リップクリーム香り付き
今日は校外学習。みんなで公共交通機関のバスを使って移動するため、家に帰る人たちの方向はそれぞれ違う。降りるバス停もそうだ。
ここはだいぶの田舎だから、バス停が田んぼのあぜ道の入口にある。人や車通りも少ないから、山や小川がよく見える。私が降りるのは、いつものバス停、「芝風駅前」。
今日はイレギュラーな日だから、いつもはそこで降りない人が一人だけ私と一緒に降りる。
「翔太くんか…」
「どうした、タイプだった?」
友達の花音だ。
「べ、別に。そんなんじゃないし。」
「そっかなーほんとかなー」
「ほんとだってば!」
でもいつも一人ぼっちだったから、異性とは初めて。ちょっとドキドキ…しないことはない。けど…だめだめ。期待したらがっかりするだけ。そんな気持ちをおしころしながら、帰りのバスに乗る。翔太くんは…私の前にいる。っていやいやいや!何目でおってんの!おかしいでしょ、もー。
無理くり視線を窓の外に向ける。どこを見るわけでもない。ただただ、いつもどおりの田んぼが見えていた。山に山に、山。って山ばっかりじゃん。
「はあー」
変な時間だから同じクラスの人しかいない。
「どした?なになに、翔太くんー?」
「ち、違うし!そんなんじゃないってば!」
見透かされてる。花音は目ざといな…
すると花音は駅員さんの真似をして、
「次はー芝風駅前ー芝風駅前ー。」
「ってちょ、おどろかさないでよ!」
「へへ、早く翔太くんと帰る風華が見たくて。」
「勝手に見ないでよーってか、一緒に帰らないし!」
「あははは!」
田舎だからか、時間がゆっくり流れるような気がする。窓に頭をくっつけながら、壁にもたれかかる。
「次はー芝風駅前ー芝風駅前ーお降りの際は、段差にお気をつけください…」
「やば!おりにゃ!」
「じゃ、二人の時間を楽しんでー!」
「二人じゃねえし!じゃあね!」
「うん、また明日ー」
にやにや笑ってるよ。あ、もしかしたらリップクリームの香りに気づいた?今日は寒いしかんそうするといけないと思って、おしゃれの意味もかねて、香り付きのリップクリームをぬってきたのだ。
「ふう、寒い!」
バス停を降りると寒気がおそってきた。マフラーを整える。はく息は白い。あ、いつの間にか雪も降ってんじゃん!結構ひどめだな。まあ、風がなくてよかった。よし、帰ろうっと。
「風華!」
「え、柊太くん?!どうしたの?おりるのここじゃないだら!?」
「いやあの…こっからでも歩いていけるし。」
どうしたんだろう、いつも真面目な柊太くんが?
「あのさ、風華、おれ…好きです、風華のことが。」
ふうん。なんだ。そんなこと…えええええ!!??
翔太くん、気まずそうに帰っちゃったし。
ちょっと…無理かも。
「ごめん、私と柊太くんは、つり合わないと思う。変に迷惑かけたくないの。ごめんね。」
「そっ…か。そうだよね!ごめん。」
「ううん。じゃあね。これからもクラスメイトでいようね。」
そう早口で言って、家とは逆の方向にかけていった。翔太くんが近づいていく。別に柊太くんと私がつり合わないわけじゃない。ちょうどいい言い訳が見つからなかっただけだ。私は…片思い中だから。
「翔太くん、あのね!好きです!」
ねえ、いいよって言ってよ。
君のために、リップクリーム、ぬってきたんだから。
ちゅんちゅんさん(静岡・11さい)からの相談
とうこう日:2024年6月20日みんなの答え:0件
ここはだいぶの田舎だから、バス停が田んぼのあぜ道の入口にある。人や車通りも少ないから、山や小川がよく見える。私が降りるのは、いつものバス停、「芝風駅前」。
今日はイレギュラーな日だから、いつもはそこで降りない人が一人だけ私と一緒に降りる。
「翔太くんか…」
「どうした、タイプだった?」
友達の花音だ。
「べ、別に。そんなんじゃないし。」
「そっかなーほんとかなー」
「ほんとだってば!」
でもいつも一人ぼっちだったから、異性とは初めて。ちょっとドキドキ…しないことはない。けど…だめだめ。期待したらがっかりするだけ。そんな気持ちをおしころしながら、帰りのバスに乗る。翔太くんは…私の前にいる。っていやいやいや!何目でおってんの!おかしいでしょ、もー。
無理くり視線を窓の外に向ける。どこを見るわけでもない。ただただ、いつもどおりの田んぼが見えていた。山に山に、山。って山ばっかりじゃん。
「はあー」
変な時間だから同じクラスの人しかいない。
「どした?なになに、翔太くんー?」
「ち、違うし!そんなんじゃないってば!」
見透かされてる。花音は目ざといな…
すると花音は駅員さんの真似をして、
「次はー芝風駅前ー芝風駅前ー。」
「ってちょ、おどろかさないでよ!」
「へへ、早く翔太くんと帰る風華が見たくて。」
「勝手に見ないでよーってか、一緒に帰らないし!」
「あははは!」
田舎だからか、時間がゆっくり流れるような気がする。窓に頭をくっつけながら、壁にもたれかかる。
「次はー芝風駅前ー芝風駅前ーお降りの際は、段差にお気をつけください…」
「やば!おりにゃ!」
「じゃ、二人の時間を楽しんでー!」
「二人じゃねえし!じゃあね!」
「うん、また明日ー」
にやにや笑ってるよ。あ、もしかしたらリップクリームの香りに気づいた?今日は寒いしかんそうするといけないと思って、おしゃれの意味もかねて、香り付きのリップクリームをぬってきたのだ。
「ふう、寒い!」
バス停を降りると寒気がおそってきた。マフラーを整える。はく息は白い。あ、いつの間にか雪も降ってんじゃん!結構ひどめだな。まあ、風がなくてよかった。よし、帰ろうっと。
「風華!」
「え、柊太くん?!どうしたの?おりるのここじゃないだら!?」
「いやあの…こっからでも歩いていけるし。」
どうしたんだろう、いつも真面目な柊太くんが?
「あのさ、風華、おれ…好きです、風華のことが。」
ふうん。なんだ。そんなこと…えええええ!!??
翔太くん、気まずそうに帰っちゃったし。
ちょっと…無理かも。
「ごめん、私と柊太くんは、つり合わないと思う。変に迷惑かけたくないの。ごめんね。」
「そっ…か。そうだよね!ごめん。」
「ううん。じゃあね。これからもクラスメイトでいようね。」
そう早口で言って、家とは逆の方向にかけていった。翔太くんが近づいていく。別に柊太くんと私がつり合わないわけじゃない。ちょうどいい言い訳が見つからなかっただけだ。私は…片思い中だから。
「翔太くん、あのね!好きです!」
ねえ、いいよって言ってよ。
君のために、リップクリーム、ぬってきたんだから。
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