声が聞こえていなくても― #恋愛 #聴覚障害男子
「いっ急がないとっ」
私、中学1年生の目黒薺(めぐろなずな)は、焦って走っていた。
「中学生初日から遅刻したら、半端なく引かれるッ」
アラームが、今日の朝6時にセットしたはずなのに、今日の夜18時にセットしていたのだ。
学校が遠くの方に見えてきたその時。
ドーン。
誰かとぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさいっ」
私は驚いて、頭を下げた。
相手を見ると、高身長のイケメンの男子であった。
自分より同級生か年上という感じだ。
「…」
その人は黙っていた。状況が呑み込めていないようだ。
落としていたのは…タピオカジュースだった。
「ほげぇぇぇーーー!!!これ、最近令和商店街に出来たジュース屋さんの高いタピオカジュースじゃん!?いや、本当にごめんなさい、罰金はいくらでも払いますんでぇぇぇ」
その人は、ポケットからメモ帳とペンを出して、何かを書いて見せてきた。
≪大丈夫!これくらい安いし!≫
「え…」
男の人は白い歯を見せて笑うと、どこかへ行ってしまった。
「はっ、学校!」
私は急いで学校へ向かったのだった。
「ギリセーッフ」
私は着くのと同時にチャイムが鳴った。
「今回、クラスメイトについて話があります。こちらは湖川蒔(こがわまき)君です。」
私は目を丸くした。それは、ついさっきぶつかった高身長イケメン男子だったからだ。
「…そして、湖川君は、耳が聞こえません。なので、喋れません。」
私は驚いた。…だから、今日はメモしてくれたのか…
「せっかくイケメンなのにざんねーん」「これじゃ話しかけても意味無いじゃん」
私は、女子たちのコソコソ話に無性に腹が立った。
「席は、目黒の隣な。」
先生はそう言うと、早速授業を始めてしまう。
≪今朝はごめん。あと、ペアよろしく。≫
そうノートに書いて見せると、蒔君は一瞬戸惑ったが、すぐ笑った。
蒔君は、良い子なんだと思う。
休み時間、蒔君は一人だった。
誰とも話せないから、誰も寄って来てくれない。ずーっと頬杖をついて、青空を見ている。
「蒔君」
蒔君は振り返らない。聞こえないからだ。
だが、不用意に触ると、驚くだろう。
蒔君の前に顔をひょっこりと出した。
≪蒔君、一人なら私と遊ぶ?≫
私はそう書いたノートを見せると、蒔君の瞳は光り輝いた。
「あああああクッソオオオ!!!」
私はクラス中に響き渡るような声で何度も叫んだ。
≪蒔君意外とババ抜き強い≫
≪ありがと(笑)≫
こんな些細なやり取りでも、蒔君と繋がっているように思えた。
そんな毎日が続くのであった。
帰り道。いつものように蒔君と歩いていると。
「―キ」
蒔君が何か言ったような気がして、隣を見た。
蒔君が喋る…?そ、そんなわけない。
すると、蒔君は、私の顔を手でこちらに向かせた。
「…ナ…ズナ…ガ………ス、キ―」
それは、明らかに、蒔君の口から発せられていた。
私の目から涙が出ていた。
私は、長い時間練習してきた手話で、こう告げた。
「私は、蒔君のこと、好き。」
蒔君は、一瞬目を丸くして、少し涙目になったが、白い歯を見せて笑顔を見せた。
―この笑顔、ズルいよね…
蒔君は、耳が聞こえなくても、私の心の声は、聞こえてるんだよね― 怖斗@fuutoさん(選択なし・15さい)からの相談
とうこう日:2024年3月28日みんなの答え:5件
私、中学1年生の目黒薺(めぐろなずな)は、焦って走っていた。
「中学生初日から遅刻したら、半端なく引かれるッ」
アラームが、今日の朝6時にセットしたはずなのに、今日の夜18時にセットしていたのだ。
学校が遠くの方に見えてきたその時。
ドーン。
誰かとぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさいっ」
私は驚いて、頭を下げた。
相手を見ると、高身長のイケメンの男子であった。
自分より同級生か年上という感じだ。
「…」
その人は黙っていた。状況が呑み込めていないようだ。
落としていたのは…タピオカジュースだった。
「ほげぇぇぇーーー!!!これ、最近令和商店街に出来たジュース屋さんの高いタピオカジュースじゃん!?いや、本当にごめんなさい、罰金はいくらでも払いますんでぇぇぇ」
その人は、ポケットからメモ帳とペンを出して、何かを書いて見せてきた。
