悪魔と人間の恋の行方は。
『インベル町』緑に囲まれていて、地図には乗っていない。
そんな小さな町には、昔から伝わる伝説があった。
それは、赤い月の日、深夜に外を出ると『悪魔』に会い、二度と帰れなくなるという伝説だった。
その悪魔は恐ろしい姿をしており、人間を食ってしまうと。
百年に一度、その機会はやってくる。
「冴ちゃん、今日は外に出ては駄目だからね。」
そして、今日がその日だ。
『悪魔』に会えるかもしれない日。
おばあちゃんに言われた言いつけを破り、家族全員が寝付いた頃に家を抜け出す。
冷たい風が頬を伝った。
空を見上げると、くっきりと月が見える。
私は行く先も決めず、ダラダラを歩いた。
森の奥の方へと来た時、ガサッと物音がした。
ビクッと、体が反応する。
「人間か」
驚くほど低くい声が耳に届く。
直感した。悪魔だ。
背が高く、斧を持っており、黒いフードを被っている。
「貴方が、悪魔?」
何故か私の心には、恐怖心なんて一つもなかった。
「貴様、俺が恐ろしくないのか」
「怖くなんて無いわ。話した事も無いのに、どうして怖いって分かるのよ?」
ただ疑問に思い、そう問いかけると、悪魔が距離を詰めてきた。
「貴様、齢は?」
「14よ。貴方は?」
「悪魔に齢などあるものか。一々覚えていない」
「へえ、何千年も生きているの?」
「ああ。だが、貴様の様な者は初めてだ。」
悪魔が私に手を差しだした。
「着いてきてくれないか。」
「私を食べるの?」
「いいや、食わない。約束しよう」
私は悪魔の手を取った。冷たかった。
悪魔が私を案内したのは、大きな洞窟だった。
しばらく歩くと、湖くらい水が溜まった場所が見える。
この頃、インベル町では水不足が問題になっている。
「こんな所、どうして見つけたの」
驚きを隠せずそういう。
「なあに、少し水を溜めただけさ。他の奴にも教えてやるといい」
「優しいのね。ねえ、悪魔さん、屈んでちょうだい。」
私の言葉に、悪魔は少し間を置き、屈んだ。
私は悪魔のフードを脱がす。
悪魔は、抵抗一つしなかった。
悪魔の素顔が露わになる。
洞窟の外から入ってきた光が、丁度悪魔の顏を照らした。
顏が無かった。真っ黒だった。闇だ。
「どうして顏を隠すの」
「悪魔だからさ。」
「貴方、お名前は?」
「そんなのあるものか。」
「じゃあ私がつけてあげる。アクアよ。」
瞳の色が、アクア色なんだもの。
「何故だ。俺は悪魔だ。貴様は人間だ!俺をすぐに捉えたいはずだろう⁉」
「貴方は悪魔じゃないわ!それに、人間も悪魔も関係ない」
アクアが目を見開く。
そして、大粒の涙が零れた。
「貴方は誰よりも優しいもの。ねえ、一緒に暮らしましょう?」
「駄目だ、俺には顏が無いんだぞ。お前を幸せにはしてやれない。それに、貴様に正体がばれた。俺は消えるだろう。」
「どうして!正体がばれると、消えちゃうの?」
「ああ」
「じゃあどうして私に正体をばらしたのよ!」
涙が零れた。もう、会えないの?アクアと。
「貴様は、殺せない。初めてなんだ。俺の姿を見て、逃げなかった人間は。なあ、俺達、前に何処かであった事があるか。
貴様の顏は、何処か見覚えがあるんだ。」
「無いわ。今日が初めてよ。」
「………そうか。貴様、名は?」
「冴子。冴子よ」
アクアは、私の頬に手をやった。
「冴子か。良い名を持ったな」
アクアの体が消えてゆく。
「まって、アクア。まって!」
「大丈夫だ、また会えるよ」
アクアは、塵となり、消えた。
でも、何故だか分からないけれど、また会える気がした。
_______
悪魔は、死ぬ前に大きな思い残しがあった人間がなる。
記憶はなくなるが、体が覚えていると、無意識に思い残しのある場所へ向かうという。
この作品の『インデル町』は、四千年前、戦争で二人の美しい美男美女が町民の犠牲となり、来世で会う
約束を果たし、手を繋ぎ殺されたという、迷信が残っている_____。
美男の方の瞳は透き通って見えるほど綺麗なアクア色で、敵までも魅了されたらしい。
だが美男は顏に大きな火傷を負っており、差別を受ける。
それを救ったのは、『冴子』という名の美女だったそうだ。
き る .さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年6月30日みんなの答え:2件
そんな小さな町には、昔から伝わる伝説があった。
それは、赤い月の日、深夜に外を出ると『悪魔』に会い、二度と帰れなくなるという伝説だった。
その悪魔は恐ろしい姿をしており、人間を食ってしまうと。
百年に一度、その機会はやってくる。
「冴ちゃん、今日は外に出ては駄目だからね。」
そして、今日がその日だ。
