君の隣は私のもの。
翔(しょう)にとって、私は「男友達」だ。
翔と一番仲が良い女子は、私。
は?と思っただろう。複雑なことじゃない。私は「女」。でも翔にとっては「男」みたいなもの。それだけだ。
私にとっても、翔は大切な1人の男友達だった。
それは変わらない…この間までそう思ってた。自分の気持ちの変化になんて、気付けなかった。
翔の言動に一喜一憂し、ずっと一緒にいたいと思うようになるなんて。
こんなはずじゃなかった。…恋になんて、落ちたくなかった。
「…どうせ、叶わないから…。」
小さい声で呟く。君と出逢って約1年。いつも一緒にいた。一番近くて、遠い恋。
6月中旬、いつもの帰り道。目の前で揺れる翔の背中に、心のなかでハートを描いた。
そんな生活が変わったのは、翔に起こったある1つの出来事から。
「ッッ…告られた?」
昼休み。翔の口から飛び出た言葉に驚愕する。
翔が、3組の女子に告られたということだ。
「ああ…うん。」
翔がめんどくさそうに返事をした。反射的に、私も口を開く。
「あー、よかったやん。じゃあ…」
…じゃあ、付き合うの?
言いかけて、なんだか無性に苦しくなった。どうしようもなく不安が押し寄せてくる。
翔が私から離れていったら、私は…私は?どうすればいいんだろう。
「じゃあ…って何?」
翔が尋ねてくる。私は首を横に振った。
「なんでもない。ちょっと行ってくる。」
どこにー?と問いかけてくる翔の声を背に、私は教室を出た。
休日、偶然ショッピングセンターで、翔が別のクラスの女の子といるのを見た。
私の場所は奪われてしまった。
自己中心的に、そう思った。
離れてくんだな…。
1人で歩く帰り道はつまらない。
きっと翔はあの子と帰るだろう。私なんかが邪魔しちゃいけない。
そのとき私の背中に手がおかれた。
「沙月(さづき)」
低くて、柔らかい声。
…何だかこの声も、久しぶりに聞く気がする。
「…翔。」
翔は、いつもと変わらない。
「ねえ、今日さ〜、…拗ねてる?」
「…別にそんなことない。」
「拗ねてる〜!」
翔といるだけで幸せになる。きっとそんなこと、翔はお見通しだ。でも…
「私にかまってる暇ないでしょ。あの子をおいてっていいの?」
ホントは笑いたい。言葉の端々にトゲを隠して本音を否定する。
「あの子…?」
翔が眉をひそめたのが分かった。
なんでわからないの。
「告られたでしょ。仲いいじゃん。前ララポにいたでしょ?邪魔しちゃ悪いし。」
顔を見たら泣いてしまいそうで、怖かった。
「はやく行ってよ…。」
これ以上一緒にいたら、飲み込まれてしまう。ずっと離れられなくて、そのたびに苦しい思いをする。
―涙は見せたくない。
平静を装って、また明日、を言おうと背中を向ける。
そのとき、翔が口を開いた。
「俺がいなくなるのが、怖い?」
突然の質問に、私は振り向いた。翔は少し笑っていた。やっぱり、いつもと変わらない。
返事をしないでいると、翔は数歩歩み寄ってきた。
ぐっと体を引き寄せられる。
気づけば、翔が私の右手を掴んでいた。
「あの子に、興味はないよ。あんとき、偶然会っただけ。」
重なった手と手からぬくもりが伝わる。
翔は、私をまっすぐ見ていた。
「俺はね、離れたくない。」
掴んだ手に力が入る。
「俺だって、お前にどっか行ってほしくないの。だって…」
もう、答えなんて、分かっていた。
「―沙月は俺の特別だから。」
2つの影が伸びる、夕暮れの帰り道。
私は、翔の手を、そっと握り返した。
今日も私達は、並んで歩く。
親友同士で、恋人同士で、特別同士で。
お互いの唯一無二で、それ以外なんていないから。
だから君の隣は永遠に、私のもの。
|小説初投稿です。どうでしたか、楽しんでいただけましたか? |
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|好評でしたら、コメントお願いします!! |
アスパラベーコン系女子さん(静岡・12さい)からの相談
とうこう日:2024年6月12日みんなの答え:3件
翔と一番仲が良い女子は、私。
は?と思っただろう。複雑なことじゃない。私は「女」。でも翔にとっては「男」みたいなもの。それだけだ。
私にとっても、翔は大切な1人の男友達だった。
それは変わらない…この間までそう思ってた。自分の気持ちの変化になんて、気付けなかった。
翔の言動に一喜一憂し、ずっと一緒にいたいと思うようになるなんて。
こんなはずじゃなかった。…恋になんて、落ちたくなかった。
「…どうせ、叶わないから…。」
小さい声で呟く。君と出逢って約1年。いつも一緒にいた。一番近くて、遠い恋。
6月中旬、いつもの帰り道。目の前で揺れる翔の背中に、心のなかでハートを描いた。
そんな生活が変わったのは、翔に起こったある1つの出来事から。
「ッッ…告られた?」
昼休み。翔の口から飛び出た言葉に驚愕する。
翔が、3組の女子に告られたということだ。
「ああ…うん。」
翔がめんどくさそうに返事をした。反射的に、私も口を開く。
「あー、よかったやん。じゃあ…」
…じゃあ、付き合うの?
