽しいことが待っているなんて!
想像して、つい顔がにやけてしまう。
「なににやけてんだよ。気持ち悪い」
龍馬が私を横目でみて、いった。
「うっさいわね! いいでしょ、みんなと遊ぶの楽しみなんだから!」
もう、せっかく楽しい気持ちだったのに。
龍馬のせいでだいなしじゃん。
「ねぇ、ちょっと速くない…?」
すると、私の近くの子がぼそっといった。
意識していなかったけど、確かにゆれが大きい。先生いわく、予定よりすこし遅れているから、急いでいるとのこと。
「ゆれてるよ…危なくない?」
「急いでるって…スピード出しすぎ…」
先生がなんて言おうが、不安はどんどん伝染していく。龍馬の顔も強ばっている。
「なに?こわいの?」
にやけて龍馬をみると、龍馬はなにかハッとしたあと、すぐに私に向き直った。
「うっせぇ、怖かねーよ。お前こそ、なにかあっても守ってやんないかんな!」
「あんたに守ってもらわなくても、自分の身くらい自分で守れますよーだ!」
べー、と舌を出して龍馬をみる。だけど、その瞬間。
キキィーーーーッ!!!!!
嫌な金属音がして、みんな思わず耳を塞ぐ。
そして、体がふわっと浮いたかと思うと、窓に叩きつけられた。一瞬息が出来なくなる。
「きゃぁぁぁーーーー!!!!!」
みんなの悲鳴が聞こえ、必死に前の座席にしがみつきながら目を開けると、窓の外からどんどん壁が迫ってきていた。
「い、いやぁぁぁぁぁ!!!」
自分の声とは思えない、体の底からしぼりだすような悲鳴を最後に私の記憶は途切れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「も、もか!ももか!…しっかり…しろ!」
伸ばした手を、誰かがぎゅっと握りしめてくれる。
「み…さき?」
いや、違う。みさきじゃない。この人は…。
「りゅう…ま?」
目の前にいたのは、頭から血を流した龍馬。怪我、してるじゃん。 大丈夫? 痛くないの?
そう、言おうとするけど、あれ。
おかしいな。声が、でないや。
「ももか!ももか、わかるか?」
龍馬は必死な顔で私の名前を呼ぶ。
「なに…が…」
「転倒事故だ。スピードを出しすぎたバスが、横倒しになってそのままガードレールに激突した」
私はゆっくりと、血が出ている龍馬の頭に手を伸ばす。
「龍馬…血…。怪我…してるよ…」
「ばかっ!俺のことはどーでもいいんだよ。自分の身は自分で守れるって言ってたろ!」
龍馬は怒ったように叫び、乱暴に涙をぬぐうと、ぎゅっと私を抱きしめた。
「帰ろう!!一緒に、家、帰ろう!死ぬなよ。みんなで修学旅行いくんだろ?」
「大丈夫だよ、わたし、痛く…ないよ。痛み、感じないよ」
「…大丈夫、俺がついてるから。ずっと、そばにいるから」
わたし、大丈夫なのに。心配しすぎだよ。
あれ、でも、なんか眠たくなってきたや。
昨日あんま眠れなかったからかな?
ありがとう、龍馬。ちょっとだけ、眠るね。 Airi(元あいり)さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年2月23日みんなの答え:5件
身体中に鋭い痛みがはしる。
わたし…いったい…なにが…。
「…ももかっ!!」
意識がもうろうとしている中で、私の名前を呼ぶ声が聞こえる。ゆっくりとまぶたを開いた私は、目の前の光景に絶句した。
ぐしゃぐしゃになったイス、血だらけで倒れている人たち、異様に狭い空間…。
「みさ…き…」
私は友達に向かって、必死に手を伸ばした。
-5時間前-
「おっはよぉ!」
「ももか、朝から元気だねぇ」
親友のみさきが、呆れたように私をみる。
だってだって、今日は待ちに待った修学旅行なんだから!!
「おっ、ねぼすけのくせに今日は早いな。事故でも起こるじゃねぇーの?」
通りかかった男子が、にやっと笑う。
「だって今日は修学旅行だよ?!私、いーっぱい思い出つくるんだ!ね、みさき!」
そういって、みさきの手をぎゅっと握る。みさきはちらっと龍馬をみると、なにやらニヤッとした。龍馬はふん、とそっぽをむく。
「俺だってみんなと遊ぶし。おまえが楽しかろうが知ったこっちゃねぇーよ」
「なんなの、あいつ! 自分から言ってきたくせに!!」
龍馬がいったあと、私はみさきに愚痴った。だけど、みさきはにやにやしているだけ。
もう、みさきったらどうしちゃったの?
やがて、先生の指示でみんなバスに乗り込んだ。4つ後ろの席がみさきで、通路を挟んだ向かい側の席が龍馬だ。みさきと龍馬の席が反対だったらなぁ…。そんなことを思いつつも、みんなで映画を見たりでワイワイあそぶ。 たのしい!
これからホテルに行って、恋バナ、夜更かし…もっと楽しいことが待っているなんて!
想像して、つい顔がにやけてしまう。
「なににやけてんだよ。気持ち悪い」
龍馬が私を横目でみて、いった。
「うっさいわね! いいでしょ、みんなと遊ぶの楽しみなんだから!」
もう、せっかく楽しい気持ちだったのに。
龍馬のせいでだいなしじゃん。
「ねぇ、ちょっと速くない…?」
すると、私の近くの子がぼそっといった。
意識していなかったけど、確かにゆれが大きい。先生いわく、予定よりすこし遅れているから、急いでいるとのこと。
「ゆれてるよ…危なくない?」
「急いでるって…スピード出しすぎ…」
先生がなんて言おうが、不安はどんどん伝染していく。龍馬の顔も強ばっている。
「なに?こわいの?」
にやけて龍馬をみると、龍馬はなにかハッとしたあと、すぐに私に向き直った。
「うっせぇ、怖かねーよ。お前こそ、なにかあっても守ってやんないかんな!」
「あんたに守ってもらわなくても、自分の身くらい自分で守れますよーだ!」
べー、と舌を出して龍馬をみる。だけど、その瞬間。
キキィーーーーッ!!!!!
