トップへもどる
キッズ@niftyの外 アット・ニフティの他のページ 有償サイト マークのせつめい
夏の日の夜 祭もとうとう終盤に差し掛かり、人々は次々と神社の石段に集まってきていた。
「私たちもそろそろ行く?」
りんご飴を頬張りながら、由奈がそう声を掛けてくる。それに頷くと、「わかった」の声と共に私は腕を引かれながら彼女の後ろを着いていった。そして人の少ないところを探し、彼女の横に腰を下ろす。
「楽しみだね、花火」
そう。この祭の最後には、打ち上げ花火がある。そのころには屋台も畳まれるため、皆がそれを見るために石段に集まるのだ。
「うん。楽しみ」
そう答える私は、由奈の方を見ることができなかった。嘘だからだ。今の私には、楽しみだなんて到底思えない。この祭が終わってしまえば、私は彼女と会えなくなってしまうのだから。嫌だった。祭が終わって、静けさと共に別れが訪れる。それがどんなに寂しくて、どんなに辛いか。私にはきっと耐えられない。それならいっそ、時間が止まってしまえばいい。そうとさえ思えた。
しかしそんな思考は、由奈の発した言葉によって遮られる。
「元気ないじゃん。どうしたの?」
思わず緊張が走る。どうにか言い訳のできないものか。すこしの逡巡の後、私は口を開いた。
「実は、お腹が痛くなってきちゃって!」
少しの笑いと共にそう嘘の弁明するが、由奈の目は真剣だった。
「嘘。私にはわかるよ。絶対嘘吐いてる」
それから彼女は「本当のことを言って」と詰めてくる。私はなんとか躱そうとしたが、やはり幼馴染の力は凄いようで。
「由奈と会えなくなるの、寂しいんだ」
結局、言ってしまった。呆れられるだろうか。そう思って地面に視線を落とす。しかし次の瞬間、私は暖かさに包まれていた。由奈に抱きしめられたのだ。
「私だって寂しいよ。音羽は私の親友だもん」
気付いた時には、涙が溢れていた。それは由奈も同じだったようで、彼女の口から嗚咽が漏れる。
そんな二人を、花火の音が包み込んだ。私は生涯、この夏の日の夜を忘れることはないだろう。
いりりさん(選択なし・14さい)からの相談
とうこう日:2024年6月24日みんなの答え:0件

※SNSボタンについて

この相談に答える
※23:00〜6:00は回答の投稿はできません

この相談への回答は、まだありません。

相談に答える

相談の答えを書くときのルール
短編小説への回答を書くときのルール
編集部よりのお願い
  • キッズなんでも相談では、投稿されたユーザーの個人こじん判断はんだんすることが出来ないため、削除依頼さくじょいらいには対応することは出来ません。投稿しても問題ない内容かよく確認してください。

ニックネーム

  • 20字まで
  • フルネーム(名字・名前の両方)が書かれた投稿(とうこう)紹介(しょうかい)できません

せいべつ

   

ねんれい

  • 投稿できるのは5〜19さいです

都道府県(とどうふけん)

アイコン

           
           

答えのタイトル

  • 20字まで

答え

  • 500字まで
  • 自己紹介(しょうかい)は2行程度でお願いします
※23:00〜6:00は回答の投稿はできません
※23:00〜6:00は相談の投稿はできません
実施中のアンケート
  • 調査アンケート:習い事

    アンケート実施期間:〜1月20日まで

  • 調査アンケート:部活

    アンケート実施期間:〜2月3日まで

カテゴリごとの新着相談
今年の抱負
ニフティキッズ版百人一首を作ろう!2025
ニフティキッズ公式SNSのご紹介
いろんな相談先があります
子供のSOSの相談窓口
いじめで困ったり、ともだちや先生のことで不安や悩みがあったりしたら、一人で悩まず、いつでもすぐ相談してね。
>>SNSで相談する
・電話で相談する
24時間子供SOSダイヤル(通話料無料)
>>地元の相談窓口を探す
チャイルドライン
18歳までの子どものための相談先です。あなたの思いを大切にしながら、どうしたらいいかを一緒に考えてくれるよ。
おうちの人とつくろう!わが家のインターネットルール
トップへもどる
お問い合わせ おうちの方へ
(c)NIFTY Corporation