言いかけて、なんだか無性に苦しくなった。どうしようもなく不安が押し寄せてくる。
翔が私から離れていったら、私は…私は?どうすればいいんだろう。
「じゃあ…って何?」
翔が尋ねてくる。私は首を横に振った。
「なんでもない。ちょっと行ってくる。」
どこにー?と問いかけてくる翔の声を背に、私は教室を出た。
休日、偶然ショッピングセンターで、翔が別のクラスの女の子といるのを見た。
私の場所は奪われてしまった。
自己中心的に、そう思った。
離れてくんだな…。
1人で歩く帰り道はつまらない。
きっと翔はあの子と帰るだろう。私なんかが邪魔しちゃいけない。
そのとき私の背中に手がおかれた。
「沙月(さづき)」
低くて、柔らかい声。
…何だかこの声も、久しぶりに聞く気がする。
「…翔。」
翔は、いつもと変わらない。
「ねえ、今日さ〜、…拗ねてる?」
「…別にそんなことない。」
「拗ねてる〜!」
翔といるだけで幸せになる。きっとそんなこと、翔はお見通しだ。でも…
「私にかまってる暇ないでしょ。あの子をおいてっていいの?」
ホントは笑いたい。言葉の端々にトゲを隠して本音を否定する。
「あの子…?」
翔が眉をひそめたのが分かった。
なんでわからないの。
「告られたでしょ。仲いいじゃん。前ララポにいたでしょ?邪魔しちゃ悪いし。」
顔を見たら泣いてしまいそうで、怖かった。
「はやく行ってよ…。」
これ以上一緒にいたら、飲み込まれてしまう。ずっと離れられなくて、そのたびに苦しい思いをする。
―涙は見せたくない。
平静を装って、また明日、を言おうと背中を向ける。
そのとき、翔が口を開いた。
「俺がいなくなるのが、怖い?」
突然の質問に、私は振り向いた。翔は少し笑っていた。やっぱり、いつもと変わらない。
返事をしないでいると、翔は数歩歩み寄ってきた。
ぐっと体を引き寄せられる。
気づけば、翔が私の右手を掴んでいた。
「あの子に、興味はないよ。あんとき、偶然会っただけ。」
重なった手と手からぬくもりが伝わる。
翔は、私をまっすぐ見ていた。
「俺はね、離れたくない。」
掴んだ手に力が入る。
「俺だって、お前にどっか行ってほしくないの。だって…」
もう、答えなんて、分かっていた。
「―沙月は俺の特別だから。」
2つの影が伸びる、夕暮れの帰り道。
私は、翔の手を、そっと握り返した。
今日も私達は、並んで歩く。
親友同士で、恋人同士で、特別同士で。
お互いの唯一無二で、それ以外なんていないから。
だから君の隣は永遠に、私のもの。
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アスパラベーコン系女子さん(静岡・12さい)からの相談
とうこう日:2024年6月12日みんなの答え:3件
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キャワワー こんちくわふうらいでーす!
この展開ガチの恋愛マンガじゃん
私もこんな恋してみたーい
アスパラベーコン系女子さんこんな物語考えられるとかマジ神!! ふうらいさん(東京・10さい)からの答え
とうこう日:2024年10月7日 -
感動した 本当に素敵な短編小説ですね!友情から恋愛へと変わる微妙な心の動きがとても繊細に描かれていて、共感できる部分が多かったです。特に、翔と沙月の関係が、友達以上でも恋人未満のような曖昧な状態から、最後には互いの「特別」であることを確認し合う流れが心温まります。
読んでいると、沙月の内心の葛藤や、翔に対する複雑な感情に引き込まれ、まるで自分がその場にいるような感覚になりました。人間関係の微妙なバランスや、相手の気持ちを想像しすぎてしまう繊細さがリアルに表現されていて、とても印象的です。
素敵な小説をかいてくれてありがとう!またかいてくださいね。 アイさん(その他(海外)・12さい)からの答え
とうこう日:2024年9月18日 -
キュンキュン! ヤッホー!!みんなにとって今日1日良い日になりますように!虹色花火だよ!
本題
とてもキュンキュンしました!ありがとうございました! 虹色花火(元花火君、レインボー君)さん(神奈川・11さい)からの答え
とうこう日:2024年9月18日
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