嫌な金属音がして、みんな思わず耳を塞ぐ。
そして、体がふわっと浮いたかと思うと、窓に叩きつけられた。一瞬息が出来なくなる。
「きゃぁぁぁーーーー!!!!!」
みんなの悲鳴が聞こえ、必死に前の座席にしがみつきながら目を開けると、窓の外からどんどん壁が迫ってきていた。
「い、いやぁぁぁぁぁ!!!」
自分の声とは思えない、体の底からしぼりだすような悲鳴を最後に私の記憶は途切れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「も、もか!ももか!…しっかり…しろ!」
伸ばした手を、誰かがぎゅっと握りしめてくれる。
「み…さき?」
いや、違う。みさきじゃない。この人は…。
「りゅう…ま?」
目の前にいたのは、頭から血を流した龍馬。怪我、してるじゃん。 大丈夫? 痛くないの?
そう、言おうとするけど、あれ。
おかしいな。声が、でないや。
「ももか!ももか、わかるか?」
龍馬は必死な顔で私の名前を呼ぶ。
「なに…が…」
「転倒事故だ。スピードを出しすぎたバスが、横倒しになってそのままガードレールに激突した」
私はゆっくりと、血が出ている龍馬の頭に手を伸ばす。
「龍馬…血…。怪我…してるよ…」
「ばかっ!俺のことはどーでもいいんだよ。自分の身は自分で守れるって言ってたろ!」
龍馬は怒ったように叫び、乱暴に涙をぬぐうと、ぎゅっと私を抱きしめた。
「帰ろう!!一緒に、家、帰ろう!死ぬなよ。みんなで修学旅行いくんだろ?」
「大丈夫だよ、わたし、痛く…ないよ。痛み、感じないよ」
「…大丈夫、俺がついてるから。ずっと、そばにいるから」
わたし、大丈夫なのに。心配しすぎだよ。
あれ、でも、なんか眠たくなってきたや。
昨日あんま眠れなかったからかな?
ありがとう、龍馬。ちょっとだけ、眠るね。 Airi(元あいり)さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年2月23日みんなの答え:5件
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
5件中 1 〜 5件を表示
-
え…? ☆こんにちは♪ハムスターの飼い主です♪☆
さっそく本題!
え…?
「ちょっとだけ、眠るね」ってまさか…
そのまま、○ぬ…?
って思っちゃった…。
違ったらすみません…
本当だったらちょっと怖…
ではっ! ハムスターの飼い主さん(山口・10さい)からの答え
とうこう日:2024年5月23日 -
めっちゃ良かった! 最後までいてくれたのがみさきではなく龍馬だったこと、めっちゃエモかったです!!これ好き!
一つだけ気になったこと。みさきのにやにや、めっちゃ分かりやすくて面白いんだけど、ももかに「どうしちゃったの?」と言わせるほどにやにやしてるのか…てなって一瞬事故ったのみさきのせい…?といらぬ疑いをしてしまった笑
でも面白かった! ライラックさん(東京・14さい)からの答え
とうこう日:2024年5月1日 -
すごーい! やっほー!もちのあんです♪
すごい!めっちゃ上手です!
事故が起こった様子を「キキィーーーーッ!!!!」
っていうふうに書いているので場面が分かりやすくてよかったです!
読んでくれてありがと!バイバーイ! もちのあんさん(兵庫・11さい)からの答え
とうこう日:2024年4月29日 -
スゴイ! とてもわかりやすくていいなと思いました!
人物の行動も細かく書いてあったのでとてもわかりやすくて、場面を想像しやすかったよ! ねこたんさん(静岡・12さい)からの答え
とうこう日:2024年4月29日 -
アドバイス こんにちは!
読者からのちょっとしたアドバイス!
「帰ろう!!ー緒に、家、帰ろう!死ぬなよ。みんなで修学旅行行くんだろ?」
って所で、修学旅行行きたいのか
家に帰りたいのか
分かりにくかったです。 ほののん@彡さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2024年4月28日
[ まえへ ]
1
[ つぎへ ]
5件中 1 〜 5件を表示
-
- 【「相談するとき」「相談の答え(回答)を書くとき」のルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- 「短編小説投稿について」をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
-
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
個人 を判断 することが出来ないため、削除依頼 には対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。
- キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの
- カテゴリごとの新着相談
-
-
- みんなの好きな短歌は?11月29日
-
- 公文バッグってもらえないの?01月11日
-
- 直したいんだ。01月11日
-
- いじめをいつまでも引きずってるのが悪い?01月12日
-
- 私の安らかな睡眠学習の時間がぁ…。01月11日
-
- なんかいい勉強方ってありますか?01月11日
-
- どうすればいいですか?01月12日
-
- 肩幅が広すぎる、、、01月12日
-
- 卓球部に入ってる中学生の先輩に質問です01月12日
-
- 魔男のイチって知っていますか?!01月11日
-
- 告白について、、01月12日
-
- 垢抜けたいです、質問返しお願いします!01月12日
-
- みんなが最近ハマってること01月12日
-
- あの場所で 〜笑顔と感動の物語〜09月30日
-
- 漢字検定は何級から受ければいい?01月12日
-
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
・>>SNSで相談する
・電話で相談する
・>>地元の相談窓口を探す
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。