『悪魔』に会えるかもしれない日。
おばあちゃんに言われた言いつけを破り、家族全員が寝付いた頃に家を抜け出す。
冷たい風が頬を伝った。
空を見上げると、くっきりと月が見える。
私は行く先も決めず、ダラダラを歩いた。
森の奥の方へと来た時、ガサッと物音がした。
ビクッと、体が反応する。
「人間か」
驚くほど低くい声が耳に届く。
直感した。悪魔だ。
背が高く、斧を持っており、黒いフードを被っている。
「貴方が、悪魔?」
何故か私の心には、恐怖心なんて一つもなかった。
「貴様、俺が恐ろしくないのか」
「怖くなんて無いわ。話した事も無いのに、どうして怖いって分かるのよ?」
ただ疑問に思い、そう問いかけると、悪魔が距離を詰めてきた。
「貴様、齢は?」
「14よ。貴方は?」
「悪魔に齢などあるものか。一々覚えていない」
「へえ、何千年も生きているの?」
「ああ。だが、貴様の様な者は初めてだ。」
悪魔が私に手を差しだした。
「着いてきてくれないか。」
「私を食べるの?」
「いいや、食わない。約束しよう」
私は悪魔の手を取った。冷たかった。
悪魔が私を案内したのは、大きな洞窟だった。
しばらく歩くと、湖くらい水が溜まった場所が見える。
この頃、インベル町では水不足が問題になっている。
「こんな所、どうして見つけたの」
驚きを隠せずそういう。
「なあに、少し水を溜めただけさ。他の奴にも教えてやるといい」
「優しいのね。ねえ、悪魔さん、屈んでちょうだい。」
私の言葉に、悪魔は少し間を置き、屈んだ。
私は悪魔のフードを脱がす。
悪魔は、抵抗一つしなかった。
悪魔の素顔が露わになる。
洞窟の外から入ってきた光が、丁度悪魔の顏を照らした。
顏が無かった。真っ黒だった。闇だ。
「どうして顏を隠すの」
「悪魔だからさ。」
「貴方、お名前は?」
「そんなのあるものか。」
「じゃあ私がつけてあげる。アクアよ。」
瞳の色が、アクア色なんだもの。
「何故だ。俺は悪魔だ。貴様は人間だ!俺をすぐに捉えたいはずだろう⁉」
「貴方は悪魔じゃないわ!それに、人間も悪魔も関係ない」
アクアが目を見開く。
そして、大粒の涙が零れた。
「貴方は誰よりも優しいもの。ねえ、一緒に暮らしましょう?」
「駄目だ、俺には顏が無いんだぞ。お前を幸せにはしてやれない。それに、貴様に正体がばれた。俺は消えるだろう。」
「どうして!正体がばれると、消えちゃうの?」
「ああ」
「じゃあどうして私に正体をばらしたのよ!」
涙が零れた。もう、会えないの?アクアと。
「貴様は、殺せない。初めてなんだ。俺の姿を見て、逃げなかった人間は。なあ、俺達、前に何処かであった事があるか。
貴様の顏は、何処か見覚えがあるんだ。」
「無いわ。今日が初めてよ。」
「………そうか。貴様、名は?」
「冴子。冴子よ」
アクアは、私の頬に手をやった。
「冴子か。良い名を持ったな」
アクアの体が消えてゆく。
「まって、アクア。まって!」
「大丈夫だ、また会えるよ」
アクアは、塵となり、消えた。
でも、何故だか分からないけれど、また会える気がした。
_______
悪魔は、死ぬ前に大きな思い残しがあった人間がなる。
記憶はなくなるが、体が覚えていると、無意識に思い残しのある場所へ向かうという。
この作品の『インデル町』は、四千年前、戦争で二人の美しい美男美女が町民の犠牲となり、来世で会う
約束を果たし、手を繋ぎ殺されたという、迷信が残っている_____。
美男の方の瞳は透き通って見えるほど綺麗なアクア色で、敵までも魅了されたらしい。
だが美男は顏に大きな火傷を負っており、差別を受ける。
それを救ったのは、『冴子』という名の美女だったそうだ。
き る .さん(選択なし・13さい)からの相談
とうこう日:2024年6月30日みんなの答え:2件
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ん〜ウェーん(´;ω;`)。 悲しぃ〜,なるほどと思った。泣いた。悲しかった。凄かった。また書いてほしいと思った。 では。 【猫の子】さん(その他(海外)・13さい)からの答え
とうこう日:2024年10月13日 -
感動ッッ!!!!! こんにちは♪ルビーです♪♪
[本題]
タイトル通りすっっごく感動しました!!
冴子ちゃん優しくて好きっ!!!
2人には幸せになってほしいな、、、
き る .さん!!楽しい小説をありがとう!!!
それでは、ばいちゃ!
ルビーさん(大阪・12さい)からの答え
とうこう日:2024年10月12日
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