トップへもどる
キッズ@niftyの外 アット・ニフティの他のページ 有償サイト マークのせつめい
『俺にはお前がいるんだ。』(感動系) 俺、蓮斗。中1なんだけど、彼女を持っている。その子は
「おーい!レオー?」
幼馴染の、ぬい。
「うるさいなぁ…ったく。」
昨日から、一週間のお泊り会。…というか、俺がぬいの家にホームステイ中。
「ウチの家やし!」
「はいはい。で、何?」
「今日は何の日でしょうか!」
急だな、オイ。
「えーと…」
「ウチラが付き合い始めた記念日だよ!!!」
「あ、そうだっけ。」
「もう!2周年なんだから覚えてよね!」
「ごめんごめん」
「もう…今日は水族館行くんでしょ!?」
「あぁ、そうだった。じゃ、行くかぁ」

「レオ、お金払ってあげようか?うちが行きたいって言い出したんだし。」
「いやいや、どうせ、俺しか払わないんだから。」

「ねぇ見て!チンアナゴ!可愛い!」
「そうやね。」
周りの人に見られる気がする。
「あの子何してるのかしら…」
そうだった。ぬいは、生まれつき身長がちっちゃくて、周りから見ると、兄と妹のレベルくらい小さいんだ。
だから。
「ちょっと君。ここで何してるの。」
「え、水族館を見に来たんですけど。」
よく警察の人に話しかけられる。
「って…保護者の人は?」
「レオ、どうかした?」
「いや… 俺中1なんですけど。中1から保護者なしでいいんですよね?」
「じゃあ、一人でブツブツ言ってるの、やめてくれない?君が来るたびに苦情がすごいんだよ。」
「…レオ?」
「…わかりました。今後気をつけます。」
二人、と言わないところが違和感となり、時に喉に引っかかる。
「レオ!ガチャガチャ行こ!!限定のやつもあるっぽいよ!」
「マジで?!あそこ一回500円のばっかじゃん。」
「いいじゃん!思い出だよぉ!」
頬を膨らませた顔はまるで幼い日のぬいを丸写ししているようだ。
「ったく、」
俺はぬいの手に500円を握らせる。
「!ありがと!」
ぬいの顔がパァッと明るくなる。
「お前、中学の勉強終わったの?」
「レオは?」
「俺は私立で多いからとっくの昔に終わらせた。」
「そっか…」
「お前と俺は学校で会えないんだよ。だからこういう時間は大切にしたい。」
「…別に学校で会えるのに?」
周りの目線がどんどん痛々しくなっている。なんでだ。
「会える…けど…」
「もういいから。あの日はしょうがなかったんだよ。」
胸が痛い。
「ちょっと、外出て話さない?な、ぬい。」

「あの日はほんと。楽しかったよね。」
「あれは…」

小1の夏。
あの日俺らは川に遊びに行っていた。
釣りしたり。
川で泳いだり。
各々が好きなことをやっていた。
楽しかった。

その時までは。

雨が降ってきた。 ポツポツポツ。
音を口で復唱しながら、車に戻ろうとした。その時気づいた。ぬいがいない。

「ぬい!どこいったの?!ぬい!」
俺は必死に叫んでいた。

冷たい。
怖い。
どこいったの?
ねぇ。

「!ぬい?!」
川の向こうに姿が見えた。…笑っている。
「ぬい!まってて!おかあさんよんでくるからっ!」
「(フルフルっ)」
ぬいは首を振った。
どうして。
「!」
(ボッチャーン!)
「ぬいっ!」
ぬいは川へと飛び込んだ。俺は走って、大人を探しに行った。

あれから3時間が経って、ぬいは発見された。

氷のように冷たくなった状態で。
「ぬい…なんで…どうしてなん…」
幼いぬいの頬に俺の涙が伝う。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
いつしか泣いていた。


「あの日は本当に事故だったんだって、お母さんも言ってたよ。だから心配しないでって!」
「するに決まってんだろ?!俺の妹同然なんだから。あの日、お前は待ってたら生きてたんじゃないのかよ…」
服ごと透けているぬいの足に目を向ける。足の原型はない。
「もういいんだよ。あの日、ウチ、生きてたら…どっちにしても…親に殺されてたんだよ…」
「…それなら、俺が死ぬ。俺が死んで、天国で本当に付き合おうぜ?それなら問題ないだろ。な?それでいいんだ。だから…」
「良くないっ!」
言葉が詰まる。言いたい事いっぱいあるのにな。
「…ごめん。先走った。…俺はどうしたら…」
「悩んでるのはレオに似合わないよ。」
「もういいからさ。レオはレオらしく、自分の人生全うしてきてよ。」
俺、何言ってたんだろ。俺は、ぬいが死んで悲しかった。
てことは、俺の親も、ぬいも、他のトモダチも、悲しむんだよな。
「ごめん、ぬい。ぬいの言う通りだった。俺、ちゃんと生きる。だから、近くにいてくれね?」
「…あ、」
「!」
俺は、とっさにぬいに駆け寄った。体が透け始めているんだ。
「ぬいっ?!」
「あ、ごめん。言い忘れとった。ウチね、」
体が透けていく。もう首まで。
「6年で本当に消えるんだった。」
(フッ…)
「ぬい…!」

ぬいが座っていた椅子には、ガチャの景品が残っていた。

END
REMさん(福岡・12さい)からの相談
とうこう日:2024年5月6日みんなの答え:1件

※SNSボタンについて

この相談に答える
※23:00〜6:00は回答の投稿はできません

みんなの答え

[ まえへ ]  1  [ つぎへ ]
1件中 1 〜 1件を表示
  • 話に作るのうますぎる! どもども!もくーうです!!!!!

    一番初めに思ったことは、話し作るのがすごくうまいです!!

    ぬいが消えちゃうなんて…(°ロ°)

    最後の「ぬいが座っていた椅子には、ガチャの景品が残っていた。
    っていう終わり方♪カッコイイ♪です!

    では、ばあぁい
    もくーうさん(兵庫・10さい)からの答え
    とうこう日:2024年8月9日
[ まえへ ]  1  [ つぎへ ]
1件中 1 〜 1件を表示

相談に答える

相談の答えを書くときのルール
短編小説への回答を書くときのルール
編集部よりのお願い
  • キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの個人こじん判断はんだんすることが出来ないため、削除依頼さくじょいらいには対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。

ニックネーム

  • 20字まで
  • フルネーム(名字・名前の両方)が書かれた投稿(とうこう)紹介(しょうかい)できません

せいべつ

   

ねんれい

  • 投稿できるのは5〜19さいです

都道府県(とどうふけん)

アイコン

           
           

答えのタイトル

  • 20字まで

答え

  • 500字まで
  • 自己紹介(しょうかい)は2行程度でお願いします
※23:00〜6:00は回答の投稿はできません
※23:00〜6:00は相談の投稿はできません
実施中のアンケート
  • 調査アンケート:習い事

    アンケート実施期間:〜1月20日まで

  • 調査アンケート:部活

    アンケート実施期間:〜2月3日まで

カテゴリごとの新着相談
今年の抱負
ニフティキッズ版百人一首を作ろう!2025
ニフティキッズ公式SNSのご紹介
いろんな相談先があります
子供のSOSの相談窓口
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
>>SNSで相談する
・電話で相談する
24時間子供SOSダイヤル(通話料無料)
>>地元の相談窓口を探す
チャイルドライン
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。
おうちの人とつくろう!わが家のインターネットルール
トップへもどる
お問い合わせ おうちの方へ
(c)NIFTY Corporation