最期に過ごした二人きりの夏
まだいなくならないでね_____。
あの夏は私たちが共に過ごした最期の時。私の愛する友、紗良は突然亡くなった。
中学の時に初めて出会った紗良。色白でサラサラな黒髪、長い睫毛に色素の薄い瞳。彼女は私の理想の女の子そのものだった。どうしても他の子に取られたくなかった。勇気を振り絞って声を掛けたのが私たちの関係の始まりだった。
彼女は私だけの天使だった。正直紗良以外どうでもよかった。これはもはや友情ではなく、執着だった。今となってはわからないが、淡い恋心を抱いていたのかもしれない。
こんなことを言ったことがある。
「私も紗良みたいに髪伸ばしてみようかな」
窓の外を見ると雷雲で暗くなっていたその日の放課後、私たちは二人で教室に残っていた。
「んー、でも私夏帆のボブ好きだよ」
その一言が私にとっての全てだった。それ以降、私の髪は常に顎下ボブだった。
あの日、紗良はクラスの女の子と話していた。
「ーなの。面白いよね笑」声を出して笑っている紗良。私の前でもあそこまで笑うことは少ないのに。
「紗良ちゃんって可愛い女の子って感じだったけど、結構面白いんだね!笑」美香ちゃんがさらにそういった。美香ちゃん、真冬ちゃん、菜々子ちゃん。みんないい子。それはわかる。でも、(気安く沙良に喋りかけないでよ、)そう思った。心の中で何かが湧き上がっている気がした。その正体に気づいていればこんなことにはならなかったのかもしれない。今となってはもう遅い。この気持ちって「嫉妬」だったんだなあ。
日に日に強くなる紗良への愛。それに比例するように憎しみも募っていった。こんな醜い気持ち、紗良に抱くなんて。親友失格だ。昔は共依存のようだったが、私の一方的な恋みたいになっていた。
夏休みが私たちを訪れた。七月末には紗良の誕生日が待ち構えている。出会って五回目の誕生日。紗良が17歳になる日、私たちは海に行くと約束している。サプライズも計画している。Sarahと彫った指輪。真ん中には小さなルビー。20万円弱、数ヶ月バイト詰めで貯めたお金。紗良にだったら全財産費やしてもいい。
そして当日。晴れ渡る青い空に水平線にはもくもくの入道雲。穏やかな波の音がまるでこの世界には私たち二人だけしかいないように錯覚させてくれる。最近は二人で過ごすことも減った。美香、真冬、菜々子、紗良、私の五人で過ごす学校生活。楽しくないわけではない。でも私にはかつての日々が恋しかった。
そんな中久しぶりに二人きりになれた。中一の夏、「二人の誕生日は二人きりで過ごす」という約束を交わした私たち。家族の心配もない。親が蒸発し小二の時叔母に引き取られた私。中二の冬に両親が事故で他界した紗良。紗良には私しかいないから。私がそばにいてあげると決めたから。
「海、綺麗だね」そう呟く紗良。靡く髪を耳にかけるその姿は言葉で言い表しようのないくらい美しかった。
「そうだね、」緊張から声が震える私。
「夏帆、どうしたー」
「紗良っ!!一生そばにいてほしい、二人でならなんでも乗り越えられると思うの」ああ、失敗。言おうとしていたこと色々すっ飛ばしてしまった。こんなのじゃ想いは伝わらないよ、どうせ。
「夏帆…」驚きから開いた口が塞がらない様子の彼女。まあ、そりゃそうだよね。今までずっと親友だと思ってた私にプロポーズされたんだから。
「夏帆、何言ってるの」これで私たちの関係も終わりか。
「当たり前じゃない。今更夏帆なしで過ごせないよ」彼女ははにかんだ笑みを見せた。
拒絶されなかった。私の愛は重くなかったんだ!ああ、素晴らしい世界よ。神よ。私たちの行く末を見守っていてください。
「ふふ、私たちずっと一緒にいよー」
プーーーーッ!ドンッ
鈍い音がした。何が起こったかわからなかった。頭の処理が追いつかない。私はふと足元に視線を落とした。茶色い革靴のそばまで流れる赤い液体。その元を辿っていくと、そこには人間のような歪な形をした塊、そして見覚えのある鞄。赤く光る指輪。受け入れられない現実とは裏腹に、指輪についたルビーは日光が反射してキラキラ光っていた。
私が紗良を押したんだ。醜い嫉妬がこの事態を招いたんだ。
その日を境に、私は生きる理由を失った。
愛する彼女の葬式には、私一人だけだった。
今でも私は彼女に執着し続けている。でもどうやらそれは私だけではないようだ。私の目には見えないけれど、貴女のことを感じているよ。
まだいなくならないでね。
文章下手ですみません。。考察などお待ちしております!! 壊れたお人形さん(東京・15さい)からの相談
