海という名の宝石
海なんてもう入らない。そう決めたんだ。
私は水木美雨(みずきみう)。
両親は海辺で「海の家」を経営している。
私もたまに、手伝うんだ。
今は真夏。この海に来る観光客は多い。
そんな沢山の人の中で、視界に入ったのは…
(…学校の制服?…えっえっ、海に入るの!?待って待って待って)
普通の服で海に入ると洗濯が大変なんだよー!
「ちょっと君!制服で入らないでよ!?」
「んー?あ、ごめんね」
制服姿の、白銀の髪色の男の子。結構イケメン。
(…あれ)
私と同じ学校の制服だけど…こんな人いたっけ…?
「興奮しちゃった。引っ越してきたばっかりだからさ」
「へぇ……海、好きなの?」
「うん。てか、好きになる以外方法はないでしょ!」
彼は目を輝かせていった。
…そんな目を見て、私は泣きそうになる。
「…海は、嫌いだ」
私はそう呟いてその場を去った。
元々私は海に潜るのが大好きだった。
時間があれば水着に着替えて潜っていた。
…そんなある日のことだった。
私は浜から少し離れたところを泳いでいた。
そして水の中に、ぷかぷかと漂うビニールのようなものがあった。
あまりにも綺麗だったから、私はそれに近づいた。
それに触れると、指先が一瞬、ちくっとして。
しばらくすると、体全身が痺れ始めた。
そう…そのビニールのようなものは、毒を持ったクラゲだった。
水面に顔を出しても、息がしづらくなって。
私はそのまま溺れかけた。
運良く周りにいた人が助けてくれたからよかったけど、
そのクラゲは相当な猛毒を持っている種類だったようで、
私は死にかけた。
その日から決めたんだ。…もう、海には入らないって。
「この前ここに引っ越してきました!夏希界叶(なつきかいと)です!」
…昨日のイケメンくんじゃん。
(転校してきたことはなんとなくわかったけど、まさか同じクラスとはね…)
「…ん?あれ!昨日の子じゃん!」
「あ、えっと、うん」
「美雨ちゃんていうのねーよろしくー」
「うん…」
「美雨ちゃん。一緒に昼飯食お」
「え、えー…うん、いいけど」
「美雨ちゃんて、海嫌いなの?」
(…めちゃくちゃ直球)
「嫌い…っちゃ嫌いだけど…」
「へぇ…僕は好きだよ。あ、昨日言ったか。あはは」
…海は…好きだったけど…
海に命を奪われかけたからね…
「…美雨ちゃんに何があったかは知らないけどさ。海、好きじゃないの?」
「何回聞いてくるの…海は…いやなの」
「…そっか。でもさ、海の中って、キラキラしてるよね」
(…キラキラ…?)
「普通の水では感じられない青さ、空から差し込む光。波が動くことによって、その光もうねうねしながら輝くんだ」
私は驚いた。
海って、そんなだったっけ…?
「体にまとわりつく冷たさも心地いいし、楽しく踊っている魚たちも綺麗」
界叶くんはにっこりと笑って言った。
「海って、まるで宝石だよね!」
その一言に、心が少し揺らいだ気がした。
夜、私は砂浜に座って海を眺めていた。
(…宝石……)
夜の海は、界叶くんが言ったことがあまり起こらない。
月の光が海で輝くことはない。私は知っている。
なぜか、胸の辺りがざわざわした。
ぐちゃぐちゃな気持ちになって、むしゃくしゃしてそこらへんの貝殻を海に投げ込んだ。
…その瞬間だった。
貝殻が落ちたところを中心に波紋が広がっていく。
そして、その波がキラキラと輝き始めた。
「……夜光虫だ…」
…昼間とは違う海。
そこには、また違うキラキラがある。
私は自然と海に近づいていった。
そうして、海水に手をつけてみた。
夜の海水は、ひんやりと冷たかった。
…でも、その冷たさの奥に、温もりを感じた。
「…海って、宝石みたいだなぁ…」 きおさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2024年2月24日みんなの答え:1件
私は水木美雨(みずきみう)。
両親は海辺で「海の家」を経営している。
私もたまに、手伝うんだ。
今は真夏。この海に来る観光客は多い。
そんな沢山の人の中で、視界に入ったのは…
(…学校の制服?…えっえっ、海に入るの!?待って待って待って)
普通の服で海に入ると洗濯が大変なんだよー!