≪大丈夫!これくらい安いし!≫
「え…」
男の人は白い歯を見せて笑うと、どこかへ行ってしまった。
「はっ、学校!」
私は急いで学校へ向かったのだった。
「ギリセーッフ」
私は着くのと同時にチャイムが鳴った。
「今回、クラスメイトについて話があります。こちらは湖川蒔(こがわまき)君です。」
私は目を丸くした。それは、ついさっきぶつかった高身長イケメン男子だったからだ。
「…そして、湖川君は、耳が聞こえません。なので、喋れません。」
私は驚いた。…だから、今日はメモしてくれたのか…
「せっかくイケメンなのにざんねーん」「これじゃ話しかけても意味無いじゃん」
私は、女子たちのコソコソ話に無性に腹が立った。
「席は、目黒の隣な。」
先生はそう言うと、早速授業を始めてしまう。
≪今朝はごめん。あと、ペアよろしく。≫
そうノートに書いて見せると、蒔君は一瞬戸惑ったが、すぐ笑った。
蒔君は、良い子なんだと思う。
休み時間、蒔君は一人だった。
誰とも話せないから、誰も寄って来てくれない。ずーっと頬杖をついて、青空を見ている。
「蒔君」
蒔君は振り返らない。聞こえないからだ。
だが、不用意に触ると、驚くだろう。
蒔君の前に顔をひょっこりと出した。
≪蒔君、一人なら私と遊ぶ?≫
私はそう書いたノートを見せると、蒔君の瞳は光り輝いた。
「あああああクッソオオオ!!!」
私はクラス中に響き渡るような声で何度も叫んだ。
≪蒔君意外とババ抜き強い≫
≪ありがと(笑)≫
こんな些細なやり取りでも、蒔君と繋がっているように思えた。
そんな毎日が続くのであった。
帰り道。いつものように蒔君と歩いていると。
「―キ」
蒔君が何か言ったような気がして、隣を見た。
蒔君が喋る…?そ、そんなわけない。
すると、蒔君は、私の顔を手でこちらに向かせた。
「…ナ…ズナ…ガ………ス、キ―」
それは、明らかに、蒔君の口から発せられていた。
私の目から涙が出ていた。
私は、長い時間練習してきた手話で、こう告げた。
「私は、蒔君のこと、好き。」
蒔君は、一瞬目を丸くして、少し涙目になったが、白い歯を見せて笑顔を見せた。
―この笑顔、ズルいよね…
蒔君は、耳が聞こえなくても、私の心の声は、聞こえてるんだよね― 怖斗@fuutoさん(選択なし・15さい)からの相談
とうこう日:2024年3月28日みんなの答え:5件
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ワァ―オ!!! こんにちは!れもんだよ!
早速本題!
あなた,アイデア天才過ぎません???
れもんも短編小説書いてるけど,アイデアはそんなに良くないよー(泣)
すごすぎてすごさがわからなくなる(?)っていうか,…すごい(これしか言えん)
尊敬します!!
バイバイ!(。・ω・。)ノ れもんさん(大阪・12さい)からの答え
とうこう日:2024年6月27日 -
とても感動しました。 あめのおとです。
とても感動しました。こんな彼氏ほしいです。
素敵なお話をありがとうございました。
あめのおとさん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2024年6月10日 -
感動! おはにちばんわ!虹色花火だよ!
本題
感動と同時にキュンキュンしました!ありがとうございました! 虹色花火さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2024年6月8日 -
うわあああ〜っ!感動したよおお めっちゃ感動したああ(´;ω;`)
ナズナちゃん幸せになってねええ!!!! ねのさん(選択なし・11さい)からの答え
とうこう日:2024年6月6日 -
す、すごい、、、 |ω・`)ノ ヤァ
アイちゃんって呼んでね。
――――――☆START☆――――――
すごい。
この話ほんとにすごいです。
キュンキュンしました。
―この笑顔、ズルいよね...
のところでめっちゃキュンとしました。
あたしもいつかこんな話書きたいです!
――――――☆FINISH☆――――――
読んでくれてありがとうございました。 アイちゃんさん(選択なし・12さい)からの答え
とうこう日:2024年6月6日
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