とうこう日:2024年4月18日みんなの答え:0件
あの夏は私たちが共に過ごした最期の時。私の愛する友、紗良は突然亡くなった。
中学の時に初めて出会った紗良。色白でサラサラな黒髪、長い睫毛に色素の薄い瞳。彼女は私の理想の女の子そのものだった。どうしても他の子に取られたくなかった。勇気を振り絞って声を掛けたのが私たちの関係の始まりだった。
彼女は私だけの天使だった。正直紗良以外どうでもよかった。これはもはや友情ではなく、執着だった。今となってはわからないが、淡い恋心を抱いていたのかもしれない。
こんなことを言ったことがある。
「私も紗良みたいに髪伸ばしてみようかな」
窓の外を見ると雷雲で暗くなっていたその日の放課後、私たちは二人で教室に残っていた。
「んー、でも私夏帆のボブ好きだよ」
その一言が私にとっての全てだった。それ以降、私の髪は常に顎下ボブだった。
あの日、紗良はクラスの女の子と話していた。
「ーなの。面白いよね笑」声を出して笑っている紗良。私の前でもあそこまで笑うことは少ないのに。
「紗良ちゃんって可愛い女の子って感じだったけど、結構面白いんだね!笑」美香ちゃんがさらにそういった。美香ちゃん、真冬ちゃん、菜々子ちゃん。みんないい子。それはわかる。でも、(気安く沙良に喋りかけないでよ、)そう思った。心の中で何かが湧き上がっている気がした。その正体に気づいていればこんなことにはならなかったのかもしれない。今となってはもう遅い。この気持ちって「嫉妬」だったんだなあ。
日に日に強くなる紗良への愛。それに比例するように憎しみも募っていった。こんな醜い気持ち、紗良に抱くなんて。親友失格だ。昔は共依存のようだったが、私の一方的な恋みたいになっていた。
夏休みが私たちを訪れた。七月末には紗良の誕生日が待ち構えている。出会って五回目の誕生日。紗良が17歳になる日、私たちは海に行くと約束している。サプライズも計画している。Sarahと彫った指輪。真ん中には小さなルビー。20万円弱、数ヶ月バイト詰めで貯めたお金。紗良にだったら全財産費やしてもいい。
そして当日。晴れ渡る青い空に水平線にはもくもくの入道雲。穏やかな波の音がまるでこの世界には私たち二人だけしかいないように錯覚させてくれる。最近は二人で過ごすことも減った。美香、真冬、菜々子、紗良、私の五人で過ごす学校生活。楽しくないわけではない。でも私にはかつての日々が恋しかった。
そんな中久しぶりに二人きりになれた。中一の夏、「二人の誕生日は二人きりで過ごす」という約束を交わした私たち。家族の心配もない。親が蒸発し小二の時叔母に引き取られた私。中二の冬に両親が事故で他界した紗良。紗良には私しかいないから。私がそばにいてあげると決めたから。
「海、綺麗だね」そう呟く紗良。靡く髪を耳にかけるその姿は言葉で言い表しようのないくらい美しかった。
「そうだね、」緊張から声が震える私。
「夏帆、どうしたー」
「紗良っ!!一生そばにいてほしい、二人でならなんでも乗り越えられると思うの」ああ、失敗。言おうとしていたこと色々すっ飛ばしてしまった。こんなのじゃ想いは伝わらないよ、どうせ。
「夏帆…」驚きから開いた口が塞がらない様子の彼女。まあ、そりゃそうだよね。今までずっと親友だと思ってた私にプロポーズされたんだから。
「夏帆、何言ってるの」これで私たちの関係も終わりか。
「当たり前じゃない。今更夏帆なしで過ごせないよ」彼女ははにかんだ笑みを見せた。
拒絶されなかった。私の愛は重くなかったんだ!ああ、素晴らしい世界よ。神よ。私たちの行く末を見守っていてください。
「ふふ、私たちずっと一緒にいよー」
プーーーーッ!ドンッ
鈍い音がした。何が起こったかわからなかった。頭の処理が追いつかない。私はふと足元に視線を落とした。茶色い革靴のそばまで流れる赤い液体。その元を辿っていくと、そこには人間のような歪な形をした塊、そして見覚えのある鞄。赤く光る指輪。受け入れられない現実とは裏腹に、指輪についたルビーは日光が反射してキラキラ光っていた。
私が紗良を押したんだ。醜い嫉妬がこの事態を招いたんだ。
その日を境に、私は生きる理由を失った。
愛する彼女の葬式には、私一人だけだった。
今でも私は彼女に執着し続けている。でもどうやらそれは私だけではないようだ。私の目には見えないけれど、貴女のことを感じているよ。
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