殺戮の館
刹那、美波(みなみ)は背後に気配を感じた。振り返ると、赤い瞳。悲鳴をあげる間も無く、美波は床に倒れた。
卓馬(たくま)は床に倒れている美波に、目を疑った。首からは血が流れ、水溜りを作り出していた。それを見ていた美しい少女が振り返り、血のような赤い瞳を卓真に向けた。少女は面食らった卓真に飛びかかった。衝撃を感じたと思ったら、卓馬の意識は途絶え、床にぶつかったことだけが薄れる意識の中で分かった。
小冬(こふゆ)は美波達に無理矢理、幽霊が出るという噂がある廃墟に連れていかれた。
行きたくない、行けない、用事がある。何度断っても美波は私を誘い続け、私は折れた。というか、屈した。
「じゃ、小冬、ここでね」
そう、美波は手を振って小冬と逆方向を歩き出す。他の子も三々五々、進み始める。
しばらく歩むうち、体が震えて来るのが分かった。
必死に抑えようと試みる。だが、体は言うことを聞かない。
駄目だ。駄目だ。このままだと、私は。私は……。
小冬の瞳の色が黒色から赤へ、徐々に変わる。やがて、瞳が真っ赤に染まった。暗闇の中で赤い瞳がキラキラと輝いていた。
小冬は美波が行った方に向かった。美波は笑顔で廃墟を歩いていた。気配を感じたのか、美波がこちらを振り向いた。その直後、小冬は美波の首筋を噛んだ。美波が床に倒れる。首から血が流れ、床に溜まる。
私を誘うからだよ、馬鹿。冷え冷えとした目で小冬は美波を見つめる。
足音を感じ、小冬は振り向く。卓真が呆気に取られたように突っ立っていた。小冬を見つめ、さらに面食らったようになった。
小冬は卓真に飛びかかり、牙を首に深く入れる。
小冬は顔をしかめた。性格そのままに不味い。美波もまずかったが、こいつの方が不味い。
小冬は卓真を突き飛ばした。
耳元で囁き声がする。ねえ、血を吸うのはやめようよ。血を吸わなくても生きて生けるじゃない。
「うるさいよ」
仕方ないじゃない、私はこう生まれてしまったんだから。吸血鬼の両親を持ってしまっんだから。
目の前に少年が立った。あかりだ。
「ねえ、小冬さん。もう、担当されたエリア、見終わったの?」
小冬は妖艶に微笑み、首筋に噛み付いた。
あ、美味しい。性格は悪いのに、美味しいや。
小冬はあかりの血を全て吸い上げた。身体中が潤うのが分かる。
その後も小冬は同級生を襲い続け、気づけば一緒にここに来ていた同級生、全員を殺していた。
窓から外を見ると、満月だった。壁にかかった時計は午前十二時を指していた。
再び、小冬の体が震え始め、瞳の色が黒に戻った。
小冬は息を深く吸い込んだ。死屍累々を眺める。ある者は白目を剥き、ある者は顔をしかめ、ある者は苦しげな表情をしていた。
もう大丈夫だろう。危険な時間は過ぎた。だが、今日、殺した者は小冬を逆恨みするだろう。
窓のヘリに腰掛け、小冬はごちた。
「仕方ないじゃない。私、吸血鬼なんだから」
ぴょんっとヘリを飛び越え、小冬は外に出る。暗闇に溶け込み、小冬は家へ急いだ。 うさぎさん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月21日みんなの答え:2件
卓馬(たくま)は床に倒れている美波に、目を疑った。首からは血が流れ、水溜りを作り出していた。それを見ていた美しい少女が振り返り、血のような赤い瞳を卓真に向けた。少女は面食らった卓真に飛びかかった。衝撃を感じたと思ったら、卓馬の意識は途絶え、床にぶつかったことだけが薄れる意識の中で分かった。
小冬(こふゆ)は美波達に無理矢理、幽霊が出るという噂がある廃墟に連れていかれた。
行きたくない、行けない、用事がある。何度断っても美波は私を誘い続け、私は折れた。というか、屈した。
「じゃ、小冬、ここでね」
そう、美波は手を振って小冬と逆方向を歩き出す。他の子も三々五々、進み始める。
しばらく歩むうち、体が震えて来るのが分かった。
必死に抑えようと試みる。だが、体は言うことを聞かない。
駄目だ。駄目だ。このままだと、私は。私は……。
小冬の瞳の色が黒色から赤へ、徐々に変わる。やがて、瞳が真っ赤に染まった。暗闇の中で赤い瞳がキラキラと輝いていた。
小冬は美波が行った方に向かった。美波は笑顔で廃墟を歩いていた。気配を感じたのか、美波がこちらを振り向いた。その直後、小冬は美波の首筋を噛んだ。美波が床に倒れる。首から血が流れ、床に溜まる。
私を誘うからだよ、馬鹿。冷え冷えとした目で小冬は美波を見つめる。
足音を感じ、小冬は振り向く。卓真が呆気に取られたように突っ立っていた。小冬を見つめ、さらに面食らったようになった。
小冬は卓真に飛びかかり、牙を首に深く入れる。
小冬は顔をしかめた。性格そのままに不味い。美波もまずかったが、こいつの方が不味い。
小冬は卓真を突き飛ばした。
耳元で囁き声がする。ねえ、血を吸うのはやめようよ。血を吸わなくても生きて生けるじゃない。
「うるさいよ」
仕方ないじゃない、私はこう生まれてしまったんだから。吸血鬼の両親を持ってしまっんだから。
目の前に少年が立った。あかりだ。
「ねえ、小冬さん。もう、担当されたエリア、見終わったの?」
小冬は妖艶に微笑み、首筋に噛み付いた。
あ、美味しい。性格は悪いのに、美味しいや。
小冬はあかりの血を全て吸い上げた。身体中が潤うのが分かる。
その後も小冬は同級生を襲い続け、気づけば一緒にここに来ていた同級生、全員を殺していた。
窓から外を見ると、満月だった。壁にかかった時計は午前十二時を指していた。
再び、小冬の体が震え始め、瞳の色が黒に戻った。
小冬は息を深く吸い込んだ。死屍累々を眺める。ある者は白目を剥き、ある者は顔をしかめ、ある者は苦しげな表情をしていた。
もう大丈夫だろう。危険な時間は過ぎた。だが、今日、殺した者は小冬を逆恨みするだろう。
窓のヘリに腰掛け、小冬はごちた。
「仕方ないじゃない。私、吸血鬼なんだから」
ぴょんっとヘリを飛び越え、小冬は外に出る。暗闇に溶け込み、小冬は家へ急いだ。 うさぎさん(静岡・13さい)からの相談
とうこう日:2020年7月21日みんなの答え:2件
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すごい・・・・・ 私より年下だよね。すご・・・・・・・・・・・・・・・ すとぷり利犬ラブさん(新潟・12さい)からの答え
とうこう日:2020年7月31日 -
すごいすごい!! えー?!小冬ちゃん吸血鬼だったのー!?
内容がすっと頭に入り、感激しました!!
楽しかったです!!(?)
次も期待してます!! ちゅぴさん(選択なし・10さい)からの答え
とうこう日:2020年7月23日
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