「ちょっと君!制服で入らないでよ!?」
「んー?あ、ごめんね」
制服姿の、白銀の髪色の男の子。結構イケメン。
(…あれ)
私と同じ学校の制服だけど…こんな人いたっけ…?
「興奮しちゃった。引っ越してきたばっかりだからさ」
「へぇ……海、好きなの?」
「うん。てか、好きになる以外方法はないでしょ!」
彼は目を輝かせていった。
…そんな目を見て、私は泣きそうになる。
「…海は、嫌いだ」
私はそう呟いてその場を去った。
元々私は海に潜るのが大好きだった。
時間があれば水着に着替えて潜っていた。
…そんなある日のことだった。
私は浜から少し離れたところを泳いでいた。
そして水の中に、ぷかぷかと漂うビニールのようなものがあった。
あまりにも綺麗だったから、私はそれに近づいた。
それに触れると、指先が一瞬、ちくっとして。
しばらくすると、体全身が痺れ始めた。
そう…そのビニールのようなものは、毒を持ったクラゲだった。
水面に顔を出しても、息がしづらくなって。
私はそのまま溺れかけた。
運良く周りにいた人が助けてくれたからよかったけど、
そのクラゲは相当な猛毒を持っている種類だったようで、
私は死にかけた。
その日から決めたんだ。…もう、海には入らないって。
「この前ここに引っ越してきました!夏希界叶(なつきかいと)です!」
…昨日のイケメンくんじゃん。
(転校してきたことはなんとなくわかったけど、まさか同じクラスとはね…)
「…ん?あれ!昨日の子じゃん!」
「あ、えっと、うん」
「美雨ちゃんていうのねーよろしくー」
「うん…」
「美雨ちゃん。一緒に昼飯食お」
「え、えー…うん、いいけど」
「美雨ちゃんて、海嫌いなの?」
(…めちゃくちゃ直球)
「嫌い…っちゃ嫌いだけど…」
「へぇ…僕は好きだよ。あ、昨日言ったか。あはは」
…海は…好きだったけど…
海に命を奪われかけたからね…
「…美雨ちゃんに何があったかは知らないけどさ。海、好きじゃないの?」
「何回聞いてくるの…海は…いやなの」
「…そっか。でもさ、海の中って、キラキラしてるよね」
(…キラキラ…?)
「普通の水では感じられない青さ、空から差し込む光。波が動くことによって、その光もうねうねしながら輝くんだ」
私は驚いた。
海って、そんなだったっけ…?
「体にまとわりつく冷たさも心地いいし、楽しく踊っている魚たちも綺麗」
界叶くんはにっこりと笑って言った。
「海って、まるで宝石だよね!」
その一言に、心が少し揺らいだ気がした。
夜、私は砂浜に座って海を眺めていた。
(…宝石……)
夜の海は、界叶くんが言ったことがあまり起こらない。
月の光が海で輝くことはない。私は知っている。
なぜか、胸の辺りがざわざわした。
ぐちゃぐちゃな気持ちになって、むしゃくしゃしてそこらへんの貝殻を海に投げ込んだ。
…その瞬間だった。
貝殻が落ちたところを中心に波紋が広がっていく。
そして、その波がキラキラと輝き始めた。
「……夜光虫だ…」
…昼間とは違う海。
そこには、また違うキラキラがある。
私は自然と海に近づいていった。
そうして、海水に手をつけてみた。
夜の海水は、ひんやりと冷たかった。
…でも、その冷たさの奥に、温もりを感じた。
「…海って、宝石みたいだなぁ…」 きおさん(選択なし・12さい)からの相談
とうこう日:2024年2月24日みんなの答え:1件
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海の家! こんにちは!
海の良さが伝わるような
海の美しさが伝わるような
とても面白い小説でした!
それに、海の家を題材に
書いた物語って、
なかなか無くて、
良いなって思いました!!
ほののん@彡さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2024年4月29日
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